車に続いて、エコ的な、自動運転的なテクノロジとは異なる話題の技術を使った、バイクの話。
ネタ的には少々古いのかもですが、現実のものとなった時期でタイムリーかと(;^_^A
これはなんぞや?
NIKEN
二輪のマーケット縮小は国内で激しいですが、最近ようやく下げ止まったかの話を聞きます。もっとも欧州など世界規模では、それほど落ち込んだような話は聞かないのですが。
日本メーカが衰退した分、ハーレーやBMW、ドカティ、KTMといったメーカは元気なように見えます。
路上輸送機関の形態は、タイヤの数と場所で様々有りますが、主流は2輪のバイクと4輪の自動車。その派生形態として、2輪の場合は、側車と付けたサイドカー、後軸が2輪のトライクや、そのまま前輪も2輪化した4輪バギー。4輪自動車の場合は、積載重量に応じて輪荷重を限度以下にするために多軸化したトラックや、トレーラなど。
そんな中で、近年新たなジャンル?になるのか、3ホイラーや4ホイールのいわゆるスイング機構付き車両です。その安定性に目を付けたスクータ的なポジションから始まって、一定程度の市民権を得て来たようです。
ざっくりタイヤの旋回理論形態としては、オートバイに代表される車体を傾けることで、タイヤにキャンバースラスト(10円玉転がして、直立から傾くとその方向に円運動してやがて倒れる挙動)を起こして旋回する丸いタイヤのグループと、回転方向と旋回円にサイドフォースを起こして旋回する直立したタイヤで曲がる自動車のグループが有ります。
んで本題ですが、本格的なオートバイの車体構造を変えて、3輪化したヤマハ話題の「NIKEN」スズキの刀に対抗したのか、日本刀2本の剣を意味する2剣(;^_^A
そのメカニズムは大変大仰なものですが、タイヤの使い方と旋回理論は2輪のままという、実は非常にシンプルかつ、古典的なものです。特にフロントサスは伸縮フォークを使っており、通常はタイヤをまたいで1輪あたり左右2本となるところを、片側縦に2本構成の片持ちとなってはいるものの、タイヤに入る入力と伸縮機構はバイクと変わりません。
これに対しては、他社から、タイヤ側にスイング機構を持たせたより自動車的なナックルアームを構成させたタイプもあります。(個人的には、重心高さ、構成の合理性、軽量で高剛性にしやすい、などでは後者有利と思いますが)
上記写真の機構に対して、NIKENの場合ブレーキングで曲げモーメントを受けつつ、上下伸縮することと、ノーズダイブでキャスタが起きて、トレールが減少する事や、セルフステアが影響受けるコンベンショナルな2輪のフロントサスの課題をそのまま引きづっているところは、必ずしも革新的とは言えない気はします。
縦2本の片持ちという厄介な構成のため、2本のフォークはそもそもブレーキングでねじれるため、それに贖うための縦2本であり、普通のバイクが3つ又の上下2か所に対して、クランプが3か所となっている事で、ねじりに対抗する構造。ただ、車のストラットサスのような曲げを受けながらの上下に対しては、縦2本で受ける剛性では有利であり、ねじりは全周変形なので、上下フリクション上は通常の2輪フォーク構造よりも有利なのかもしれません。
さて、それはさておき、2輪の旋回理論をそのまま引き継ぐ3輪ゆえに、何がメリットかと言えば少々?。 ただし、フロント2本は車体のロール方向には反力を持たず、45度のバンク角を許容しますので、ぐらりとすれば、バイク同様倒れます(;^_^A
従って、考えられるのは初心者に多い2輪での転倒の恐怖は、主にフロントからのスリップダウンで、リアは何とか出来るものの、フロントのスリップダウンはよほどのことが無い限り、立て直しは間に合いません。が、このNIKENは、文字通りフロントタイヤが2本あるので、フルブレーキングの、ブレーキ能力がタイヤ分約2倍。これはウエットや一瞬の凍結なら、何とか410mm離れたタイヤの軌跡が異なる確率からも、助かる可能性が増えます。
前後重量バランスが50:50と相まって、バイクのだいご味であるブレーキングでのピッチングモーションを使って、旋回の前、前半、中盤、脱出の4ステージを大幅に安直にしてくれるとも言えるし、逆に伸ばして使えば、あり得ない突っ込みと、ウイリー並みの立ち上がり加速おも許容するという、新境地があるのでは、、、というのが私の最大の興味です。 それは驚異的なSS600クラスのいわゆる「前乗り」と言われる、前後に荷重をかけて旋回するサーキット走法のような走りが、リスキーな公道でも使えるのでは、、、という事。ただし、それがよりリスクを生むことになると、本末転倒な技術かも。
具体的には、通常公道で走る2輪の領域は、フロントのグリップ力以上の旋回円は書けず、リアタイヤのグリップは少々パワードリフトしても、何とかなります。ではフロントのグリップはどうやって増やすかというと、それは無理なので、実はサイドフォースを減らすというか、負荷をかけない乗り方で限界を上げます。つまり、リアタイヤの旋回軌跡が2輪の場合は主旋回半径なので、リアのトラクションとバンク角をバランスさせて、1輪定常旋回円に持ち込むと、理論上フロントは前荷重を支えているのみで、キャンバースラストはゼロ(タイヤ自身が回転する中での旋回円と一致している状態)旋回でもかまいません。つまりタイヤの回転方向がリアの旋回円にシンクロしているので、サイドスリップはしないわけです。これが初見の知らない峠でも、バリバリ走れる秘訣で、フロントからのスリップダウンイメージは、走っている本人には有りません。
