次戦、モトGP第14戦イタリアのサンマリノGPにアンドレア・ドビツィオーゾが復帰します。ドゥカティとの契約が更新されず、でもモトGPで走ることを望んだ彼は、契約するチームも無く、今シーズンは浮いてしまった存在でした。ドゥカティと同じイタリアのアプリリアが来年の契約ライダーとしてのオファーも込めて、テストライダーを依頼、テストライダーとして走り込んだドヴィでしたが、答えは保留。今回のヤマハのオファーには即OKとなったという事です。
何故、ドヴィはアプリリアワークスよりも型落ちのヤマハを選んだのか?ドヴィのしたい事とは何なのか?について今回は考えていきます。
アンドレア・ドビツィオーゾ
イタリア人35歳。4歳からミニモトクロッサーを乗り始め、7歳からレース、モトクロスに参戦。その確実にステップアップしながらロードレース世界選手権参戦3年目の2004年にワールドチャンピオン(マシンはホンダRS125R)となるも、キャリアを通じてチャンピオンになったのはこの一回のみである。2005年から2007年はホンダRS250RWで参戦。
ランキングは2位、2位、5位という成績だった。2008年よりモトGPクラスにホンダRC212V(800cc)で参戦を初め、4年間でランキング5位、6位、5位、3位となる。その後、1年だけヤマハに乗るのだが、この時もジュニアチームのテック3からの参戦で、勝利数は無かったが6回表彰台に上がり、年間ランキング4位となった。その後はドゥカティへ移籍、ドゥカティには8年在籍し、ランキングは8位、5位、7位、5位、2位、2位、2位、4位であった。長いGP歴の中でホンダ、ドゥカティのイメージが強い彼だが、ヤマハにいたのは1年のみ。並列4気筒を使ったのもこの時のみで、後はV4エンジンだ(2サイクルもV型の2気筒だが除外)。アプリリアもV4エンジンだから、相性は良い気もしたのだが、結果的にヤマハを選んだのは何故だろう?
モト2は2019年からトライアンフ製の765cc3気筒エンジンのワンメークだが、それまではホンダ製の600㏄並列4気筒を使っていた。モト2からモトGPへのステップアップ組には(パワーは倍近いけれど)馴染むのが速かったのかもしれない。事実、2年連続でモト2チャンピオンになったヨハン・ザルコは2017年のモトGPデビュー戦のカタールGPで数週トップを走って見せた(が転倒リタイヤ、しかしこの年、年間ランキングは6位と活躍し、ルーキーオブザイヤー受賞)。2019年からのトライアンフ製エンジンではパワーとトルク共にアップ。エンジンの電子制御が可能となり、マニエッティ・マレリ社exitがハードウェアとソフトウェアの両方をワンメイクで供給し、コーナー入口でのエンジンブレーキ制御による強いブレーキング、オートブリッピングを可能にした(シフトダウン時にクラッチを握る必要が無くなった)。これらも最近のモトGPステップアップ組には馴染みやすい理由かもしれないですね。コーナーリング重視よりストップ&ゴーを重視するコーナリングラインを取るという意味でもね。
お話戻りまして、ドヴィ+ヤマハ機ですが、ヤマハがパワーで他メーカーより上回っていた事はモトGP時代になってからは無く、コーナリングスピードの良さで他機を圧倒していた訳です。ドヴィは常にパワフルなエンジンのマシンを使っていましたから、その点では楽だったかもしれません。ですので、ヤマハでの挑戦は結果を残すにはやや難しい気もしないではありません。
アプリリアは来年から本格的なワークス参戦となります。やりがいはアプリリアの方がありそうですが、ヤマハを選んだのは何故か?
1. ドヴィのライダーとしての能力はもうあまり長くない
2. ドヴィは勝つことより楽しむことが好き
3. ドヴィを動かしているもの・・・探求心では?
1. ドヴィのライダーとしての能力はもうあまり長くない
ドヴィも35歳ですから、チャンピオンを目指すのには盛りを過ぎたと言えるでしょう。
ヤマハとの契約は2022年迄ですから、更新は多分無いでしょう。なので、その頃が潮時という気がします。
2. ドヴィは勝つことより楽しむことが好き
今年はモルビデリが使っていたAスペックのM1。来季はロッシの使っているワークスマシン(つまり1年落ち?)でしょう。上位に食い込めるレースもあるかと思いますが、楽しむことに重点を置いている気がしますね。レーサーが皆1等賞を目指しているか?少なくとも若いうちはそうかもしれませんが、今は少し違う気もしますよね?ヤマハも求めているのは実戦からのフィードバックをできる開発レーサーではないでしょうか?ドヴィならピッタリですよね。
3. ドヴィを動かしているもの・・・探求心では?
フロントから滑る転倒を無くせば、もっと最後まで走りきれるのさ・・少なくとも結果は出せるだろう?でも、どうすればいいのか?ジジ・ダッリーニャの元では解らなかったトライ&エラーが出来るなら、それはヤマハだよ。並列4気筒エンジンの搭載位置も良いのかもしれないね。ずっとV4乗ってきたから、最後の疑問を解きたいね。とかね。あくまで僕の勝手な推測ですけどね。でもこういうライダーは貴重ですよ。速いライダーは勝てなくなると引退してしまう。勝つことが出来なくなることでモチベーションが保てなくなるから。でもバイク好きで走り好きならいつまでも乗っていたいし、
改善案を出せる能力もある。そんなライダーだと思いますね。
自分も長いこと、ジムカーナに参戦していましたが、速いドライバーではなかった。だけど毎戦走っていて楽しかったし、練習も良くしてた。何よりセッティング作業が大好きだったんですよね。データ収集は常にしてましたから。また乗っていた車も王道のチャンピオンマシンを選ぶよりは自分の考えで選択してました。MR2時代にGC8インプレッサとか、FRに乗りたくてS15シルビアとか。最後は長年、ホンダにやられ続けだったので、1度はホンダに乗ろうとFD2シビックとかね。共通しているのはあまりデータの無いマシンばかりでしたが、その後、そのマシンは地方戦で活躍するマシンになっていたりすると嬉しかったですね。
自分と同じとは思いませんが、アンドレア・ドビツィオーゾ選手の活躍に期待しています。
実戦でもショーエイのヘルメットを使うようですよ(写真はアプリリアのテスト時)
Posted at 2021/09/17 14:50:31 | |
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