別報、メンテナンス手帳のとおり、インタークーラーフィンの整形作業をDIYにて実施しています(半分程度完了)。
あぁ、DIYといってもDO IT YOURSELFではなく、どうなっても(D)、いいから(I)、やってみよう(Y)のDIYです(笑)
どうかはなってほしくないですが、最悪交換する術があるのでよしとしましょう。
さて、作業ついて、
とくに難しいことはしていません。マイナスドライバーを用いて、変形したフィンを整形するというだけです。
以下、作業前後のインタークーラーフィンの外観です。
(作業前)
(作業後、右半分)
上図をみても、差は一目瞭然です。走行、エンジンパワーへの寄与度は判然としません(全開にすることもそんなにないですし、ECUの性能も向上してきていますし)。見方を変えれば、インタークーラーが完全に機能していなくとも、想定よりやや気温の高い場所(季節)を走行しているというくらいなものです。冬場にインタークーラーが完全に機能していなくとも、夏場のインマニ内空気温度よりはるかに低いはずです。
とはいうものの、本報作業を実施するか否かで、インタークーラーの懐は大きく変わります。虫や走行時の風圧によって変形することはしばしば(ディーラー担当者)とのことで、作業しないとすぐさまエンジンが壊れる…ことはありませんが、熱・流体(熱交換器)専門の当方としては看過できない問題です。普段、ガスプラントや発電所システム向けの熱交換器を対象に、フィンの材質や形状・構造、流体の温度などの影響を検討しており、新規高効率フィンの開発に従事しています。そんなこんな(1年目にしてやや職業病?!)で、インタークーラーのフィン変形はとても気になる問題です。
以下、やや専門的な話です。ご参考までに。ことクルマのインタークーラーについては熱の授受を果たす流体は高温側、低温側それぞれ気体(空気)です。つまり、水などの液体に比べると熱伝達率は差程高くありません。ところが、アルミ製フィンの軸伝熱の影響を除けば、インタークーラー全体としての交換熱量は、伝熱係数×伝熱面積×温度差で表現できます。ここに、伝熱面積は一般的に流体とフィンが接触する面積(厳密にはフィンの伝熱効率も加味する必要がある)と見なすこととします。ところが、フィンが変形して空気(大気)が流通しない面積が増大すれば、これに比例して熱交換量が小さくなります。このことは、ターボを通過して昇温した空気が十分(数学的に求まる値に対して)に冷却されないことを意味します。伝熱面積が半分となれば交換熱量も半分となります。本来冷却できる温度差の半分程度しか、冷却できないことになります。ただし、空気温度差はΔT100℃→ΔT50℃のように極端な話ではなく、シリンダー内におけるガソリンの燃焼温度と比較して小さいため、ドライバーが実感することは稀です(ストリートユースでの話)。
でも、でも、です。エンジン出力の高低でいえば、インタークーラーが確実に機能していれば高いということになります(冬場にエンジンの調子がよくなる、加速がよくなると感じるのはこれが要因のひとつです←1番の要因は空気の温度(ニヤリー=気温))。ご存知、ボイルシャルルの法則から説明できますね(割愛)。
いろいろ書きましたが、
インタークーラーフィンの変形による影響は、ドライバーの体感でいえば大きな問題にはならないが、伝熱、化学反応の観点でいえば影響は大きい、といえます。
皆様もいちど、インタークーラーを覗かれてみてはいかがでしょうか。
おやすみなさい💤
Posted at 2022/02/27 00:12:17 | |
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