LS460が止まらない

おい　おい　おい　おい。

止まらない。遥か先は赤信号。走行車線には何台も先を行く車がいるぞ。

車間距離は十分ある。まだ慌てるような時間じゃない。

右斜めを向いたまま、走ってる。時速は20km/h。走ってるというか滑ってる。

止まらない。

あ、目の前に車が近づいてきた。そろそろ慌てないとやばい。でも慌てたらもっとやばい。

かっぱえびせんか。止められない。

止められないなら……、右後方を確認。車はいない。追い越し車線に出る。

出る。

出る。

ゆっくり、出る。

いや、ちょっと、いい加減止まって。出すぎ。出すぎだから。

止まらない。

今度は右側が近づいてきたじゃないか。

幸い追い越し車線には何もいないぞ。そのまま車体を車線に合わせてまっすぐに向ける。

向いた。なんとか向いた。右側は去っていった。慣性は車線に合わせよう。でも止まらない。

止まらない。

止まらない……って、あのー、いつまで滑ってるの。

……ズ、ズ、ズ。0km/h。

やっと止まった。

やや下り坂だったとはいえ、追い越し車線に入って車体を向け直してからだけでも車3台分は滑ってた。滑りすぎだろ。ノーマルタイヤじゃないんだからさぁ。……あ、ノーマルタイヤでアイスバーン走ったことなかったわ。例えだよ、例え。

生きた心地がしない。

死ぬわ。精神的に。

なんとなくだけど、普段からFR乗ってて良かったって、思った。なんとなくね。
FRの滑り方と立て直し方がわかってたから、冷静に対処できた感はある。
今回のはLSは車重があるから、一旦滑り出すと慣性の法則が遺憾なく発動してしまったが。
勘弁してくれ。

市も気温下がるのわかってるなら、融雪設備、じゃんじゃん動かして……。