私の清酒の保管方法は、基本、常温。
蔵側の指定で、「本当に」冷蔵庫保管が推奨されていれば、「冷蔵庫」保管をしますが、開栓をしたら、基本、食卓の上での室温、常温保管になります。
そこで、「美味しくいただけなくなったら」、それまでですし、現状、「美味しく飲むことが出来なくなった」清酒は、片手で数えるほどです。
その「美味しく飲めなかった」もしくは、「美味しく飲めなくなった」清酒の傾向としては、最初からそうであるのと、常温保管が原因で「そうなる」パターンとあります。
いわゆる、早飲み(開栓したら早く飲み切って、もしくは、瓶詰めされてから早く飲み切って)型とジャンル分けされるのでしょうか。
製造者の、想定通りに「美味しくなくなった」型としては、設計通りなので、これはこういうものであります。
価値があるかは、飲み手の価値観に、委ねられるところでありましょう。
私としては、設計通りであるならば、そんなもんでしょう、と。
今のところ、印象深く、ネガティブな(不味かった)清酒は、二つ。
一つは、お土産売り場で売られていた吟醸酒。
一つは、蔵元で直接購入した吟醸酒。
前者は、管理不足か、もしくは、瓶詰めされる前からこうであったのか。
飲んでも、どうすればいいのか、よくわからない(笑)
後者は、裏書の解説にあるような物語の味わいの状態であるとするならば、論理的に、破綻している味わいの構成。
その時代に、この香り成分は、存在しないだろう上に、どのような機能を持たせたかったのか理解に苦しむ味わいの構成。
しばらく時間経過をさせて観察してみましたが、冷蔵庫で冷やしても、燗酒にしても、どうしても、私程度の技量においては、美味しく飲むこと叶わず、廃棄となりました。
昨今、環境問題が問われていますから、そもそも常温保存が適当であった品質を、わざわざ電力使って冷蔵保管をしなければならないものを製造していることについての、これまでとは違うベクトルの知的操作がなされても、不思議ではない情勢だと考えます。
言い出したもん勝ちですので、それまでどのようなものを供給していたのかは、すぐ忘れることが出来そうです(毒)。
ポジティブな印象の清酒は、四六時中、室温が割合高めの一定した空間で、日光からは遮断されていた状況で開栓後、一年以上経過した純米酒の味わいが、開栓してから味わいが落ち着いた頃と、ほぼ同じ、つまり美味しく飲むことができる状態だったこと。
熟しもさせず、かといって落ち込みもさせず、清酒製造の技術力とは、こういうこともあるのかと、目を開く思いでありました。
さて、清酒に関しても、日常使いの用として、常温保管というものに、日の目を向けても良さそうであります。
葡萄酒においても、日常使いのものは、台所の片隅に常温保管しているのも、一つの好例でありましょう。
一升瓶を壁に並べると、豪勢ではあります(笑)
やはり、四合瓶を、ワインラックのようなものに並べるというのが、想像をしやすいのですが、横に寝かせるよりも、立てておいた方が、四合瓶のデザインに持たされた機能としては、妥当である気がします。
この点、ワイン瓶のようなデザインの四合瓶も作られていますので、瓶形や中身の清酒の機能にあった保管の方法で良いのだと考えます。
これが、ウィスキーとなると、「魅せる」と称した方が良いような、保管方法を選択している好事家の方々が多いのではないでしょうか。
なぜだか「魅せる」陳列をしたくなるのがウィスキーでもある、ような気がしますし、ウィスキーの瓶のデザインというものから、そのような印象を持たされているのか、興味が尽きないところであります(謎)。
この辺り、中身のアルコールに持たされている機能性が、「食中酒」であるのか「食後酒」であるのか、その差異が、瓶のデザインに及ぶものがあるのではないか、と、考えるのも楽しいものです。
欧米の価値観に即した国際社会においては、純アルコール量、という「知的操作」によって、摂取アルコールの制限というものが、国家、民族、個人の体質の枠を超えて、一律に、規定されるのが、ここ数年のトレンドになると見ています。
私にとっては、しんどい量でも、「一律」に規定されたアルコール量の範囲内での飲酒が推奨されるということになります。
この辺り、100年ほど前の雑誌文献を漁っていると、当時でも、清酒の低アルコール化が、議論されていたことがわかります。
これは背景に、米国の禁酒法の影響があったものだと、推測することができます。
さらには、資本制経済における技術の革新(行き先)としての、清酒の技術の方向性の考え方でもあるようです。
今でいえば、「低アルコール原酒」にするのか、それとも「加水」しても風味を損なわない「濃醇」な清酒を作るのか。
真逆なベクトルであっても、目指すべき地点は同様であったというのが、興味深いところであります。
私としては、拙い経験から観察していると、口にした「低アルコール原酒」においては、非常に酔い方がよろしくない印象を持ちます。
濃醇酒として製造された清酒を、加水(常温、湯割り)して、適度にアルコール度数を落としたものの方が、酔い方も、酔いの覚め方も、良好である印象を持ちます。
無論、「低アルコール原酒」の中においても、酔いも覚め方も良好(良質)と感じられたものもありますが、片手で数える程度でありますから、技術的に、濃醇酒を加水して低アルコール化させる方に分があるのが、2023年の現状なのでしょう。
低アルコール清酒において、課題とされるとすれば、長期保存に耐えうる酒質であるか否か、となると、100年前にも議論にあげられています。
100年前の議論の中でも、葡萄酒程度のアルコール度数にする、というのが一つの目安であったようです。
では、それが現在のような度数であったのかどうか。
100年前の葡萄酒と、それ以前の葡萄酒のアルコール度数と。
そして、それ以前の葡萄酒のアルコール度数は、現在よりさらに低く、そしてそれは、長期保存に耐えうる酒質であった、となると、アルコール度数の高さと、長期保存に適した酒質との関連性にも、興味を惹かれることになります。
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路線名 | 日記
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2023/12/24 10:38:27