熱田轢き逃げ：名古屋地裁判決

　名古屋市熱田区の路上で２月、男女３人がひき逃げされ死亡した事件で、危険運転致死罪などに問われたブラジル国籍のロシェ・デ・フレイタス・ファブリシオ被告（２７）の裁判員裁判の判決公判が２２日、名古屋地裁であった。伊藤納裁判長は「３人を死亡させた事件の重大性、危険性などの事情は非常に重く受け止めなければならない」として、懲役２３年（求刑・懲役２７年）を言い渡した。

　公判では、事故車が３人をはねた際の速度が争われたが、判決は同乗者の証言などから検察側の主張通り時速１２０キロだったと判断した。また弁護側は「同乗者から逃げるようあおられた」と主張していたが、判決は「被告人の判断によって起きるべくして起きた事件で、被告人への非難は大きく軽減されない」と指摘した。

　判決によると、ロシェ被告は同じブラジル人窃盗グループの３人と１月３１日夜、三重県桑名市で窃盗事件を起こした後、名古屋市内で乗用車を運転中にパトカーの追跡を受けた。２月１日未明、現場交差点の手前で赤信号を認識しながら、ブレーキを踏まずに時速１２０キロで進入し、歩道の３人を約４０メートルはね飛ばして死亡させ、車を乗り捨てて逃走した。

　判決後の記者会見で、裁判員だった３０代の男性会社員は「事故は報道で知っていたが、裁判では、被告が犯罪に至った背景などいろいろな角度から事件を見ることができた」と話した。