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2022年11月26日 イイね!

バイクの乗り方 Vol.5:「セルフステア・曲がるの正体②」の巻

バイクの乗り方 Vol.5:「セルフステア・曲がるの正体②」の巻前回のコメント欄で、

「キャンバースラストが分からない」
「内向力が分からない」
というコメントを頂いたので、それを踏まえて解説してゆきたいと思います。




バイクに限定した枠で言うと、キャンバースラストとは、
「タイヤを傾けると、傾けた方に曲がる力」と言い換えれます。

前回のブリジストンさんから引用したグラフは、バイク的にはリアタイヤの状況を説明していると思うのですが、タイヤにバンク角(キャンバー角)を与えると縦軸のGが発生しますが、つまり、タイヤを外側に持ってゆく力=Gが発生しているということは、タイヤはその反対の力を発揮しているということに成ります。
その力の正体が「キャンバースラスト」なのですが、普通の人は「キャンバースラストとはなんぞや?。」となると思います。


とはいえ、これはバイクの基本原理でもあり、うまいヘタ、速い遅いを分ける核心にもなるので、ヘタな説明になりますが、ちょっとお付き合い頂きます。

バイクのタイヤは傾けて使えるようにトレッド面はラウンドしています。そこでまずタイヤの2つの状態を考えましょう。


垂直に立ったバイクのタイヤが有ります。
これを真直ぐに押して転がしてみます。垂直に転がるこの状態を:Aとします。
次に、同じタイヤを真直ぐに立てて、そのまま手を離します。恐らくその場で左右どちらかに倒れますね。この片方に傾いて倒れる状態を:Zとします。

これが、バイクにおけるあらゆるタイヤの動きの全て。この2つのAからZまでの間の動きがバイクの慣性力を使った「キャンバースラストで曲がる」原理のすべてであると言えます。そしてこれに、ブレーキやアクセルと言った縦方向(回転進行方向)の前後力は、このキャンバースラストを操る手段の一つでもあります。つまり車で言うハンドル操作に該当すると言っているわけです)

解説:
Aはタイヤの回転方向に運動エネルギーを受けたので、タイヤと言う質量体は路面の摩擦によって回転しながら前に進みます。垂直に重心と接地点が合致する条件では、左右どちらにも傾きゼロで転がり始めると、タイヤはまっすぐに直進します。ところが現実世界では路面の状態か、タイヤの真円度か、何らかの力で左右どちらかに傾いた場合、タイヤの重心点はタイヤのトレッド面の中心を外れ、傾いた方に重心がズレて、タイヤは倒れようとします。しかし直進する慣性エネルギーが有るため回転しながら旋回し始めます。この旋回半径は、タイヤが倒れようとする転倒成分と、曲がることで発生した遠心力と釣り合い、倒れずに有る傾きを持ったまま、「最小の転がり抵抗で(サイドスリップゼロで)旋回しながら転がり続けます」

しかし、路面との転がり抵抗や空気抵抗で徐々に速度が落ちて、倒れる力が大きくなります。ゆえに倒れる角度が増えて行き、その分旋回半径はさらに小さくなり、遠心力は増えますから釣り合います、、そして倒れずに段々速度が落ちるにしたがって、旋回半径を小さくしながら、バンク角(キャンバー角)も増やしながら、転がってゆきます。
この、タイヤをバンクさせたことで生じた旋回する力を「キャンバースラスト力」とここでは使います。

次に、Zの状態はどうか?。タイヤは垂直から少しでも左右どちらかに傾くと、タイヤの重心が接地点から「例えば、右に」移ることで地面に落下(転倒)しますがこの時、接地点の摩擦力でタイヤは右側に「接地点を軸に」倒れます。これは直進運動(タイヤの回転)運動成分がゼロなので、重力になんらあがなう力は発生しないので、ただ倒れるのみです。

このことも重要で、タイヤにキャンバー角を与えただけでは、キャンバースラストは生まれず、あくまでも前進回転の速度成分と合わさって、はじめてキャンバースラストが生まれます。

