皆さん御存知のニュースかもしれませんが、昨日オリンピック村で視覚障害の選手と自動運転車が接触して全治2週間の怪我を負い、競技を欠場せざるを得なくなったという残念な結果になってしまいました。
この自動運転車はトヨタのAutono-MaaS専用EV「e-Palette(東京2020オリンピック・パラリンピック仕様でオリンピック期間中から運用されていました。
最高時速19Km/hの自動運転車でハンドルやアクセル、ブレーキもなく操作はジョイスティックで、オペレーターは同乗しているものの基本的には自立の完全自動運転のようです。
トヨタの車両制御プラットフォームに専用開発の自動運転システム(自動運転制御ハードウェアおよびソフトウェア、カメラやLiDARなどのセンサー)を搭載し、高精度3Dマップと運行管理による低速自動運転を実現(SAE※4レベル4相当)しているそうですが、車両の操作系が無いので当然自動運転レベル4でないと困りますね。
オリンピック村内での移動で運用ルートも一般道に比べて制限され、リスクも少ないはずなのに接触事故が起こってしまうとは残念です。
周囲360°の障害物を常に検知し、周囲の状況に応じて最適な速度で運行しており、システム異常時には、車両に同乗するオペレーターが安全に車両を停止できる緊急停止ブレーキを装備しているそうですが、接触事故は横断歩道を横断しようとした視覚障がいのある選手とのものなので、センサーが感知しなかったのか、という問題もありますし、そもそも横断歩道を認識していれば歩行者検知のシステムがより厳格に作動しているはずなのに不思議です。
現在e-paletteの運行は停止中で原因を究明中らしいですが当然でしょうね。
トヨタの発表によると現場はT字型の交差点。e-Paletteは一旦停止し、車内オペレーターと横断歩道の誘導員が安全を確認、再発進して右折したところ、横断歩道で被害者と接触したそうです。e-Paletteの再スタートはマニュアルで行なうことになっており、発車してから1~2秒後に接触が起こったようですが、その際には自動運転モードに入っており、オペレーターの緊急ブレーキより自動ブレーキの方が早かったものの接触事故に至ったようです。
そもそも横断歩道付近で接触事故が起こった事自体大問題ですし、レベル4であれば自動運転車そのもののシステムや運転機能に責任がある訳です。もしこの状況であれば、オペレーターの再スタートの判断ミスも考えられる訳ですし、マニュアル操作に対してシステムが介入して緊急停止をしなければレベル4の意味は全くないと考えてしまいます。人間の人為的ミスもカバー出来なければレベル4とは言えないでしょう。
事故時にはシステムの自動ブレーキの方がオペレーターの緊急ブレーキよりも作動が早かったようですが、それなら再スタート時に当然周囲の人の検知をしてオペレーターの判断をオーバーライトして発進させないような制御も必要だったのではないでしょうか。
トヨタ社長は「車内からは(歩行者が)死角だった」と説明していますが、周囲360°の障害物を常に検知しているのなら当然オペレーターにアラートを出さなければいけませんし、緊急停止すべきでしょう。
パラリンピックでは視覚障害者や運動障害者だけではなく、知的障害の方も多いはずでこうした方達は健常者に比べて危険回避能力も劣っている事が当然予想されるはずなのに、制御プログラムに何の配慮もしていなかったのでしょうか。
オリンピックで運用が問題無かったので安心していたのかもしれませんが、健常者よりも障害者が多いパラリンピック村で事故が起きたのは残念ですね。健常者相手より大事故になっていた可能性もあります。
こう考えると、レベル4でさえこの有様ですから、レベル3やレベル2の自動運転(というか、運転補助システム)がほとんど信用出来ないのは自明の理ですね。あくまでも運転補助と考えていつでも自分で運転に戻れる気構えが必要だと思います。
○産のCMでは有名タレントが格好を付けて手放し運転をアピールしていますが、やはりまだ信用出来るレベルではないかもしれません。
そう考えると、世界初にレベル3を実現したHONDAのレジェンドが、レベル3の運転モードに入った時でも前方か運転メーター、センタースクリーンに視線が向いていないと解除されるという形式を取ったのは、日本的な配慮もあったかもしれませんが、慎重な態度で好感がもてます。
レジェンドのレベル3実現の際に多くのモータージャーナリストが「せっかくレベル3が実現出来ているのに、システムの規格通りにスマホなどが見られるようにしても良かったのでは」と疑念を呈していましたが、今回の事故を胸に深く刻んでほしいです(マジ)。この人達は先日スマホを見ながら遮断機の下りた踏切内に進入し、そのまま電車に轢かれてしまった傷ましい事故を御存知なのでしょうか。
テスラだってあちこちで事故を起こしてますし、まだまだ自動運転にはほど遠いようですね。トヨタは裾野市で建設中の未来都市で様々な自動運転車を運用する計画ですが、もっと頑張らないと大変ですね。
P.S
早速
いろいろ対策が練られた上での運行再開になったようですが、前後方向への加減速は相変わらずオペレーターのジョイスティックによるマニュアル操作はしているようです。自動運転の制御の方がよっぽど反応が速い気がするのでちょっと不思議です。この事故、人為的ファクターがかなり関与しているようにも思えるのですが、本当に大丈夫なのでしょうか。
Posted at 2021/08/28 09:03:07 | |
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