お疲れさまです!
どんなタイトル画像やねん!(笑)
とツッコミながら。
みんカラ等々見ていると、巷で流行っている?
【Z34 パワステフルードクーラー(VABへの流用】が散見される。
言い悪いでははく、単に興味を惹かれた。装着云々ではなく、その伝熱理論に。
こんなブログを書いている今日は、、、
スバルフェアin サンシャイン神戸(3/9~10)の前日。装着品をまだ増やすつもりか??
と言われそうだが、、、
頭の体操🤸💡がてら効果の計算をしてみた。
モデルの書き起こし、微分方程式と特性方程式を解いたところ。
というのも?
イベント参加やチューニングショップ訪問をすると、大抵の場合で熱の問題(熱害)が絡んでくる。。。どんだけ発熱するねん、EJ20よ。😅
対策としてまず示されるのがオイルクーラーに代表される熱交換機器の増設であるが、、、。
だが! おじゃぶとしては、
"なんでもかんでも増設" なる策には違和を感じずにはいられない。
なぜその機器をココにつけたら意味がある?またはない?
この車はガソリン車ですか?EVですか?レベルのそんな超初歩的な質問に答えられない状況に遭遇することもしばしばであるからだ。
増設して効果が感じれなかった、、、なんてことはよくある話だが、まだマシ。それどころか、装着によって余計な負荷がかかり、システム的に脆い部分が壊れてしまう。恐れるべきはこれで、そうなってしまったら本末転倒である。😅
昨今、アスファルトの高性能化や建設がすすみ、地面から高々100mまでの空間には、現代科学が生み出した【比熱の大きい物体】が多く存在し、またそこからの輻射放熱により生活圏の気温は年々上昇している。
※個人的に、地球温暖化はこれ(熱容量の増大・蓄熱とそれらの輻射)が原因と考えている。
(二酸化炭素が増えたからって??笑わせないでほしい。たかが50ppmの増加でなにがかわる?)
人間にも自動車(産業機器)にとっても過酷な環境と化していることは間違いない。
しかし、こと車の熱対策については、戦うべきはその絶対的な高気温ではなく、★熱マネジメント、熱設計(熱と付き合う)★にある。
今回はパワステフルードクーラーに着目し、熱マネジメントの初歩を踏み出したい。これから熱対策を進められる方々の参考になれば幸いと思う。
◆本題◆
ラジエーターやオイルクーラー、インタークーラー、また本品を含む熱交換器とよばれる機器の装着については、その位置がしばしば問題となる。
フロントグリルに取り入れることができる走行風には限り(∝車速)があり、また"使える"温度差🌡️も制約を受けるからである。
当方車両でいえば、フロント側から順に、オイルクーラー(下段)、コンデンサ、ラジエータの配置であり、熱交換量がもっとも大きい(交流の空気温度が高くなる)ラジエータが最後尾となっている。
レイアウトの問題だけで決まっている訳ではないことは言うまでもなく、それは熱的なマネジメントが施された形態である。
ここに、ポイントは【熱交換媒体間の温度差】である。
一般的に温度差が大きいほど、伝熱量は大きくなる。そこに追加して、本投稿でふれる熱伝達(強制対流)は、冷却を果たす媒体(今なら走行風)の速度や、伝面(大きさ、形状)にも大きく影響を受ける。
限られた走行風を有効活用するためには、適切な熱設計とそれを実現する機器が必要である。
★ここで、すこし考えていただきたい。
36℃前後である人間の体温を、36℃の水や濡れたタオルで冷やすことまたは暖めることはできるだろうか?(念のため書く、潜熱は加味しない)
さらに、同じ温度の空気であるのに、扇風機で肌に当てたときのほうが身体が早く冷めるのはなぜだろうか?
暑い物体(クーラントやパラステフルードをイメージしてほしい)をより短時間で冷やそうとしたとき、我々は自然と"冷たい媒体&量を多くする"という行動をとっている。
(オーバーホットにもクールにもならない気温である秋口が、サーキットシーズンとよばれる科学的理由はここにもある。)
それは熱交換器もまったく同じことがいえて、つまり【適切な配置により熱交換機器に導かれる風の量、当たり方を最適化すること】、これがなにより肝心となる。
※温度は気温なりとなるため、制御不可。
※同じ温度でも、空気より水を与えた方がよく冷やせる。火傷のとき、冷水に手を突っ込みますよね?こんなことも関係する。
👉️上記を念頭に、冒頭のフィン&チューブタイプの熱交換器について、獲得効果を予測計算した。
いくつか仮定を含むため必ずしも実際とは一致しないかもしれないが、大きく外したものではない。↓↓↓
今回のテーマ:フィン&チューブタイプ熱交換器
(安価かつ製造が容易なことから、その歴史は深い)
→経験的に蓄積された実験式てして、Dittus-Boelter's equationやColburn J factor等が有名である。本検討でも前者を採用している。
フルードが流動する円筒パイプに対し、伝熱面積拡大のためのフィンとよばれるヒレ、羽のようなものがついている。
本ブログではその形状に言及したい(★同じ伝面であっても、その形状により伝熱性能は大きくかわる)。
一次元定常熱伝導のモデルを示す。
(フィン根本の温度は、フィンの幅方向で一定と仮定する。)
先に、【熱交換媒体間の温度差∝熱交換量】こそ肝心と記した。
ここでも考えていただきたい(上図が既に答えだが)。図中、雰囲気(走行風)温度がフィン周辺で一定とすると、高温の左側Thと低温の右側Tcでは、どちら側の(空気への)放熱が大きいだろうか?