私が使う言葉で「内向力=キャンバースラスト+サイドフォース(コーナリングフォース)」ですから、バイクを曲げる力の大体7~8割を担うキャンバースラストをまずご理解いただけたでしょうか?。。


この、バイクを傾けて、重力によって倒れる(転倒しそうな)傾いたタイヤが内向してゆく旋回力を操るのがバイクの醍醐味です。だったら、「旋回速度とバンク角で内向力は決まる」となるのは半分正解で、まだ残りがあります。それがライダーの技と言うヤツです。
ここに車とは違う「バイク独特の重要な力の働く成分」が有るわけで、これをいかに引き出すか、、がいかにバンク角を増やさずにキャンバースラストを引きだすか、、という技に繋がるのですがそれはひとまず置いといて・・・。別枠で書く?かも。


次に、もう一つ言葉の定義をしますが、「セルフステア」という言葉。これも解釈が人の数ほどあって、どれも前提をつけ足せば同じかと思うのですが、世の中的には狭義のセルフステアは、
①「バイクを傾けることで、前輪が旋回軌跡に向けて舵角を付けて曲がることから「バイクをバンクさせることで前輪がステアするジオメトリーのこと」

②バイクを傾けることで、フロントタイヤがリアタイヤの旋回に追従して舵角を生む動作のこと」

というように、大体はバイク側が構造的に舵角を付ける動きを指摘する目線と、ライダーがバイクをバンクさせることで、間接的にフロントタイヤが舵角を付ける動きを引き出す、というライダー側主体の目線とで捉え方とで異なる様の思います。

私は②の方の目線で使っていて、さらに通常はバイクのセッティングでアライメントが決まったら、セルフステアも一定の動きに決まってしまう。だからライディングあれこれでは、「セルフステアを使わない」という言葉も目にしますが、現実にはセルフステアを「引き出すテクニックと、抑え込むテクニックという +と- の操作もまた、セルフステアの範疇と考えてます。だから、同じバイクでもライダーの差が出る秘密のポイントだと思います。

例外は、セルフステアを全く使わずに乗ることすなわち、速度成分がゼロのZの状態を使うトライアルの競技は、バイクがバランスを取れず、ライダーが身体とハンドルを使ってバランスを取る状態なので除外しますが、それ以外はセルフステアの手のひらで走っていると考えます。


話の流れが見えていますでしょうか?。

①バイクの曲がる原理、力を知る。
②内向力の成分を知る。
③セルフステアの理屈を知る。
④ライダーがバイクを曲げる手段を知る。
⑤曲げる力を増やすと減らすを制御できるようにする。
⑥正しい走行ラインを考える。
⑦バイクを正しい走行ラインに乗せる。
⑧セルフステアを使って、走行ラインを走る

というように、頭と体が理解できれば(説明できれば)いいなと考えています。


では②以下に進む為、実際のバイクの動きで見て見ましょう。
下の写真は、バイクが旋回した時の、前後輪の軌跡を示したものです。
(30年ぐらい前の私のラジコンですが(;^_^A)


右上は私のGSXR750#4/5モデルですが、どのようなバイクでもフロントフォークは後傾しており、タイヤ接地点とステアリング軸角の地面との交点間の距離をトレール量として諸元表にも記されています。
ステアリング軸角(キャスター角)を持っているため、後輪と違って前輪の接地点は直進時には車軸の真下にあるものの、バンクさせるとステアリングの軸に沿った力で地面に押し付けられているため、前進速度を持つ動的状態では、このトレール成分によって、常にタイヤの回転抵抗分が、接地点に掛かるがそれより前にステアリング回転軸心が来るため、タイヤは常にトレールの交差軸と接地点を進行方向で一致させようという力(一致した時その力はゼロ)が働くので、ステアリング軸の回転自由度を持ちながらも、一定の方向に舵角を保つ成分が働く構造になっている。

