こんばんは。
皆さんもゴールデンウィークは新型コロナウイルス対策で Stay Home ? お疲れ様です。
私もすていほーむ、とりあえずしてます。休みもあと明日だけになりました。その後は2日(正確には泊まりの仕事なので一晩) 頑張ったらまた土日ですけど…。
そんな感じでおうちで YouTube 動画を見ていたら、壊れた CVT の分解動画を発見しました。
…とその前に。
クルマ好きが集まるみんカラで説明はいらないと思いますが、みんながみんな機械に詳しいワケではありませんので、まず最初にざっくりと CVT を勉強してみましょう。 (詳しい方は ★★★ までブラウザの文字検索を使ってジャンプするか、それを目印にスクロールして読み飛ばしてください。)
そもそも CVT とは、車のギア … 変速機の種類の一種で CVT は
Continuously
Variable
Transmission の略語で、日本語だと無段変速機です。 (→
Wikipedia)
よく、MT (マニュアルトランスミッション)、AT (オートマチックトランスミッション) とか言いますが、あれです。CVT はその特長…自動で速度を変えることからおおざっぱに AT の1つとして分けられています。
逆に MT は人間が変速機のギアを手動で入れ替えます。他の変速機と違い、ギアがかみ合っているので駆動力の伝達効率は高く、アクセルを踏んだら踏んだ分リニアにスピードは上がります。ただしギア比が高いと力は発揮できますが速度は頭打ちになります。これが1速の状態。これをギア比を2速、3速…と手動で切り替えて、欲しい速度まで上げてゆくのが MT の特長です。
また、 MT はダイレクト感があり、操縦の自由度、コントロール性もよいのですが、操作を人間が行うので燃費は悪い傾向にあります。 CVT はコンピューターが細かく、そして高速に機械 (ギア比) を制御するので人間はとてもかなわないです。 (しかし、そのコンピューターの制御が煩わしいとか、車を操っている、操縦しているんだ!と感じたいから MT が好き…と思う人もクルマ好き、機械好きには多いです。)
ここまでの途中でギア比の言葉が出ましたけれども、CVT にも MT にもギア比はあり、自動車はエンジンから発生した動力をそのままタイヤに伝えるわけではなく、今回取り上げる変速機などを通じて駆動軸…つまり最終的にはタイヤがつながっている軸に伝えます。変速機は名前の通り回転の変速を行い、力 (駆動力) や回転速度を状況に応じて変化させる機械です。かなり乱暴にいうと、ギア付き自転車に6段変速とかありますが、アレをイメージしてみてください。
後輪に付いているギアの直径が大きい段 (ギア比が大きい 1段目) だと、人間がペダルをこぐ力は軽くて済みますがスピードが出ません。逆にギアが小さいと (6段) スピードは出ますがペダルをこぐ力は重くて大変です。あの状態が車の中でも起きています。
※9 7速スポーツシーケンシャルシフトマチックが搭載されます。
図は、左から2代目 オーリスのハイブリッド、CVT車、MT車の変速比・減速比です。
MT のギア比で説明すると、1速は 3.538 … 約4ですから、細かいことをざっくり省いて言えば、タイヤ側 (出力側) のギアが1回転回るのにエンジン側ギアは約4回転ほど必要と言うことになります。これだと車速はいつまで経っても高速に伸びません。
しかし、4速でだいたいエンジン回転と同じぐらい (1.029) になって6速のときはは0.700 ですから、エンジン側のギアが1回転回ったときは、タイヤ側 (出力側) のギアは1回以上回っていることになります。 (仮にギア比が 0.5 だとエンジン側が1回転回ったときタイヤ側 (出力側) のギアは2回転回っていることになります。しかしタイヤ側 (出力側) ギアを回転させようとする力はかなりの力を必要としているはずです。)
CVT にも表の通り、ギア比はあります。(詳細は後述)
CVT の場合は2つのプーリーがあり、エンジン側と変速ギア (タイヤ側 (出力側)) と金属のベルトでつながっています。
私は以前はベルトで他方のプーリーを引っ張って動ごかしているとイメージしてましたが、実際は異なり小さくて堅い鉄の部品 (これをエレメントという) をベルトにそって並べて、ある鉄の部品 (エレメント) が前にある同じ形の鉄の部品 (エレメント) をたたいて (押し出して) 、またそれが前の部品 (エレメント) を押し出して…と言うのを繰り返し、次のプーリーを回しているそうです。またそのプーリーは油圧で幅が広くなったり狭くなったりして、そのエレメントを強力な油圧で押し挟んでいる状態なのでエレメントは後ろから押し出されることができるようになっています。
これは、引っ張るとベルトが切れたり伸びたりして強力な駆動力を伝えることができないためで、イメージとしては5円玉 (50円玉でもイイです) をいっぱい通したひもを引っ張るとひもはちぎれますが、5円玉を隙間無く押すと堅い一本の棒になりモノを押すこともできる…と言うイメージを持ってもらうとわかりやすいかもしれません。
先ほどギア付き自転車でたとえましたが、より高額な自転車にはペダル側も3段などギアが付いているものがありますよね?
