米中戦争後の世界について
※今回も、緊迫した話題ですが早くも、その後を展望しておきたいと思います。
戦争が国家総力戦となった第2次大戦以後の戦争は、核兵器の登場により、睨み合い戦争すなわちテーブル下でのどつきあいとなり、いわゆる冷戦となりました。米ソ冷戦は、武器のチキンレースで「もし、戦争したらどっちが勝つか!?」のいわば軍事カードの見せ合いでした。レーガノミクスで経済を、ココムによって「技術を渡さず」と、武器の高度化(戦略SDIなど)による高額化(ここには80年代から民生用とで爆発的に発達した半導体技術を西側が握った(日本の貢献大)と言う面もあり)により、硝煙の戦争から「経済力・軍事技術力戦争」と戦いを変えることで、ソ連は崩壊しました。
しかしソ連邦の人々はそれでも別に政府を変えたいと思っていたわけではなく、チェルノブイリの事故の顛末によって、命に関わる施策で「政府を信用できなくなった」ことが、深層心理としての「耐えるよりどころ」を失ったことだと言われたりしてます。
そして今回、中国と米国の戦いは、これまでは「経済互助関係の、ある意味師弟関係で、WIN・WINでした。
日本が、技術と経済的な力を持った1980年代に、実は、アメリカに取って都合のいい「市場と工場」だった日本は飽和し、逆に脅威というか、手ごわい競争相手になりました。その後どうなったかは、ご存じのとおりですが、プラザ合意での円高、スーパー301条による、競争優位且つ、戦略分野には巨額のダンピング課税、それによって半導体を迂回させた通産官僚の思惑はある意味成功したけれど、韓国に○パクリで「自由競争」を押しつけて監視しておきながら、一方で韓国の財閥国家資金での国策には目をつぶり、今のサムソンが有るわけですが、これはアメリカのシナリオ通りでした(ごく最近、韓国にフッ化水素止め、、とかがまかり通ったのは、アメリカが変わったからに他なりません。だから、韓国の思い通りに日本が動かなくなった、日本はむしろ中国、北朝鮮に横流し防止の番人に変わりました。
今回の米中戦争は「冷戦」とは違い、「同じ経済圏内での経済総力戦」の構図であり、「ガチ熱戦」です。そこを見誤ると間違います。日本では、「収まるといいですね、貿易摩擦」程度のきわめて小さな扱いですが、実態はこれまで述べてきたとおりです。
アメリカが巨額の貿易赤字での不均衡を言い出して、貿易戦争が始まりましたが、それは見方を変えると、日本と同じ「中国の市場」が飽和して、ある意味うま味よりも、競争相手としての脅威に変わったからと言えるでしょう。なのでアメリカの典型的なちゃぶ台返しであり、加えて共産主義独裁をいよいよ消し去る、第3次世界大戦と言える構図です。
このように、同じ自由経済に呼び込んでおきながら、民主主義を持つ国家と違い、共産党独裁国家のまま、WTOに加えてしまったせいで、経済的にも(軍事的にも)力も与えたところが大きく違い、日本のようにおとなしくしぼんではいません。ソ連以上に手ごわい相手になっていました。
そこで、今に至るわけですが、今アメリカは中国経済をマヒさせることにあらゆる手を尽くして追い込んでいます。ここまでは、もう何か突発的な予想外の事態にならない限り、うまくいくと思うのですが、香港での宣言によって、中国を世界経済の「ドル」から締め出す準備が進んでいます。もう、「いつ実行するか」とアメリカの胸先三寸の状態。
それはいいんですが、私が問題にしたいのは、その後なんです。これから先が実に問題。
それと言うのも、過去のアメリカを分析すると、実はアメリカには
「何時も「その先」の戦略が欠落している」
のではないか、と危惧しているのです。
それはどういう意味か?。第2次世界大戦後、数々の地域紛争にアメリカは関わってきました、、というか、自らマッチポンプで思い通りにしようと進めてきたように見えますが、実は、仕掛けられて仕方なく受けて立った(戦術レベルの戦いに終始)のが真実ではないでしょうか。なので、過去のアメリカの戦い同様、勝利したのに負の遺産を抱え衰退する、、、というシナリオです。