では、次にそのタイヤ接地点を見て見ましょう。
<上の図のバンクした旋回中盤の前輪を拡大した模式図>



<バンク中の旋回時の前後タイヤの接地点>



まず、皆さんの意外と意識に無いのが、バイクは傾けるとタイヤ直径が小さくなっている、という事実です。これは接地点がラウンドしたタイヤの外側に移行してゆくので、その分直径が小さくなったのと同じ効果を持ちます。

①前後輪ともに減速効果が生じる(ブレーキ状態が起きる)
直進状態も、定常円状態もタイヤは等加速度運動をしてるが、その過渡状態のバンク角が増え続けている間は、タイヤの回転は車速が同じ速度でも上昇し続けている。
 ※定常円までのバンク角を素早く倒し込めるほど、この効果を使える。のんびり倒しこんで行くと、ほとんど生じない。

次に図の前後タイヤの軌跡を見るとわかるように、前輪は後輪より必ず外側を回ります。
バイクの旋回円を(トライアル車)極限まで詰めてゆくとリアタイヤを軸に前輪が90度近く切れて回る。またバンク始めると同時にリアタイヤは曲がり始めるがフロントは遅れて切れてゆきます。これは別途解説。

②フロントタイヤは、リアタイヤより旋回速度が速い。(外側を回る)
※キャンバースラストはリアから始まる(フロントは遅れる。なぜならステアリング軸の回転自由度が有り、起き上がろうとする力が発生するのは舵角が決まってからになるから)。セルフステアを制御する大事な要素。

そして、フロントからスリップダウンする原理ともいえますが(;^_^A、 皆さんがフロントのグリップ力にやたら気を遣うメカニズムでもあるかな、フロントタイヤ特有のジオメトリ。
③フロントタイヤは、メーカの味付けで(ジオメトリで)サイドフォース成分が重要
※バンク角とセルフステア舵角の折合いは、ラジアルタイヤの出現で大きく変わり、フロントタイヤは積極的にリアタイヤの旋回半径より切れようとする味付けで、サイドフォース成分がリアのバンク角より浅いところで、大きく出る。

この3つのポイントを示しているのですが、図では、バンクしている傾いた前輪を、旋回円上を真上からみたイメージで書いています(;^_^A
旋回円の軸心からラジアル方向に遠心力と転倒力(キャンバースラスト)が釣り合っている状況です。上で説明した①のように、タイヤ接地点が旋回円の内側の外周に移行します。
その過程で前輪には舵角が付きます。そのためステアリング軸角のせいで前タイヤは、内側外周方向だけでなく、ステアリング軸角の延長した対地接点に向けて前方にも移動します。そして定常円の状態に入ったら、ステアリング舵角は一定に固定されて、バイクの重量配分に合致した遠心力に、あがなって起き上がろうとする力を分け合います(キャンバースラスト成分)。

ここで、①で示したバンクに伴ってタイヤ半径の変化による減速成分が働きますが、②の通り、フロントの方がリアより強く働きます。そして、直進から定常円までを時間軸でフロントの挙動に当てはめて、ここでは簡単に触れます。あとで詳しく解説するかも(;^_^A


<セルフステア制御をしない初心者ライダーの場合>
右カーブでバイクを倒し始めると、
①車体は右に傾き、リアが旋回を始める。
②フロントは一瞬左に切れて車体が傾くのを助ける。
③車体が定常円に到達するバンク角にまだ到達しない間にフロントタイヤは舵角を付けて行く。初期は減速成分のモーメントで舵角は強めに。
④定常円に近づくとバンク角はほぼ固まり一定になるので、フロントタイヤには切れ込む成分が減って、舵角は浅くなる。

このフロントタイヤの動きを追うと、タイヤの接地面に側力が掛かるのは、倒し始めの最初の左に舵が切れる時と、そこからリアの旋回円に追従が追いつくまでの間には、転倒モーメント力と遠心力の「内側と外側」に向かう力とは別に、前後方向の減速する力と、舵角が増えて行く過渡でのサイドフォースが生じることが分かる。つまり旋回円の接線方向に向かう力にあがなう「縦の力」が生じている。