最も軽く、力強くこぎたい場合は、前は歯数が少ないギアで後ろは多いギア、最も高速に走りたい場合はその逆で、前は歯数の多いギアにして、後ろは小さいギアにします。
前が3段、後ろが6段だと、パターンは 3×6 なので18通り=18段となります。
CVT はアレと同じ状態で、ペダル側がエンジン側のプーリーと思ってください。
そして、CVT にギアが無いのはプーリーのコントロールに段数がなく、油圧のコントロールで自由に駆動力を変化させることができるからです。ギアは無いけどギア比 (減速比) があるのはこのためで、表の中の表記が 2.480 ~ 0.396 とあるのは、この間で無段階に油圧でプーリーを変化させる=ギア比を変化させることができるからです。
でも、トランスミッションが CVT だと車種によっては M レンジがあってギアがあるじゃ無いか!
実は、それも CVT のプーリーの制御で擬似的に作り出しているモノです。
私のオーリスは CVT ですが、 7速スポーツシーケンシャルシフトマチック機能があります。これは、上記 (2.480 ~ 0.396) の減速比のエリアを7つの段階に分け、油圧制御でプーリーを変化させます。
例えば車に7速の設定があれば、変化の領域 (エリア) を7つ設定してプーリーの変化を固定。1はこの圧力、2はこの圧力、3はこの圧力…という感じです。
結果としてイメージとしては7つのギア比に分けて擬似的に MT と同じような操作を行うことができます。(シフトレバーを M レンジに入れるとエンジン回転数と速度などの状況に合わせて M1 ~ M7 まで変更できます。)
たとえば、シフトレバーを M1 に…1速は速度は上がらないけど、駆動力がある状態なので山上りなどの登坂路では 1速 (=M1) から順番に上げて3速 (=M3) あたりを使うとグイグイ上っていきます。逆に2速辺りだと下りのときのエンジンブレーキはよく効きます。高速道路などでは、100km/h だと6速 (=M6) 辺りに入れて、エンジンを2,000回転ぐらいの割と低い回転で走ることができます。回転は低いと燃費につながります。シフトレバーを M レンジから本来の D レンジ … CVT のコンピューター任せにすれば、実際の回転数は速度に合わせてもっと下がりますから、燃費のよい走りにつながります。
またプーリーのサイズが自由に変更できる、ギアの段数が固定されていない…この利点は、変速機のギアチェンジ時に回転差などによるショックが発生しないことにもつながります。
ちなみに AT は変速機のギアを機械が自動で入れ替えているイメージですから、ギアを入れ替えるときにショックが発生する可能性があります。これは MT でも同じです。(CVT 以外はギア同士がつながるときに回転あわせが必要なのはこのためです。)
ただし、CVT は大きすぎる駆動力を伝えることは苦手。
マニュアルのようにギアがかみ合っていると発生したエネルギーを駆動力にダイレクトに伝えやすいのですが、CVT これまで説明したように構造はそのようになっていないわけで駆動力のロスがあります。CVT はある意味エレメントが滑りながらタイヤ側 (出力側) のプーリーを押して回している状態です。ここにロスがあります。
また排気量が大きいエンジンの場合、CVT ではなくて、従来の AT を 8速など多段化にして燃費性能や乗り心地など、性能をより高性能したものが使用されていることが多いです。
↓ちなみに CVT の仕組みを知りたい!と言う人はこちらの動画が役に立つかも?
