このアルバムで手持ちのCD(SACD込み)が700枚になった。
SACD層の感想。
なんという絶妙にまろやかなピアノの音。打鍵のタッチはただトロンとしているわけではなく、弾む。痩せすぎもせず、太ましいわけでもない。しかし気のせいか、88レーベルらしからぬ、このまろやかさは何だろう(好きだけど)。88レーベルの音は、こう、眩しすぎない鮮やかさで、ニュートラルで、溌剌として……、とそんな印象だが。アキュフェーズのプレイヤーで聴いているから尚更そんな風に聴こえるのが不思議だと、他のアルバム(BLUE MINOR)と比べてみる。
うむ、やはり「BLUE MINOR」の方が溌剌としている。気のせいでもなく曲調のせいでもない。そうなるとこれらは録音時期は近くても、このアルバムを作る上で音質をある程度統一してあるということになる。
このアルバムで不満がないわけではない。ひとつだけある。1曲目の「The Very Thought of You」。これは正真正銘、ハンク・ジョーンズ最後の録音となった曲だというが、元々はソロとして録ったもの。そこにケイコ・リーのヴォーカルを重ね録りしたものなのだ。で、そこが不満。別にケイコ・リーの歌い方だとか、声質が気に入らないのではなく、ヴォーカルの残響音、この響きがピアノと同質の響きではなく、ピアノに比べて残響過多。故にこの曲だけ「ああ、これ後付け録音のパートだな」と露骨にわかってしまい、醒めてしまうのだ。最後の録音の曲だというのならば、夢心地でいたいのだ。だから最初に聴いたときは1曲目からこんな調子だったので「ミキシング大丈夫か、このアルバムは……?」と不安になってしまったが、それ以外は問題なし。むしろ良い。88レーベルのアルバム聴いてきてこんなことを感じたのは初めて、しかもこの曲だけだから、正直なことを言わせてもらえばピアノだけのままにしておいてほしかった。
さて、気を取り直して誉める。
私としては6曲目の「Budo」が特に良い。ビリー・キルソンによるスネアドラムの抜ける音がたまらねーのよ。(ピアノに触れろ)
そうそう。寺久保エレナのサックスは初めて聴いたけど、良い。これは後付け感もないし。
ということで、ハンク・ジョーンズ、ジョージ・ムラーツ、ビリー・キルソンという「Budo」と構成が同じ「BLUE MINOR」を引っ張りだして比べてみたという次第。
因みに「BLUE MINOR」の4曲目、「I LET A SONG GO OUR OF MY HEART」ではケイコ・リーが、8曲目の「MY IDEAL」ではTOKUがヴォーカルをやっている。そういう意味でもこのアルバムとのちょっとした比較にはもってこいである。
レクサス・マークレビンソンでCD層を聴いたら音が硬く、パリッとアイロンがけしたみたいな音質。オーディオでこうも印象が変わる。PCオーディオではまだ聴いてないけど、きっとまた違うんだろう。だからたまにね、思うのよ。「このアルバムの音質はこう!」って断言できないよな、あるいはしてしまっても良いのかなって。しかも素人の言うことだ。その分、忖度もしがらみもないが。他のアルバムとの比較も付け足すことで立ち位置は明確化できると思ったから、今回はこんな形になってしまった。
だってそう聴こえるんだもの。
聴こえ方に違いがある。オーディオだもの。
オーディオは奥が深くて、面白いよ。
追伸。
ああ、ついに忖度という単語を使ってしまった。流行り言葉のように急に使われ出した単語だから、仕組まれてるみたいで何か嫌なんだ(笑)
チョベリバ~。
(゜Д゜)チョベリバって今時誰も言わないぞ
(´・ω・`)忖度は死語にならないと思うけど
Posted at 2022/11/23 13:38:00 | |
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音楽 | 日記