2022年04月27日
戦場のストレス
今日のブログはフィクションです。
登場する人物、団体名は全て架空のものです。
学生時代にボランティア活動で、海外の開発途上国に行ったS君。
簡単な治水作業の補助程度の作業予定だった。
期間は1か月。
しかし滞在中に突然内戦になり、川にかかる橋は爆撃で落とされ、幹線道路には反政府軍による地雷が。
村は完全に孤立しS君も村に足止めに。
村の外に出るには野山を徒歩で、超えるしか無い。
しかし、1番近い町まででも数十キロ先。
野山には多分、たくさんのトラップがある。
他の日本人ボランティアは、隣りの市内のイベントに駆り出され、たまたま残ったのはS君1人。
そんなある日、1機の偵察型ヘリが村の上空を飛んだ。
偵察ヘリが低空で村の上空を飛んだのは、攻撃が確実にある前兆。
多分、数日以内に攻撃される。
村の長の家の庭先に、村の全ての成人男子が集められた。
もちろん村に滞在していたS君も。
そして村の長の家に隠された6個の大きな木箱が庭先に。
木箱を開けると、中には、多量のM-16ライフル、手りゅう弾、迫撃砲が。
それらは公平に集まった成人男子に配布された。
もちろんS君にも。
しかし、S君は、武器の取り扱い方すら知らない。
村人により、S君への緊急軍事訓練が始まりました。
先ずは、対戦車戦
戦車の絵
砲塔上部の1点に三重丸が付いている。
ここが最大の弱点で、次が側面のキャタピラーの1カ所。
3種類の戦車ごとに、装甲の薄い順に丁寧に図入りで教えてくれる。
攻撃ヘリの打ち落とし方。
低空を時速100km程度の低速で飛ぶヘリは、ヘリ5個分前に照準を合わせて、単発かバースト。
高度数百メートルを時速800km程度で飛ぶ戦闘機は、戦闘機10数機前に照準を合わせてフルオート
数時間後、1機の戦闘機が村に近づいてきました。
あいにくその直前の近隣の村の、戦車狩り戦闘応援で村に残っている男は、S君ただ一人。
他に村に残っているのは、女性と子供ばかり。
たった1機の戦闘機に搭載されている爆弾とロケット弾だけで、この小さな村は簡単に壊滅するだろう。
今、この村を守れるのは自分しかいない。
S君は、Mー16ライフルを手に取ると、木の陰から、戦闘機の鼻先約、150mの位置に照準を合わせ、フルオート射撃!
当たった!
落としてしまった。
記憶があるのはそこまで。
目が覚めると、村の長老の家で寝ていた。
S君は、あまりのプレッシャーに耐えられずに、戦闘機を打ち落とした直後に、そのまま気絶したらしい。
胃が猛烈に痛い。
翌日S君は、村に迎えにきた政府軍のヘリで運ばれて、首都にある軍の病院に搬送される。
反政府軍の戦闘機を撃ち落としたS君は、英雄扱いで、軍の病院の将官クラス用のVIPルームに入院。
S君の胃には、小さな穴が開いていた。
たった1度の戦闘で、胃に簡単に穴が開く。
幸い重症では無いので、手術はしない。
S君に出たもう一つの症状。
それは目の異常。
見る世界が、眩しいくらいハイキーな世界に。
恐怖のあまり視覚が一瞬で麻痺する。
正常な視力に戻ったのは日本に戻ってから2週間後だった。
心臓に毛でも生えて無い限り、戦闘に携わる人間は、極度の緊張と強い罪悪感から、簡単に心を壊す。
その軍の病院でも入院患者の大半は、目が死んでいた。
多分皆、心が壊れていたのだろう。
無理も無い、満足な医薬品が無いので、最大規模の病院でさえ、簡単な外科手術は麻酔無しで、処置していた。
いくら治療の為とは言え、麻酔無しで身体を切られのは精神的に耐えられない。
戦地で良く聞く言葉
「神様はなんで、こんなに私達を苦しめるの?」
信じる宗教に限らず、同じ疑問。
なんと答えてあげたら良いのだろうか?
There never was a good war or a bad peace.
よい戦争なんて今まで、あったためしがない。
悪い平和なんてものもあったためしがない。
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Posted at
2022/04/27 09:45:31
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