東京都港区で09年、耳かきエステ店員の江尻美保さん(当時21歳)と祖母の鈴木芳江さん(同78歳)を殺害したとして、殺人罪などに問われた常連客の無職、林貢二(こうじ)被告(42)の裁判員裁判で、東京地裁(若園敦雄裁判長)は1日、無期懲役判決を言い渡した。検察側は裁判員裁判で初の死刑を求刑したが、判決は「一方的に江尻さんへの思いを募らせ悩んだ末の犯行。深く後悔しており人生の最後の瞬間まで内省を深めることを期待すべきだ」と死刑を回避した。
東京地検幹部は判決後、控訴するかどうかについて「遺族の意向を踏まえ対応を決める」と話した。
判決はまず「落ち度のない2人を身勝手な動機で殺害した責任は極めて重大で有期懲役を選択する余地はない。遺族が極刑を望むのも当然」と指摘した。そのうえで、最高裁が83年に示した死刑選択の基準「永山基準」に基づき、死刑と無期懲役のどちらを選択するか検討。江尻さん殺害の動機については「強い好意を抱いていたが、来店拒否で抑うつ状態になり、愛情が憎しみに変わって殺害を決意した」と認め、「極刑に値するほど悪質な動機とは言えない」との判断を示した。
鈴木さんを執拗(しつよう)に刺して殺害したことは「江尻さん殺害に心がとらわれている中、顔を合わせたのは想定外で激しく動揺した結果」と指摘し、必然的結果とした検察側主張を退けた。「前科がなく、まじめに生活してきた」との弁護側主張は「酌むべき要素」と述べた。
林被告が「恋愛感情はなかった」と繰り返したことには、「遺族が怒りを覚えるのは当然で本当の意味での反省を深めているとは認められない」とする一方、人格の未熟さやプライドの高さが原因として「遺族の声を聞いて態度に変化が見られる。被告なりの反省の態度は相応に考慮すべきだ」と結論づけた。
*******************************************************************************************毎日.jp 2010年11月2日******
たぶん死刑が出るんじゃないかと思っていましたが意外な結果でしたね。被告の年齢(42)での無期懲役、実際どれくらい服役するのかわかりませんが実質終身刑のようなもので、死刑に比べて著しく軽いとは思えません。プライバシーのない劣悪な環境下で果てしなく過ごさなければならないことを考えますと
「死ぬよりつらい」かもしれません。
ワタクシは結果責任として死刑でもよかったのではと思いますが、
どのような言い方で「来店拒否」されたのか? 200万円以上も使っていたのに理由も説明なく、あるいはひどいことを言ったのか? それによりわずかながらも被告に同情の余地はあると思います。また「落ち度のない」というところにも「?」がつくかもしれません。「酌むべき要素」は「前科」や「反省の程度」ではなくココにあると思います。被害者はもちろん気の毒ですがね。
裁判員に女性の割合が多く、被告のこういう心理がどれだけ理解できるか難しそうで、被告には不利だと思いましたが十分評議したのでしょう。世の中「絶対死刑ジャン」のノリになっているのでこの後裁判員の方大変でしょうね。
これがもし「耳かき店」じゃなく、「弁当屋さん」とか「たばこ屋さん」とか「デパートの売り場」などごく一般的な店員さんが被害者だったとしたら、また被害者がフーゾク店員や外国人ホステスだとしたら、同じような判決になるのでしょうか?
今回のは今後の基準として考えられるでしょう。
死刑となるのは「誰でもよかった、むしゃくしゃしていた」というような事件に限られるでしょう。そういう時は裁判員は躊躇せず毅然と評決したいものです。
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2010/11/02 07:56:44