観てきました

〝ジャッキー・コーガン〟アンドリュー・ドミニク監督作品です。主演のブラッド・ピットは本作で製作にも携わっています。物語は女っ気が殆ど無く、裏社会で働く男達を描いています。物語は終始、ロムニーvsオバマによる大統領選真っ只中で展開され、効果的にこの選挙の演説が物語りに挿入されます。ピット演じる〝ジャッキー〟は始末屋。ある賭博場で起きた強奪事件の後始末を依頼されます。


ジャッキーに始末を依頼してきたのは表向きには社会性もある信頼される組織。彼らには裏の顔があり、裏社会に精通した交渉人がジャッキーと接触します。この交渉人は〝ドライバー〟という役名で、リチャード・ジェンキンスが演じます。

ジェンキンスは〝アウトロー〟で地方検事を演じていた人です。


賭博場を襲ったチンピラの〝フランキー〟。甲高い声が特徴的で仲間思い。



どっかで見た顔、と思い調べてみたら〝アルゴ〟に出ていたスクート・マクネイリー。
アルゴではやや神経質なアメリカ大使館の人質を演じていました。



ジャッキーは始末を進める過程で、その中の一人と面識があることに気がつきます。面識ある男を始末するのは忍びない。彼にはこの仕事を遂行するにあたり拘っている事があります。それは〝Killing Them Softly〟（優しく殺す）。命乞いをする人間を見ていられない、それが知り合いなら尚更、と言うのです。


ジャッキーはある人物に始末を依頼する。NYからやってくる仲間のミッキー。

巨漢の〝ジェームズ・ギャンドルフィーニ〟が演じ、鼻声が非常に印象的な俳優です。



ギャンドルフィーニは〝ゼロ・ダーク・サーティ〟に出演していて、口の悪いCIA長官を演じていました。しかし昔は腕利きのミッキーは女と酒に溺れ、使い物になりません。仕方なく手下を使い仕事を進めるジャッキー。



襲われた賭博場を仕切っていたのがマーキー。〝レイ・リオッタ〟が演じるマーキーは前歴（わざと賭博場を襲わせ金をせしめた）があり、今回の事件には無関係だが、今回は前回の責任も取らせる形で始末させられる。このマーキーを始末するシーンが印象深いです。終始スローモーションが駆使されていて、ジャッキーが放つ銃は雨に濡れる。雨粒が飛び散るブローバックアクション、吐き出される薬きょう、ガラスを突き破る弾丸、マーキーに被弾、飛び散る血しぶき。一連の動きは信号待ちをしている雨のクルマの中で展開されます。何発のも弾丸を受けたマーキーのクルマはブレーキが緩み、力なく赤信号の交差点に。進入してきたクルマがマーキーのクルマに激突。この時もスローモーションで展開され、メチャメチャになるクルマや割れるガラス。とても印象に残る今作最大の見せ場でした。



ジャッキーは確実に仕事を片付けていく。フランキーを利用し、彼に仕事を依頼したボス、ジョニーを始末した後は利用したフランキーをも始末する・・・。事が済み、ドライバーから報酬を受け取るジャッキー。このやり取りを行ったバーのテレビはオバマの勝利を伝えている。ジャッキーは報酬が値踏みされた事に激怒。

「アメリカは国家じゃない、ただのビジネスだ。とっとと金を払いやがれッ！」。

病んだアメリカを象徴した物語の展開に緊張感があり、撮影演出が秀逸、挿入歌も素晴らしく、とても楽しめた作品でした。☆☆☆