アメリカは豊かで強大な故に、じり貧で、起死回生の瀕死状態を味わったことが有りません。故に痛みを覚悟で、差し違えるような戦略を立てたことが有りません。(第2次世界大戦でさえ、チャーチルに引きずり込まれた想定外のいくさ)
故に戦争は(武器を使わない戦争も含む)始まってから受け身で戦い、着地点は「自国の利益」で場を荒らすため、協力する同盟国も最後は「嫌になる」ケースが常です。
朝鮮戦争は、始めるつもりのない戦争だったのに、今と同じく日本への嫉妬?からか、李承晩は日本に向けて防衛ラインを南下させ、真の敵だった共産軍を、背後に抱えて追い出され、米軍は大変な損害を出しつつ、仕方なく担ぎ出されたマッカーサーの仁川作戦でなんとか38度線まで押し返しました。なので、その戦後の戦略が有りませんでした。
その結果が今のグダグダです。日本は迷惑千万。
次はベトナムです。これまた日本では現代史をあえて教えないので、フランスの植民地から、もう敗戦の色濃くなった1944年9月にフランス軍の半分の兵力でありながら日本軍は制圧し、ベトナムの皇帝に、独立を認めベトナム帝国として、独立を果たさせます。
ところが、まったくお花畑の連合軍は、空白区間を作り、みすみすベトミン革命軍がクーデターを起こしベトナム民主共和国臨時政府が樹立してしまう。何のために共産化を防いだのか水の泡で、後のベトナム戦争でアメリカが苦杯をなめるのも自業自得。そして1954年に反共防波堤として、ベトナム共和国が建国されたが、これも先に戦略の無さが招いた事態と考えます。
米ソ冷戦も、ソ連崩壊後の東側諸国との関係をアメリカはどう思い描いていたのか、その手の文献にはあまりお目にかかったことが有りません。先に書いたように、主にEUにとっての労働力となって、東側の経済発展化と、西側では中国市場をその対抗として資本主義の勢力と中国共産党の握った世界が出現し、膨大な富が得られたはずの中国の20年後の今、李克強が暴露したように6億(67%)の労働者は¥15,000/月の生活、年収50万円以下が大半と言うレベル。
つまり俯瞰すれば、西側資本と共産党が「グローバル化」と「地球温暖化」を使って、富の流れをコントロールした(自分の私腹を肥やした)のが、今日までの流れだと考えます。
さて、その上で米中戦争の行方です。総力戦での経済戦争=市場の奪い合いですが、チャイナは「安さ、大量供給能力」で圧倒しそうだったのに、このウイルス戦によって、粗悪品と人質貿易が露わになったため、「安心、安全」という貿易相手こそが求められるコロナ後のパラダイムシフトが起きつつあります。そして5Gのインフラ提携国は、実はファーウェイと手を切らない、と言っても、もう肝心のチップが手に入らず、ファーウェイのうたい文句の「性能とコスト」は手に入りません。そうやって、経済、技術、金融、の総力戦で勝てないとなった時に、内部崩壊せずに、外に向かう可能性は極めて高い可能性があるため、アメリカも読み切れないということは有るでしょう。だから暴発に備えて準備しています。
しかしながら今回もまた、アメリカには戦後戦略が有るとは思えません。中共が倒れたら、アメリカファーストで自国に利益誘導を図るとはどういうシナリオか?。
中国の支配層が共産党排除後、民主化によって臨時政府が出来たとして、経済は西側のコピーに近く、企業監視としての党員が居ない、という状態になるだけなので、さしたる混乱は無く、早々に回復再建する、とも考えられます。問題は、誰が再び貿易相手をするか?です。どういう枠組みで(重要)。
金融の仕組みに「元」をどういう形で取り扱うのか?。そこをまた、成り行きで行うと、再び付け込まれて、金次第のグダグダの世界が出現してしまう危惧です。