この縦の力はブレーキでライダーが制御することが出来るため、直進からのターンイン時にブレーキングで前輪荷重を高めて、旋回を始めるとキャスター角は起きて前輪を内側に向かせようとする反力は大きくなる。加えてタイヤの抵抗とタイヤのステアリング軸回転中心からの接地点がオフセットしたモーメント力を制御することで、舵角の強弱を制御できる。しかしこの力はサイドフォース(縦の力)と言う所がみそで、その前輪の舵角を付ける力を強めて旋回しているわけなので、フロントが起き上がろうとする力は、サイドスラストと釣り合う力より大きい(よりバンクしている)わけで、これがチョンと滑る(マンホールとか)と、皆さんおなじみの前から内側にコテッと倒れるわけです。

もちろん、キャンバースラストも実際にはタイヤを横に滑らす力も受けているのですが、バンク角が25度ぐらいまでは車体を起こす力の下向き成分が大きく、45度で下向きと横向きが大体釣り合います。バイクのロール軸より高い位置に合成重心があるSSなどのバイクは、ロール軸を中心にバイクの慣性質量はロールするので、バンクしたフロントタイヤは地面に押し付けられる成分が得られます。
<動的なロール軸>


これが車と決定的に違うところで、車もタイヤ接地面より上に重心が有るのでロール軸を中心に車はロールしますが、外側タイヤを押し付けると同時に内輪を持ち上げる力が働き、
最終的にタイヤのグリップが出せる水平方向抗力(最大サイドフォース)を超えてドリフトします。バイクはラジアルタイヤの進化で公道でも40度ぐらいまではタイヤのグリップを高めながら旋回力を引き出せるからです。(※ただし、遠心力と釣り合わせながらリアタイヤを路面に押し付けることが出来れば、、、ですが)

今回は、バイクの操り方のヒントを述べたつもりです。
①セルフステアの主成分は、リアのキャンバースラストを軸に曲がる組み立てをすることで、バイクの横方向のグリップを有効に引き出すこと。

②フロントタイヤには舵角が付くことで、サイドフォース成分が大きくなること。
 また、バンク角が30度を超えるあたりから、遠心力がタイヤを押し付ける成分が減って代わりに横方向に押す成分が増えて行くこと(キャンバースラストが遠心力と比例しなくなる)。
 
③セルフステアを操るということは、バイクのジオメトリを使って「バンクさせる」という代用操作を使って、前後タイヤに旋回力を生ませること。その際に、フロントタイヤのグリップをブレーキやハンドルへの入力でどう使うか、またリアタイヤへのアクセルワークで縦の力を操ることで、リアタイヤの内向力と、フロントタイヤの抵抗力を使って、セルフステアに影響を与えることが出来るということ。セルフステアは受動的なメカニズムだけど、ライダーに広範な引き出す手段が隠されているということ。



今回も長くなってしまいましたが、まだまだ細かい特性上の話はありますが、私が20代に自分で実験して理解した「フロントとリアの滑り方が違うこと」の疑問と探求で、駐車場での8の字の練習の中で、リアの通る所とフロントの通る軌跡が異なることから、それぞれに10cmぐらいの幅の砂を撒いて、旋回中にそこを通る時のスリップ挙動を調べると、リアはアクセルワークさえ変動させなければ、ほとんど滑らず、フロントは必ず滑るけれど、ある乗り方をすると滑らせずに通ることがわかり、旋回動作でタイヤがどの方向に負荷を受けているのかを考えて乗るようになりました。

次回もセルフステアを少し続けて、このようなバイクの特性を踏まえたライン取りについて、考えてみたいと思います。
Posted at 2022/11/26 23:45:14 | コメント(2) | トラックバック(0) | バイク | 趣味
2022年11月20日 イイね!