↓もう少し詳しく見たい方はこちらもあります。 (難しくなります。)

ちなみに、オーリスなどの SPORT モードでは、このプーリーのハイギア側 (エンジン側) の変速領域を制限 (つまり変化させず固定して) ギアを速度側では無くパワー側に固定して駆動力や加速力を稼いでいます。(一方、他方…車輪側のプーリーは変化していると思われます。) そのため、SPORT モードで速度を出す場合、エンジンの回転をより高速に回す必要があるため、その結果アクセルを余計に踏み込む必要が発生して燃費は悪くなります。(ただし加速やレスポンスは良くなります。)
余談ですが、SPORT モードでは、アクセル-スロットル特性の変更も同時に行われるので社外品のスロコンと似たような効果が同時に行われます。(つまりアクセルをちょんと踏み込んでアクセル開度があまり開いていなくても、コンピューターがエンジン側のスロットル開度を大きく開けるため、エンジンが高速、またはパワー側で動くことになりレスポンスが良くなります。)
★★★
さて、ざっくりと CVT の仕組みを説明したところで、このブログでご紹介したいメインの動画はこちらです。CVT の現物の中を見ることなんてないのでそれだけでも貴重ですね。
そして、冒頭にお伝えしたように映像の中の CVT は壊れているのですが…
この動画で取り上げられた CVT は VOXY (ZRR70) 。うちの職場のノアも同じ ZRR70 ノアなので全く同じモノが取り付けられているはず。そういう視点からも興味あります。
この CVT の型式 (モデル) は K111 型。少し調べたところ、これは初代 WISH の 2,000cc (ANE1#) でも使われている CVT のようで、そうなると割と初期の CVT と思われます。初代 WISH がそうなら、うちの VOXY (AZR6#) もこれかな? (あとで見てきます。) ちなみに初代 WISH の 1,800cc は AT なので…。

調べ方は、助手席側にあるプレートを見ると書いてあるはずです。写真は2代目オーリス 120T の K313 型。ちなみにオーリスでは、 K313 (8NR-FTS / 後期の 2ZR-FAE エンジン搭載車) の他に、K311 (前期の 2ZR-FAE エンジン搭載車)、K312 (1NZ-FE : 2WD)、K310F (1NZ-FE : 4WD) があります。(ちなみにマニュアルトランスミッション車は EC62)
うちのオーリスも早く深くアクセルを踏み込んだら動きがぎくしゃくしたり、ドンドンと何かを突いているような衝撃を発するとがあるので、こんなことにならないか心配です。発生源がわからないのでコレ (CVT) が原因だとは言えませんけど…。
(2020/05/07 15:23追記)
後で調べましたが、
整備書の記載項目に CVT のベルトだけ修理…という項目を探し出すことはできませんでした。つまり動画でしめされた状態までバラしてから修理…というのはできないという意味でとらえました。(実際に動画の説明でもありましたが中古の ASSY 交換をされていますよね。) あと、取り外せる部分の各所を取り外したときのほこり混入についてはかなり厳しく書かれています。砂などはもちろんウエスなどの糸くずも許されないぐらい、それだけ精密、繊細であることがうかがえますね。
ちなみに CVT ASSY のお値段なのですが、ざっくり言うとリビルト品は20万ほど、新品は30万ほどのようです。これは工賃別なので…すんごく高額になりそうな修理ですね。
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それと…
CVT フルードは定期的に交換した方がおすすめです。(2万~4万km ごとがおすすめ。車種により写真と入れ替えるフルードが異なる場合があるのでご注意ください。)
私が製作した動画ではないので偉そうなことは言えませんが、Stay Home で空き時間が多くある方も多いと思いますので、動画でも見ていただいて、それが有意義な時間つながれば、紹介した私としても幸いです。
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