(今、香港の移転先が、シンガポールか、東京かで議論されているようですが:安倍総理が香港の金融人材にウェルカムと言ってますね)
私見ですが日本こそが、それをリードできる概念を提供できると思っています、それは第1次大戦後国際連盟で訴えた「人種差別撤廃」の提案をした日本だからこそです(ちなみにこれを廃案にしたのはアメリカです、当時まだ奴隷制度が有りましたからね)。知ってるのは世界中、知らないのは今の日本人だけかもしれません(;^_^A
一番の問題はまさに戦後レジュームで思考停止し、全く世界平和に汗をかくなどと夢にも思わない日本国民だらけにしてしまったことですね。国会で世界とかかわる重要法案がほとんど出ない。それもこれも憲法9条も変えられない現実が証拠です。であるなら個人的には対外変化に即した追加条文を加える方向で、さっさと「平時は今のままだけど、有事あるいはそれに向かいそうなら「こっちの条文が適応される」とすればいい。根拠は憲法前文です。前文には制定する憲法の前提条件が書いてあるわけで、これが有事想定部分については、まったく欠落しているわけです。(諸外国は良い人、侵略なんかしませんが前提なので)今、日本の近隣は核で恫喝、領土侵略を謀る輩ばかりです、そういう事態になったわけですからね)
新たに、有事の憲法を追加すれば、旧文は平穏時に適用、有事は新規追加分で対応、とすればいい。これが私の持論です(;^_^A
極端に言えば、第2次大戦の前「大東亜共栄圏」とは、TPPと同じです。アメリカが加わって、インド太平洋の経済圏を作れば、焦るのは独、仏などの英国を除くEUでしょう、今、彼らはチャイナを見捨てられない。むしろ「一帯一路」で枢軸国として結束したい。日本がイニシアチブを取って、まとめられない限り、独仏伊はチャイナと組むかもしれませんね。
「一帯一路組 VS インド太平洋組」
独逸から米軍のかなりの戦力(駐留1/4相当)を撤退させると発表したしね。(実はメルケル時代にドイツ軍は信じられないぐらい弱体化している、私も3年前だったか、実態知って( ゚Д゚)。そりゃーアメリカも「NATOの一翼担う気があんのか!」と怒ったぐらい。(陸、空、海共にメンテ維持費が枯渇)
アメリカ陣営の経済圏と比肩しうる市場利益がチャイナにあるじゃないか、ロシア旧東欧圏ともいずれ組んで、チャイナと内陸(一対一路)陣営の方が発展の余地あり、とね。
もしも、秋のG7で、独、仏などが離反するようなら、TPP陣営の対中ココムはEUにも適用されるようになるでしょうね。そこまで含めて、この武漢ウイルスに苦しめられた国民が、メルケルを支持するのか?という点でまだ見えません。
最後にようやく自動車が関係するんですが、独仏が手放せない中国自動車市場。同じく日本のトヨタも「なんで今チャイナと手を組むかね」と言う状態、それは、この第3次世界大戦後の世界のグループ分けに繋がっているわけですね。
企業利益、と国家的な利益を考える政治との又裂き状態があります。
国家とは、「人類普遍の共通価値を守り、発展させる理念をもって、実現に向かうように願う存在」でなければならない、そういう倫理観が経済に優先するものでなければ、人類とは何とも情けない獣に過ぎないと私は思うのですけどね。
さて、日本丸の中で地下5階の端っこで、掃除しているような船員の一人ですから、船の行く末に全く影響なんかないんですが、外の見える窓からタイタニック号のように氷山が見えると「あれ?、このままだとやばくね?」みたいな一方で、国会も地上波も、遊興に明け暮れて居るだけにしか見えない、今日この頃です(もちろん、裏では官邸は相当動いている、、と信じたいですが。)
※この手の話にはリアクションが無いので、どういた反応なのかわかりませんが、いつもと変わらぬPVとイイねが有るので、ある程度ご理解いただいてるものと考えております<(_ _)>