Business Journal
【転載開始】
■防衛増税の裏に米国からの軍事費増強
要求・・・中国との合意を遵守しない
日本の自業自得
2022.12.15
米国のバイデン大統領と岸田首相
(首相官邸のHPより)
防衛費増額の財源に関して岸田文雄首相が表明
した方針が、政府・与党内に軋轢を生み、
政権基盤を揺るがせる事態に発展している。
岸田首相は今月8日に開かれた政府・与党政策
懇談会で、2027年度以降の年4兆円の防衛費増額
分の財源として、
・歳出削減
・決算剰余金(税収上振れ、余った予算など)
・国有財産の売却益や税外収入などをためて使う
防衛力強化資金
・税制措置
の4つを提示。特に議論を呼んでいるのが、
税制措置として約1兆円の増税を挙げた点だ。
岸田首相は「個人の所得税負担が増加するような
措置はしない」としており、政府内では大企業の
法人税や相続税などを増税する案が出ていると
報じられている。
岸田首相の表明を受け、政府・与党内からは
反発が続出。
自民党の佐藤正久元外務副大臣は11日放送の
フジテレビ番組内で
「防衛力の中身を説明する前に増税というのは、
順番が違う」
「円安、物価高のなかで企業に賃上げをお願い
しているときに法人税増税の話が出てしまった
ら、賃上げムードも設備投資ムードも消える」
と批判。
さらに経済安全保障相の高市早苗氏はTwitterに
「賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミ
ングで発信された総理の真意が理解出来ません」
「普段は出席の声がかかる一昨日の政府与党連絡
会議には、私も西村経済産業大臣も呼ばれませ
んでした。国家安全保障戦略には経済安全保障
や宇宙など私の坦務分野も入るのに。その席で、
総理から突然の増税発言。反論の場も無いのかと、
驚きました」
「閣僚も国家安全保障戦略の全文は見せてもら
えず、私は坦務する経済安保と宇宙の部分のみ。
内容不明のまま総理の財源論を聞いたので、唐突
に感じた次第」と投稿。
さらに13日の閣議後会見では、岸田首相の指示
に異議を唱えているとして「間違ったことを申し
上げていない。閣僚の任命権は首相にあるので、
罷免されるなら仕方がない」と発言。
現役閣僚が首相の指示に公然と反対するという
異例の事態となっている。
「財務省ベッタリの岸田首相が、財務省の案を
丸飲みして『やらかしてしまった』というのが
永田町での受け止められ方。突然の1兆円増税表明
は世論の強い反発を招くのは必至で、すでに世論
調査では岸田首相の不支持率が支持率を上回って
おり、来年4月には統一地方選挙も控えているこ
とから、政府・自民党内で岸田降ろしが本格化す
る可能性が一気に高まった。高市氏や佐藤氏を
はじめ党内から反対の声が続出しているのは、
党内で岸田首相を見限る動きの始まりとみていい」
(全国紙記者)
■対立軸を意図的につくる米国
そもそも防衛費増額の理由について政府は、
ウクライナ侵攻による世界情勢の変化や中国と
台湾の軍事衝突(台湾有事)リスクの上昇がある
と説明しており、具体的には反撃能力を維持する
ための長射程ミサイル配備などが想定されている
が、元外務省国際情報局長で評論家の孫崎享氏は
いう。
「防衛費増額をなぜ今、行うのか。防衛費増額
をめぐる論争で一番欠けているのは、近隣諸国と
の緊張が外交努力によって軽減できるか否かの
検証が十分なされていないという点だ。台湾を例
にとってみよう。米国と中国の間でさまざまな
合意がなされているが、象徴的なものとして米中
外交関係樹立に関する共同コミュニケ(1978年
12月15日)があり、ここでは『アメリカ合衆国は、
中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であ
ることを承認する。この範囲内で、合衆国の人民
は、台湾の人民と文化、商業その他の非公式な
関係を維持する』としている。日本は国交回復の
共同声明(1972年9月29日)で『中華人民共和
国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分
の一部であることを重ねて表明する。日本国政府
は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、
尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持
する』とし、平和友好条約(1978年8月12日)
では『共同声明に示された諸原則が厳格に遵守さ
れるべきことを確認し』としている。米国と日本
が、『台湾は中国の一部である』という過去の
約束を守れば、今日のような台湾の危機は生じな
い。『では台湾の国民が独立を望んだらどうする
か』という問題がある。台湾国民が圧倒的多数で
独立を望んだ時には、まず米国と中国、日本と
中国が、新たな状況を踏まえ、過去の取り決めの
変更を交渉すればいい。さらに国連などの第三者
を含めて協議するのもありうるだろう。こうした
努力なしに、一方的に台湾の独立を認めようと
するから緊張が生ずるのである。尖閣諸島も同様
である。田中角栄・周恩来会談では『尖閣諸島
問題を棚上げにする』という合意があった。この
点は会談に関与した当時の橋本中国課長、栗山
条約課長の発言を見れば明らかである。さらに
日中漁業協定があり、紛争が起こらない枠組みが
できている。つまり、過去の合意を順守し、平和
を維持する姿勢をとれば、台湾問題も尖閣問題も
武力紛争に発展せずに推移する。このような認識
があれば、大幅な軍備増強に踏み切る必要もない。
ではなぜ今、異なる流れが出ているか。残念なが
ら、米国はロシアとの関係でウクライナ問題とい
う対立軸を意図的につくり、中国との間で台湾
問題という対立軸をつくった。そしてこの対立軸
を背景に、日本に軍事費の増強を求めてきている
のである」
(文=Business Journal編集部、協力=孫崎享/
評論家、元外務省国際情報局長)
【転載終了】
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米国は、ウクライナ戦争支援で軍事費と
武器弾薬を使い果たしているので、その
肩代わりを日本にさせようとしているので
しょう。
いつものことです。
米ロ直接交戦をしたくないのは、米国内
でも反戦気運があり、参戦しにくい事情が
あるのでしょうね。
Posted at 2022/12/15 09:51:02 | |
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