答えは高温のTh側である。理由は空気との温度差が大きいから、となる。
ここで面白いのは、低温の右側の温度については、フィンの長さが長くなればなるほど、空気温度に漸近し、やがて温度差はゼロとなる。当該部分では熱交換をしないということである。
つまり!
★フィンはむやみに多く、または大きくすることにメリットはなく、それどころか交流の機器への導風を阻害してしまう。
これこそ、適切な熱設計をしましょう、と投げ掛けた理由である。
具体例を見ていく。
巷で流行っている?あの、某フルードクーラーである。
結論、
【効果はある。ただし、装着位置の影響が大きい】。
(そもそもクーラー必要か?という疑問は置いておいて、、、😅)
計算結果を参考までに記載する。殴り書きで始めた計算がいつのまにか1~2時間経っていた。。。でも、久々の計算は、
"微分!積分、いい気分♪"
だったのでよしとしよう。
(なんか聞いたことある?(笑))
フィンから空気への放熱モデルを仮定した図、式。
上述したフィンの効率(どこまで長くしておけば伝熱促進に効果的か?)を考えた図、式。
上記をもとに、フィンの長さとフィン効率の関係を描画した。↓
これをみると、幅30mmのフィンに対して、長さ(高さ方向)が5mmのところで既にフィン効率は30%程度にまで落ち込んでいる。意味としては、30%くらいしか伝面として機能していないということ(つまり無駄)。
また、フィンの直径を30mm、同枚数を30枚、配管厚みを1.0mm、外径を15mm、いずれも3000系アルミニウム合金を仮定して、フルードクーラーからの放熱量を計算した。理解簡単化のため、縦軸は低下させることができるフルードの温度(=クーラー入口と出口でのフルードの温度差)としている。
横軸は熱伝達率(∝風速、車速)である。↓
一般的に空気の強制対流による熱伝達率は~100程度で、強制冷却では35~50W/m2Kとすることが多い。
ところが、低下させることができる温度の幅はせいぜい4℃程度となることがわかる。
図をみてわかるように、横軸:熱伝達率が0~50範囲の勾配は大きい(熱伝達率に対して敏感)。
言わんとすることは、
【熱交換機器を適切な位置に配置しないと効果はない!】
ということ。
それどころか、ボンネット内部に装着してしまおうものなら、エンジン、配管からの輻射伝熱により、反ってフルードを加熱することにもなりかねない。
以上から、導き出される結論は以下のとおり。
・パワステフルードクーラーを増設する熱的根拠はあるが、その効果は装着位置次第。
(場合によっては逆効果)
・ラジエータ(空気とクーラント)、オイルクーラー(空気とオイル)のように、パワステフルード(空気とフルード)も、気体対液体 の熱交換である。
ここに、熱伝達率(どれだけ熱を伝えやすいか)は、液体の方が1桁大きい数値となる。
つまり、これらの熱交換器の性能向上には、空気側の伝熱を改善することが得策である(空気側の律速という)。
→伝熱性能は空気の速度に依存する。適切な位置に設置しないといけないと言ったのはこれが理由(風が当たらなかったらほぼ熱交換器しない。改善するにも、実用領域では感度が高く、より詳細な設計が必要になる)。
・クーラー増設によりフルードが辿るべき経路が長くなるため、その分ポンプの負荷(圧力損失)が増大する。
配管の曲律は意外と圧力損失に影響を及ぼすため、適当な配管をしたらフルードが冷える云々ではなく、そもそも流れなくなる。するとポンプはキャビテーションを起こして、、、、🔚。
最近、某SバルやT者、チューニングショップでいうとTストやFツボから熱交換設計を教えてほしいという申し出があり、担当者と雑談したこともあった。
協力するつもりはない(立場上よろしくない)が、個人的なチューニングについてはいろいろお話できることはある。
お気軽にお声がけいただきたい!
おやすみなさい💤