バイクの乗り方 Vol.5:「セルフステア・曲がるの正体①」の巻

バイクの乗り方 Vol.5:「セルフステア・曲がるの正体①」の巻前回、さらりと以下のことを言いましたが、端折りすぎかと思い、補足することにします。

>バイクのメカニズム的に言うと、タイヤのグリップ力を、キャンバースラストとサイドフォースの2つの内向力配分が変わる領域と言えるかと思います。





バイクはどうやって曲がってゆくのか?を操る側からの流れで見てきましたが、セルフステアを使うのが私流です。するとセルフステアはなぜ働くか?を理解しないと、なかなかその「利かせ方」が分からないということに成ると思います。

セルフステアはバイクを傾けると、フロントタイヤに舵角が付いて、旋回を始める・・と見えますが、最初にシーケンスを明かしたように、

①ライダーが、②バイクを曲がりたい方に傾けると、③バイクの質量のリア:フロントは7:3ぐらいの割合ででリアタイヤが主体に(イメージですが)車体重心とタイヤ接地点のモーメントにより、リアタイヤのキャンバースラストをメインに内向する(コイン転がしのクロソイド曲線の例)と、④その動的慣性力の行きたい方(リアタイヤの旋回方向)に、⑤追従する最も転がり抵抗の少ない舵角にフロントタイヤがステム軸(三つ又)の回転により舵角が生じて、⑥フロントタイヤはキャンバースラストと若干のサイドフォースを加えて、バイクの内向力に合流する・・・と言うイメージ。

その土台の概念を、割とざっくりではあるものの、多くの人にはとっつきやすく解説していたブリジストンの2輪タイヤのコーナを紹介しておきます。
<タイヤの役割>
タイヤの働きが、バイクの運動を生かす、、という視点で開発されているので、当然ながら重要ポイントが踏まえてあります。ぜひ一旦こちらを見ておいてください。






次に、セルフステアが起きる理由についてのメカニズムについての構造説明をしておきたいと思います。(ブリジストンさんのページの中のグラフも使って、勝手に解説を加えます。)

1.バンク角によるキャンバースラストの非線形特性(グラフ1)


タイヤの最大グリップは、ゴムの特性上か、5~8%ぐらいのスリップ率をピークに急減しますが、その手前の段階として、バンク角の深さとキャンバースラスト成分による内向力は、大体30度ぐらいを境に、発生力は落ちて行き、公道での路面μとコーナリング速度のバランスで、45度のバンク角を発生させているとき、に、タイヤをつぶす荷重状態に持ち込めれば、車では難しい旋回しつつの最大加速グリップが得られます。)


2.公道走行での妥当な、バンク角範囲(グラフ2)


このグラフでは、バイクのバンク角で発生する旋回力の合成関係が分かります。
バンク角30度ぐらいまでは、ほぼキャンバースラスト力で内向力を賄っていますが、それ以上になって来ると、フロントタイヤの舵角によるサイドフォース(スリップ率が出てくる)を使って、旋回力を上げている(私はラジアルタイヤの誕生以降、これが大きくなって行き、現在のSSは深いバンク角と舵角を許容するハイグリップなタイヤの出現と相まって、その領域が楽しめる。しかし、考えてもらいたいのは、あくまでグリップ有っての話で、サイドフォースを使いだすと、スリップ率が閾値を超えないように、制御する必要が出てくること。

この2つの内向力成分について、リアタイヤを使ったセルフステアが支配するのは、基本キャンバースラストの世界。で、これ以上の旋回力を得ようとする場合の領域

①バンク角を深めてさらに旋回力を上げるために、逆説的だけれどフロントタイヤの舵角を逃がしてバイクを倒し、キャンバースラストを獲得するか、
②フロントタイヤを若干切り込ませて(サイドフォースを増やして)バイクが起きる力に対抗するか、となる。


加えて、車の世界でもタイヤの荷重制御をデリケートに(プラスマイナスに振らせず、一定Gをかけ続けるような操作や、ハンドルを切ってタイヤがたわんで、、という過渡状態を作りこめる操作をできるケースでは、この内向力の絶対値も配分もライダー次第でかなり異なる。倒し始めてから内向力が発生するまでを短縮できるわけで、当然同じ旋回時間の中で、旋回角度を大きく出せることに成ります。

これが、少し深堀したバイクの曲げ方についての水面下の風景。・・・ですが!、これだと、ライダー側が何をしたら「セルフステア特性」をコントロールできるのか、、に到達できないので、もう少し深堀するため、解説図を作ってみました。
セルフステアを構成する原理を知らないと難しいから、、、と思いつつやっぱり良くわから無いか、返ってさらにわからなくなるかも、の危険も思いつつ(;^_^A 次回に。

Posted at 2022/11/20 18:08:14 | コメント(1) | トラックバック(0) | バイク | 趣味
2022年11月04日 イイね!

