
(注:またも長文です)
前回は
コチラ
昨夜は10時過ぎに早くも寝たというのに、しっかり6時まで爆睡。
地面が平らで、比較的柔らかいのが幸か不幸か。
テントを這い出してみると、空はあいかわらずどんより。天気予報では、朝のうち曇りで後に晴れ。
朝食も買い損ねているので、さっさと撤収して国道に降り、コンビニでパンを買い込む。
このまま南下してもいいのだが、せっかくなので、走ったことのない内陸ルートを通ることにし、道道を西へ向かう。
道南の風景は、いわゆる北海道のそれとちょっと趣が違い、ことに内陸の風景はどちらかというと、東北地方のそれに似ている。それが好きなのは、わたしが東北育ちゆえか。
日本海側へほど近い、厚沢部で国道227号へ乗って南下し、北斗市へ向かう。そのまままっすぐ行けば函館市内に入るが、そうはせず、さらに東へ向かって海沿いの鹿部町に出る。
これはまったくただの迷走に近い無駄走りとも言えるルートだが、走るのが楽しいんだからしかたがない。^^;
さらに南下を続けると、朝からずっと続いていた朝霧がひどくなり、とうとう雨になり始めた。予報では晴れるはずなのに、とむくれるがこればかりはどうしようもない。もうちょっと走って酷くなるようなら、Uターンして北上しよう、と思い始めたら、トンネルをひとつ抜けたらあっさり路面が乾き始めた。ホッとしてさらに南下し、椴法華を目指す。
道南最東端の地である。かつては村であったが、平成の大合併で函館市に編入された。
ここは、海岸ぶちにある露天風呂「水無海浜温泉」が有名。満潮になると海水が風呂に流れ込むという代物で、10年以上前の放浪時代に入ったことがある。今回は案の定海水浴場もかくや、という混み具合だったので、眺めるだけにとどめ、灯台で写真を撮って、先へ行く。
函館市内もやはり混んでいる。というか、今までが交通量の多いところを避けていたので、普通の交通量でもそう感じるのだけれど。市内を抜ける30分ほどで疲れてしまった。
北斗市のはずれで給油し、さらに国道を西へ向かう。晴れていれば海がきれいなのだが、相変わらず曇り空。もっともだいぶ明るくなったのが幸い。
と、国道沿いに妙な看板を見つけた。「男爵芋と蒸気自動車」なんだ???と思いつつ、走ると何度か同じ看板を見かける。蒸気機関車ではなく、「蒸気自動車」。ロコモービルとかか?と心惹かれて、行ってみた。
国道から線路を越えて少し行ったところに、朱色の屋根の建物が見える。農場っぽい雰囲気も道理で、ここは男爵芋の栽培で有名な川田龍吉男爵の「男爵資料館」であった。
入り口に記された入場料は500円。けっこうするのね、と思いつつも大きな木戸を開けて入ってみた。
と、正面にでん、と置かれているのは、まるでブルドーザーのような容姿のクローラ式トラクターだった。いささか衝撃を受けていると、明治スタイルの衣装に身を固めたおじさんが、先に入っていた家族連れに説明している。
曰く、川田男爵が使用していた明治期のトラクターなんだとか。こんなもの、よくいままで保存されていたものだ。
この建物そのものが、かつての川田農場研究所跡で、ここはその牛舎。床に敷かれた木のレンガは牛の蹄を傷つけないようにする配慮だとか。
すっかり度肝を抜かれ、じっくり見ていくとあるわあるわ、文献でしか見たことないような貴重な「当時モノ」の展示品が。しかも写真OK。一部に到ってはさわるのもOKというおおらかさ。
軽い気持ちで寄ってみましたが、すっかりハマッてしまいました。^^;
面白かったので、展示品の一部はフォトギャラリーにまとめてます。
コチラと
コチラ
すっかり満足して、さらに西へ進みます。今日は爆走モードではなく、お遊びモードだが、それでも走り出すと停まらないので、2時をずいぶん回ったあたりでやっと昼食。
晴れていれば、海が青くて奇麗なのだけれど、今日はあいにくの曇り空。それでも夏らしい蒸し暑い1日なので、由としなくては。
知内からは、国道は山沿いの内陸に入るが、海沿いにも道はあります。ただ途中で繋がってはおらず、行き止まり。ライダーに多い、やたらと岬などの突端を目指したがる突端志向症は、わたしにもあるようで、こういう行き止まり、に惹かれるものがあります。
道の終わりにある、静かな漁村の風景を眺めていると、人間ってどこでもたくましく生きていけるんだなあ、と思ったりします。
そんなこんなで遊んでいたのでもう夕方。今日も汗だくなので、ふだんの野宿旅にはあるまじき、風呂に入りたく福島町に温泉があるので、今日はここまで。
またも野宿地センサーを作動させると、漁港の上にある、高台にちいさな公園がありました。芝生がきれいに敷き詰めてあり、トイレと水もある。眼下には海、というロケーションにもかかわらず、誰もいません。
どうも見た風景だ、と思ったら10年近く前にテラノでドライブをしたときにも、テントを張った場所だったのを思い出しました。
と、近所の方が犬の散歩に来ていたので訊いてみると、やはり青函トンネルを造ったときの余剰予算で造られた公園だそうで、知られていないので誰も来ないのだそうだ。テントを張っても大丈夫でしょう、とのことで、今日の宿はここに決定。ふだん、公園とかは人通りがあるし、夜中に花火をしに来るヤンキーとかがいるのでテントを張らないのだが、ここは人がほとんど来ないので、妥協しました。
さっそく近くにある温泉へ行き、汗を流してテント設営。折りたたみ椅子を出して、ぼおっと暗くなってゆく海を眺めるのは至福のひとときでした。
それにしても、異様に喉が渇く。今日1日暑かったのでかなり脱水したらしい。今日は昨日より停まる回数はかなり多かったのだが、ちゃんと水分補給をしていなかったのがまずかったようだ。
手持ちのお茶だけでは心もとなくなり、散歩がてら下の国道に降りてみるとちいさな商店があり、お茶とアイスを買い込んで戻る。遅い変な時間に昼食を摂ったせいもあり、いっこうに腹が減らないので、お茶とヨーグルトが今日の夕食となった。
予想通り、早い時間に親子連れが花火をしに来たくらいで、ほとんど人気がない。
場内にナトリウム灯が2灯あるが、立木があるのでうまくテントの位置には照明が落ちず、絶好のロケーション。
ただ、あいかわらずどんより空で星が見えないのと、やたらと蒸し暑いのが玉にきず。
ラジオの天気予報では、明日は晴れるが明後日は雨だそうだ。
帰りのルートをぼんやり考えながら、眠りに落ちていくのでした。
本日の走行:偶然にも前日と同じ371km