ただし、アクセル開けてフロント加重を抜いて、コーナリングの全領域や、全コーナでこれをやっていたり、出来ているわけではなく、外乱や、葉っぱや路面状況で、そこまで開けられない場合は、慣性定常旋回円になるので、フロントにも相応のキャンバースラストで踏ん張んてもわねばなりません。その時が、一番限界を感じる時で、下りの雨のコーナなどでは、突っ込みの減速量が、勾配分の加速を見込んだうえでの旋回遠心力に贖うマージンがちゃんと取れたか、、が問われます。
つまり、車ではアンダーステアという領域は、車体の前輪と後輪のサイドスラスト比で、フロント側が先に滑って車両のヨーが旋回の飛び出す方に生じる状態を言いますが、バイクの場合は基本、アンダーステアは有りません。フロントがスリップするような状態でリアタイヤの旋回円を膨らます方向に滑って行く状態は、公道では起こせません。なぜならこけるから(;^_^A。 ただし、ミューの低いオフロードでなら、結構あり得ます。流れた瞬間に車体を起こす方向にハンドルを一瞬切ってグリップさせて、ハイサイドっぽく起こしながらすかざすカウンタを当てると言うような、走り。グリップが低く、終始リアがスライドしながら、走る場面では、そもそも車体を前に進めるためには、リアの駆動力で前輪がまっすくになるようなセルフセンタリングも余り期待できないため、ハンドルをこじりながら、車体のバランスを取る領域が多々出現するためです。
このように、グリップの高い公道では、フロントをサイドスラスト使って、前後輪のバランスを取っている走り(昨今のSS系の前乗り領域)は、一般人には手が出しにくい領域ですが、このNIKENの構造なら、フロントは2倍のグリップが期待でき、リアとのバランス上、オーバステア側になるでしょうから、その領域に持って行った後、アクセル開けてトラクション掛けて、フロントを押し出すようなアンダーステア領域になったとしても、オフロードでのハンドルワークのようなことが公道で容易に出来るのかも、、、と思うのです。 一旦スポーツ走行をこなせる技量を身に着けると、わざわざフロントのグリップに不安を持つような荷重の旋回はしなくなるので、今さらなので興味ないのですが、逆にフロント加重を目いっぱい掛けながら走るような別世界のいざないが有るのなら、のぞいてみたい、、と言う(;^_^A
その場合、車の場合のアンダーステア領域もバイクの世界で使えることになり、安全性もさることながら、立ち上がり加速は随分と手前から思いっきり掛けられるのではないかと想像します。(静的にはロール方向に贖う力が働かないのは通常の2輪と同じですが、動的にはハンドルを切ると、左右を並行リンクで連結している構造上、車体を起こす力、ロール軸を回す力を得ることが出来ると考えるからです。(これは先ほどの、通常2輪がオフロードでちょい、起こしに切れ込みがってに入れるステアの効果)
そうなると、技量が並みの方でも、気負わず「前輪からスリップダウンする」イメージを払拭でき、積極的に操れる領域の人からすると、従来めったに使わなかった旋回力をキャンバースラストだけでなくサイドフォース(つまりドリフト領域)を存分に引き出すことが出来るかも、、とフロントもリアもサイドフォース領域に持ち込んで遊べる?という事かも。
うーん、そうなると試乗レベルでは試せないので、欲しくなるかもですね。
<国内での試乗インプレの速報動画が有ったので、貼っておきます>
動画で走行後のNIKENのフロントタイヤに付着のカスを見ると、どういう負荷かわかります(;^_^A
メカ的には、バイクのステムベアリングのフリクションは、セルフステアの肝の部分ですが、NIKENは構造上、私の見るところ、①ハンドルからの伝達リンク軸2個、左右輪の片持ち軸が左右各上下の4個、スイングする並行リンクが3個x3本=9個。加えてボールジョイント1個?の16個対2個の差が有ります。そして、連結してるという事は、相互ガタを嫌うので、与圧なり、バックラッシュゼロ化の樹脂ブッシュ組むなどしていると思われるので、メンテナンス大変そうw。
そういうメカ的には、複雑怪奇かつ、アライメント精緻で、約70kgも重いメカニズムを背負った対価は有るのか、無いのか(;^_^A
とにかく、今のところは試乗出来ない限り、妄想の範囲なんですが、メカ的な興味は大変有って、出来れば勉強用に欲しいなー、、と妄想しております(;^_^A。 178万円!、こけた時にはどんぐらいの修理コストが掛かるのか、それも気になります。
それにしても、ごつい外観とメカメカしい、トランスフォーマ化、ロボットか、と言ういでたちは目立ちます。115馬力なんですが、誰でも使いきれるとしたら、峠では相当速いかも。
いよいよ、日本でも発売となって良心的なお値段ということもあって興味津々なバイクではあります、でも車重が重いなw(;^_^A