バイクの乗り方 Vol.4:「車とバイクの違い-②」の巻

バイクの乗り方 Vol.4:「車とバイクの違い-②」の巻前回からの続き・・・

非日常の速度域では、また違ったテクを使うのは車でも同じで、タイヤの限界領域を行き来するので、操舵もまた変わってきますね(バイクのメカニズム的に言うと、タイヤのグリップ力を、バンク角で生じるキャンバースラストと舵角で生じるサイドフォースの2つの内向力配分が変わる領域と言えるかと思います)。


<2013年のケーシーストーナ:深いバンク角とフロント舵角ゼロで旋回?>


極めて専門的になりますが、リアタイヤは単純なんですが、フロントタイヤの挙動はバンク角と速度とステムの切れ角とタイヤ荷重というパラメータが相互干渉しながら、非線形で連動するためとても複雑でデリケートです。

※バイクの種類でもカバー範囲、得意領域は変わるので、アメリカン的なバイクは前回の「車とバイクの違い-①」で述べた①の領域でもセンタリングが強く、低速でもぐらつくことは無いので、ハンドル先行で小径に曲げながらでも減速勝手(バイクが寝ないので)でバランスとっても不安は少ない。それ故ジオメトリ上小回りできないけど。逆にSSではそもそも舵角が切れないのでアレですが、キャスターが起きているので直立力が弱く(モーメントが大きいのでフロントタイヤのサイドフォースを強く誘引するため)、低速だとちょっとバンクさせても、オーバシュートさせてゴロン、と転びやすかったり、フロントからスリップダウンさせたり。つまりバイクのロール制御で間接的にハンドルを切らせる運転だけでは、バランスを取り切れないケースが出ます。なので、この①の領域(約30km/h以下)は練習が必要です。

1回のツーリングで、この辺りの領域を練習する時間割合は極微なので、最初のうちはこのためだけの8の字や、角8の字で集中的に練習するのがイイですね。(角8では定常円はほぼ存在せずに一瞬ですが、そこの旋回バランス点に、ハンドル切ってバンク角を落とし込み、バイクが転倒しないようバランスを「ライダーが取る」と言う点が、他と一番違う所です。この部分は自発的な上達意欲が無いと、いつまでたってもゆっくり足など付きながら向き変えして乗る状況、、、に終わります(;^_^A)まぁ、①と③は少々特殊領域と言えるかもしれませんが。


サーキットでのプロライダーの「操縦技術」は色んなテクニックがある(と思う(;^_^A)のですが、バイクの基本的な物理特性を無視した技は有りません。なぜなら転ぶから(;^_^A またバイクの旋回特性を習熟する為の思考過程は、高速で高荷重状態のサーキット走行も、公道の低速低荷重状態であっても、変わりは無いと考えています。それは結局路面とタイヤのグリップ力の限界(一部特性)の違いであって、公道の低ミューの悪アンジュレーションの路面で安全に引き出せるグリップを探りながら走行するテクニックは物理現象的には同じです。

だから転ばないように操縦する限り、バイクの運動と協調させて、、の範囲を超えることは有りません。車と違ってバイクはあくまでもライダーの間接的なバランス操縦によって、バイクの動きたい方にバイクを誘導する、、ただし「ただ1点、転倒しないバランスが取れるように」という呪縛からは逃れられない運命の乗り物です。



だから、現実には旋回半径が決まったAという90度コーナ単体で考えると、とあるバンク角で、定常円に入るには、そのバイクでのその時の旋回速度はもう、決められている、と言うことです。

