アナログ技術が、主に提供機能自体を生み出す技術や発明であり、デジタルは主にその代替化、大量に器を用意し、機能をプログラムで記述(焼き付けや上書き)によって、構成させる技術と言える。アナログは再現性に個体差、バラツキがあり、故にチューニングやノウハウが付いて回ったが、デジタルは細かく分解能を上げて行けば、「バラツキ無く、同じトレーサビリティが、ノウハウ要らずに誰でも再現できる」と言った働きがあるがゆえに、板金プレスが金型で形状を固定化、転写したように、「半導体」という素子に機能
を転写し、部分的に書き換えることで同じ部品で違う働きをも担える技術となった。
これが一般の人々の生活に最もインパクトを与えたジャンルが家電、特にオーディオとTVの世界だったと思う。音と映像はどちらもアナログ技術から発展し、その技術は日本でほぼ頂点に達した。しかし、デジタル技術によって、エンコードされるとレコード針から、光学ピックアップに替わった時点で、ほぼ、再生のばらつきは消えた(金を掛けても刻まれた0と1の信号の数以上には出てこない)。原版の音は一定レベルに固定され、誰が再生しても同じ音(厳密には途中に介在する電気回路などで再現度は異なるし、最後は未だアナログスピーカなのだが)。
TVもNHK主導で日本が投じた莫大なハイビジョン技術もデジタル技術と半導体の高密度化、低価格化により席巻され、主導権は消えた。微細な色再現の技術は今もデジタルとは言え、インプット、アウトプットの評価、チューニングの差異は残っている。手練れの実験ドライバーの有無と同じだ。ただ、それをコストに変えて市場が評価するほどには大衆は差異を気にしない。
1年ほど前、奥さんが「昔のラジオなんだけど、捨てていいかな?」と持って来たのが、高校時代に使っていたというSONYのアナログラジオ。たしかこれ。
・スカイセンサー ICF5900 (なんとヤフオクで1~2万前後で取引w)
場所取るし、短波聞く人も居なくなった(亡くなった祖父)し、ということで廃棄したのだが、最近、アナログ品の付加価値というか、機能、性能ではなく機械式時計と同じような、手間暇とメカニカルな視覚的なわかりやすさ、それに共に過ごした青春時代を持っている、というようなレコードと同じような感覚かな。で、オブジェでもいいから置いとけばよかったな、、、と思って調べたら、既にそういう市場が出来ていて、マニアの間ではジャンクのサルベージなどで人気有るんですね。
今、改めて見るとよくわかるけどもコストダウンの限界と言う凝ったメカで難しい生産性。これを全部タッチスイッチと液晶に置き換えれば、物理スイッチは消えて、正に大量生産で無表情な機会が出来上がる、その最先端がスマホだろうな。機能部品に必ずメカが同居していた時代。
新型Cクラスが出てきて、一番に感じたのが「やっぱ、W205を抑えていてよかった」という点。液晶メータがそもそも好きでは無いので、物理キーが消えてゆく予見があったし、「次世代の車はもう、私の時代のものでは無い」と思っていたので、巨大なタッチパネルになったのを見て、もうそういう時代だよね、と思ったのでした。
それが、これを書こうと思った潜在的スイッチだったのかも。
で、話を戻すと、では、なんか80年代ラジカセみたいなモノを一つ、ラジオ聞くのにほしいな、と思って家電店でミニコンポなどと見ると、おしゃれでコンパクトなものが多くある。音源はみんなUSB(;^_^A で再生すると、どれもピンとこない。ノイズは聞こえないが、張りと切れが無い似たような音。原因を探ると、私の感だとスピーカがどれも弱い。電力食わない高効率の軽いスピーカがほとんど。これなら昔の俺のラジカセの方がよかった気がする、、と思い起こして調べたのがコレ。
SONY ZX-7 (なんと、ヤフオクで2万前後で取引w)
