今年のモトGPは大波乱尽くめ、ある意味面白い展開ではあるのだが、毎戦大きなクラッシュが続いているのも確か。今やモトGPマシンは250馬力を超えていると言われ選ばれたトップレーサーでさへ手を焼くモンスターマシンだ。フレディ・スペンサーがスライド走法していた83年のNS500は130馬力オーバーと言われていたから、いかに今のモトGPのマシンのパワーがあるか判るというものだ。
そのモトGPのマシンだが6メーカーが凌ぎを削る激しい競争が魅力である。日本からホンダ、ヤマハ、スズキ、イタリアからドゥカティ、アプリリア、オーストリアのKTMの6社である。
マシンの特徴ではパワーとブレーキングのドゥカティ。ハンドリングのヤマハ、スズキ、暴れ馬のホンダ、パワーが今一つのアプリリア、参戦4年目のKTMというところ。
今年のモトGP開幕戦(第一戦のカタールが中止、コロナによるスケジュール変更後の実質第一戦目)、ヤマハサテライトのクアルタラロがポールトゥウィン。2位ヤマハワークスのビニャーレス、3位ドゥカティワークスのドビツィオーゾ。ホンダワークスのマルク・マルケスはコースアウト後の鬼神の追い上げ後、ハイサイドの転倒。右上腕骨横断骨折の大ケガを負う。ワークスのもう一人アレックス・マルケスは12位に終わり、日本人レーサー中上は10位だった。
同じコースでの第3戦、優勝はポールトゥウィンのクアルタラロ、2位ビニャーレス、3位ロッシとヤマハが1-2-3と表彰台を独占。4位には中上が入った。トピックはKTMのブラッド・ビンダーがKTMサテライトのミゲル・オリベイラを巻き込んで転倒し、2人ともリタイアした。KTMには憂き目でしたね。他には2位走行中のドゥカティサテライトのバニャイヤが突然のエンジントラブル、3位走行のヤマハのモルビデリもエンジントラブルでリタイアした。
第4戦チェコグランプリ。優勝はKTMのブラッド・ビンダー、2位ヤマハサテライトのモルビデリ、3位ドゥカティサテライトのヨハン・ザルコだった。ザルコは予選1位の速さを見せ、V4エンジンのドゥカティとの相性の良さをみせた(前年、KTMのV4エンジンのマシンに手を焼き、シーズン途中でチームを出た。しかし、シーズン終盤では中上の代役でサテライトのホンダマシン(これもV4)に乗り、シングルフィニッシュをしてみせた)。ザルコはこのレースではKTMのポル・エスパルガロと接触し、ポルは転倒リタイア、ザルコはロングラップペナルティーを受けたが、3位入賞した。
第5戦はオーストリアのレッドブルリンク。KTMのお膝元でのレース。コースはストップ&ゴーのレイアウト。と、くればやはりドゥカティか。結果は優勝ドゥカティワークスのドビツィオーゾ、2位スズキのジョアン・ミル、3位ドゥカティサテライトのジャック・ミラー。前戦優勝のKTMのビンダーは4位、KTMのポルとオリベイラが絡み、2人とも転倒リタイア。KTMのエース、ポルだがアグレッシブな乗り方は良いのだがコーナー侵入ではらむことが多く、一挙にイン側に戻ろうとすることでの他車とのクラッシュが多い。前線のザルコとも同様のクラッシュだった。トピックはザルコとモルビデリのクラッシュ。300Km/h近い速度でザルコがモルビデリの前でブレーキング、モルビデリが回避できずクラッシュとなったが、転倒したマシンがロッシとビニャーレスの目前を横切る大クラッシュとなるところだった。これで赤旗中断となり、再開後の結果が先に述べた通りである。
第6戦は同じレッドブルリンク。優勝はKTMサテライトのオリベイラ。2位ドゥカティサテライトのジャック・ミラー、3位KTMワークスのポルだった。ゴール前の3つ巴のバトルは痺れましたね。トピックは前線と同じ、赤旗中断があった事。ヤマハワークスのビニャーレスがブレーキトラブルで200Km/h近いスピードからマシンを飛び降り、マシンは150km/h近い速度でスポンジバリアーに突っ込み炎上した。中上は2位を走行中だったが、赤旗中断後に新品のソフトタイヤが使えず、ユーズドタイヤで走り7位でフィニッシュした。なおヤマハはビニャーレス以外は連続したブレーキングに対応したブレーキシステムを装着。ビニャーレスは旧型でもブレーキ温度が上がらなかった為、旧型を使ったといわれる。
第6戦までですが、KTMの2勝は驚きですね。ブラッド・ビンダーはモトGP参戦して3戦目のニューカマー。オリベイラはKTM2年目ですが、モトGP2年目ですからね。その好成績の裏にはホンダ引退後にテストライダーとして移籍したダニ・ペドロサの功績があるでしょうし、プロジェクトを最初から支えてきたミカ・カリオの功績もあるでしょう。サスのホワイトパワーもモトGP初優勝でしたね。
マルケスですが、マルケスのいない状況では上位に食い込んでいるのは中上だけです。ホンダRCV213がマルケススペシャルだったという事でしょうか?
ヤマハもワークス勢は苦労していますね。ヤマハはここ数年パワーだけでなく、ハンドリングでも苦労していますね。良い所が余り出せていません。でもサテライトの2人は調子いいですけどね。
スズキは2人(リンス、ミル)とも調子いいです。マシンも直線が速くなってきましたし、元々コーナリングは良かったですからね。今年は運がもう少しあれば何戦か勝てるでしょう。
ドゥカティですが、ドビツィオーゾはチャンピオンを狙う最後のチャンスですね。若手の台頭はありますが、3年連続して2位に甘んじたマルケスがいない内にポイントを稼ぐことですね。期待しています。バニャイヤも来年ワークスに行けると良いですね。
アプリリアはアレイシ・エスパルガロが充分頑張っているのですが、マシンの戦闘力が少し劣っているようです。エンジンパワーがもう少し必要ですね。
ここまで見て来て、今後のレースのキーマンとなるのはザルコ、ポル、ミラーと予想します。
以上 僕から見た今年のモトGPでした。
Posted at 2020/08/28 00:56:11 | |
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