バイク+ライダーが織りなすバンク角は旋回半径と旋回速度で起きる「遠心力」に釣り合うバイクのバンク角、となります(この時、バイクのハンドル舵角はバンク角(倒れる)と遠心力(起き上がる)が自動的に釣り合うバランス点に移動するので、ブレーキまたはアクセルでパーシャル速度をそこに作ればピタリと固定されます)。

通常はバイクのバンク角は車速(遠心力)とラインに合わせて作るので、膝を擦るバンク角は、「それに見合う旋回速度が無ければ、そこまで傾かない」となります。
なので、車の運転がうまい人は、進入速度を決めるファクターには、定常円に持っていった場合の最大旋回横Gが、「これぐらい」と体が覚えている感覚で進入速度を読んでいることに成ります。この目測が外れると、オーバースピードで遠心力に対抗するタイヤの踏ん張り余力によっては耐えられず、膨らむ、、ということになります。

バイクの場合は同じカーブでの同じ横Gであっても、バイクは遠心力と釣り合うバンク角で傾いているので、そのバンク角を知りたいのか、遠心力のGの大きさを感じたいのか、がライダーの深層心理なので、耳のセンサを垂直に保てるスタイルで横Gを図り、バンク角は膝か肘(;^_^Aで測っている(公道では普通は必用無いハズで、また横Gは内臓の重力でも感じていると思います)。

それから重要な目線ですが、なるべく遠くの未来点を見ることの意味は、頭が絶えず振動と動きのなかで、相対差を感じ取るためには、動かない固定点を視認する必要があり、そこに視線を置くと、動体の自分が狙いの軸角に合っているのか、が分かるからです。手前を見るとどちらも動いて見えるため、狙いとのずれを感知できないからです。


近年のモトGPは頭を少しでもフロント荷重に回して突っ込みのインの取り合いに飛び込んだ後の旋回Gでフロントが逃げないような独特のスタイルになっていますが、もはや特異な次元だと思います。公道では全く優先順位が違うので、こんなスタイルは不要だと思っています。(公道ではこんなグリップが出ないのでそもそも傾きませんがw)

<ヤマハのファビオ.Q>


私的には、そもそも公道で使う最大バンク角は大体40度ぐらいまでで、マージンとしてさらに5度ぐらい使えるかな、、、と言う哲学です(考えるとわかる通り、物理的ジオメトリから引き出せるグリップと、セルフステアの精度低下を考えるとそうなる。メーカも分かっているので、SS系のバンク角は、ステップ下にバンクセンサーとしてバーを出して、大体バンク角45度程度になっていると思います)。また、バイクが持つ最大コーナリング速度は、公道のμとタイヤグリップで作れる定常円旋回能力で決まりますが、この状態を身体が覚えこむことには意味が有りますが、公道をバイクで走る場合は、その「最大G一定」状態の優先度は低くて、大事なことは「リスクを減らす組み立てにフォーカスすることです」。

直立からバンク角が増えてゆくとタイヤの縦荷重は減ってゆき、横荷重は増えて行く。サイドのキャンバースラスト力が増大すれば、旋回半径は小さくなり、遠心力の増大でバイクを起こす力と倒れこむ力も増大し、タイヤのグリップ限界を超えてしまうと、起き上がろうとする力が抜けて、スリップダウンします。

つまり、0~45度までは倒すほどに舵角も付いて、タイヤが路面に押し付けられる力も増えて行ったが、45度を超えると増減が反転し、バンク角で生じるキャンバースラストは大きくなるが、タイヤに掛かる地面鉛直の荷重は減り、遠心力と逆向きのサイドフォースは増大すると言った具合に、バンク角45度はそれまでの制御パラメータの変曲点となる感じ。また、遠心力が1Gに達するためにはタイヤの生むμも1.0が必要になるため、公道のアスファルトμを0.8とすると、バンク角は45度以内で釣りあうはず。