厳密には取ってがないので「ラジカセ」とは言えないのだが、当時「こんなのがこの値段!!」と驚いたけど鳴らしたら「うーん、ラジカセの音じゃない!」と気に入って買ったもの。勉強時に机の上で聞くのに丁度良かった。こいつの肝はアルミハニカムの平面スピーカ、ソニーではAPMスピーカと言ってたかな。これが良くて、壊れて捨てる時も、このスピーカで小さいキャビに入れていつか作ろう、分解してスピーカだけ取っていた。(が、度重なる引っ越しと多分カミさんが捨てろ!!、と言った何回目かで捨てたのだろう、探したけど見つからなかった(;^_^A 確か此奴は鳴らすのにパワーが必要で、ZX-7の1/4は単一乾電池4本の収納部で、パワーが必要だった)
これらを見ると、目で見てわかるメカニズムと、操作感、外観の高級感(スッキリデザインだけでなく、ノブ等のアルミ削り出しとか、素材もしっかりしたものが多い。
結果、これらは、パクッて量産しても、原価がそうは変わらない、、という市場ロジックによって、さほど盗まれなかった。これがデジタルになると、主要基盤はICチップ。あとはボディのプラスチックデザインと宣伝の売り込み技術?。これで出来上がり。
K〇デンキに並べてあったほとんどを聞いたが、1機種だけスピーカが優秀で「これだけ違うな」と娘と同意したが、「心地よい音」はやはり金がかかるのはアナログが手間に正直だからw。
しかしながら、人類の技術の進化というのが、「機能、性能を広く、多くの人が使えるように・・」ということなら、間違いなくデジタル技術の進化がそれを可能にしたと言える。
一方で、アナログでは実現できなかった「ばらつき無いが故の累積誤差無し」が可能にしたコンピュータの計算能力。それから変化に強い超精密分解能を可能にしたことで見えなかったものの可視化など、膨大なデータを扱える世界が広がった事。そのことは半導体の未来がCPUではなく、東芝が持っていたソリッドメモリ技術に移行し、超高速読み書きメモリの性能が、左右するようになった。
だが日本は平気で海外に買収されるのをぼーっと見ている。愚かな話。エルピーダは乗っ取られてつぶされ、かろうじて米マイクロンに拾われて(台湾-チャイナは阻止)難を逃れたが、東芝はキオクシアに分割された。なぜって、買収しやすくするためにだよね。東芝は防衛産業も抱えていて一体だと買収困難。別会社に切ってしまえば後は金だけ。
そうやって、草刈り場になっているのが今の日本。政府の無能さは浸透されて故意にやられているとしか思えないが。
大きな、次の時代を担う産業の土台、そう言ったものをどうやって育て、守り、GDPを上げるのか、、という戦略を全部企業に丸投げ。昔はそれでも何とかなったが、巨大資本がモノを言い、ファウンドリ―と言われるようになった
EMSが技術は無いのに規模故の資金力で、買いあさる挙句、それが有力企業に化けて行った(開発費を投じるより、持ってく企業を買収する方が上に行く力学。勝負の天王山を見誤ったのか、お人好し)。
また横道にそれたけど(;^_^A、
アナログ時代の製品は、スイッチノブのブッシュ、グリース、リンク機構のダンパーや、ポテンショ、スライド抵抗など、摩耗、損耗するものが沢山ある。故に品質と言う耐久性をまじめに試験して築いたブランドと、今や中韓企業は買って来て組み立てて、バッジ付けて、とそれらが今度は、自動車産業を乗っ取るという動きをしている。なんだかなぁ。
(オブジェにほしい、SONYのジャッカル)
しかしこれらアナログ機器が、そそるのは生物的な完成になじみが良いことがある。デジタルはそれ自体はハーネスの中だけで生きているもので、最初と最後のインとアウトはアナログインターフェィースが重要だとおもうな。タッチパネルは車に合わない。音声操作への過渡技術なんだろうけど、音声操作もなんだかなぁ、で馴染まない。
また続く(;^_^A
Posted at 2021/03/02 18:33:48 | |
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