リッターSSに乗る場合、既にそれはポルシェのGT3レベルの車を乗るに等しいスポーツ性が有ります(GT3に乗ったことは無いですが(;^_^A)。公道では使い切れないポテンシャルが有り、文字通り使い切れません(;^_^A。 それは繰り返し述べているように、車と違ってバイクは急に何かを変更することが苦手です。なので最大横Gを出そうとクリッピング速度を上げて行くと、車では前後のグリップ限界を先に超えたタイヤがスリップして膨らむ、、で済みますが、バイクの場合は、同時に転倒のバランスを取り直す必要が有り、その制御が大変(特に前が滑った場合)

限界手前であったとしても、バイクの「定常円」の状態から、遠心力で起こしてゆくのはリーズナブルですが、障害物をよけようと、新たな旋回半径を与えるには、もう一度バンク角を設定しなおす必要が有り、これを咄嗟にできるためには身体が、反射的に「ハンドルを切る」では無くて、「切らせる」という間接操舵が先に出来ないと、固まることに成ります。(この時の、特にフロントタイヤの使い方はには踏み込みません)

なので、そこからの動作の工程をいち例として記すと(状況に応じて色んな手は有るけども、)、まずは

旋回中ながら軽くフロントブレーキを掛けて、バイクを起こす力を利用し、バンク角を一旦浅くしながらラインを外に膨らましながらも、速度は落ちて行く。この時もハンドルのセルフステアを維持しながらバイクにバランスは取ってもらいながら、向き変えを入れます。そしてもう一度落ちた速度(=小さい旋回半径が取れる)でハンドルをインに切り直させて、障害物を避けて、元の定常円に復帰して脱出となります。

この「先にバイクの姿勢を操縦して、舵角を思ったラインに切りなおさせて、、」からやっとバイクはその方向に曲がるからです。

車のように、「ハンドルを思った方に物理的に切る:反射動作」では曲がりません。もし、車のようにハンドルを先に外側に切った場合、バイクはイン側にさらに倒れこむことになり、体はアウト側に、バイクはイン側にと「シンクロ率0%」となり、そのまま倒れるでしょう、もしイン側に行こうとして、ハンドルをインに切ったならば、バイクはアウト側に起き上がり膨らむため、心はイン側に、バイクはアウト側に同じくシンクロ率0%となり、無理にインに引き込めばハイサイド的に外側に吹っ飛ぶか、握りゴケ的に、フロントタイヤが舵角方向と旋回方向のズレ過大でサイドスリップとなり、イン側にこけますね。

もし、イン側に向けたいなら、バンク角と舵角にマージンが有るなら、そのままインにバンク角を増やして切れ込まさせるか、少しハンドルのイン側を押すか、アウト側を引いて倒れこませてバンク角を増やし、キャンバースラスト力を増やして旋回円を小さく補正します。この場合、バイクの行きたい方に「*体を合わせられていれば、」バランスはバイクが取ってくれるので問題なく曲がれます。しかし公道でならば、まずは軽くブレーキを当てて速度を落としつつ、バイクが起き上がる力をフロントのグリップを上げる方に使って、イン側にバイクを引き込んで定常円半径の変更を行います。

公道だと、同じワインディングの同一車線側で、前のバイクが転んだ場合、転んだバイクは外に滑って膨らむのでイン側に逃げるし、反対車線のバイクが転んだ場合は未来を読んでスペースのできる方にハンドルを「切らせます」。

80年代の峠小僧の時代には、そう言った訓練風景があちこちで展開されていましたねぇ、、遠い目www。

ちょっと脱線しましたが、上のラインの代え方を読んで、ちゃんとシミュレーションできた人はイイですけど、そうでない人は、「*」の方法がイメージできないはずですので、やめておきましょう。素直にできるだけブレーキをそっとグリップ範囲でしっかり掛けて(;^_^A 速度を落として障害物を避けましょう。

まだ続く(;^_^A
肝心の事を伏せて周辺事情だけで書くと、冗長で難解ですね。
Posted at 2022/11/04 21:49:05 | コメント(0) | トラックバック(0) | バイク | 趣味

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