気分が乗らず更新を怠っていました。酷い講師です。サーセン、フヒヒ。
早いとこ、終わらせましょうね。
今回のお題目はこちら。
「タイムアライメント調整」
ほい。
と言ったものの、どうやると合わせ易いかといったところに焦点を当てて話を進めていきましょう。
あえて何も見ないで勘と記憶と経験に基づいて進めます。記憶と経験は似て非なるもの。
まずはお浚いとタイムアライメントの必要性から。
ホームオーディオでもそうですが、特にカーオーディオではオーディオ面からして不利です。
なぜなら車内という空間は、大半の車は居座る場所が偏っているからです。
ホームでも部屋に置いた物の影響を受けて、視覚的には均等でも、
タイムアライメントはズレているということはよくあることです。
そしてご存知の通り、車内にスピーカーをインストールした場合の座席との関係性は
左右においてその多くが均等の距離ではありません。
右ハンドル車を例に出すと、右のスピーカーが近く、左スピーカーが遠くなります。
そして電気的(もしくは現実的ではありませんが物理的)に遅延がされていなければ、
当然、右スピーカーから出た音が左スピーカーから出た音よりも早くあなたに届いてしまいます。
そうすると音の届くテンポがズレてしまい、正しいステレオフォニックな音を楽しむことはできません。
結果的に聴けないことはないけれど、
右のスピーカーの音が強く聴こえるだけのオーディオとなってしまいます。
そこでタイムアライメント機能の出番です。
右スピーカーから出る音を左スピーカーの音が届くのと同じ速度で遅延させてやると、
両方のスピーカーからの音が同じ時間に到達し、
擬似的に正しいステレオフォニックを得ることができます。
勿論これは左スピーカーの音を右スピーカーの音が届くのと同じように早くした場合も同一の結果になります。
ということで、オーディオなんて所詮は電気信号で遊んでいるようなものなので
イコライザー同様、じゃんじゃん活用してみようというわけです。
定番の合わせ方としては、耳の位置からスピーカーまでの距離を測り、
その数値を入力し、正しい到達時間を出そうというもの。
右のスピーカーまで70cm、左のスピーカーまで100cmならその数値を入れてるだけ、というやり方。
しかし私はこれが大嫌いです。
全否定しますが、うまくいった試しがありません。
試すだけ試したことは過去に何度もあります。やれることはなんでもやります。
上手くいけば儲けものです。
しかし、これじゃない感がぬぐえない音場になるだけだったのです。惜しい、とも言いますが。
ここでの話はスピーカーが車内のフロントだけで鳴ると前提しますが、
その状態ならば、左か右、どちらかのスピーカー位置を0(基準)とし、それぞれもう片方のスピーカータイムアライメントの数値を触っていくだけの方がわかりやすいかと思います。
なぜ、左か右、という曖昧な言い方をしているかというと、オーディオによって、入力した数値分遅延させるものと早くに到達させるものの2パターンがあるからです。
これに関してはご自身のタイムアライメント機能が、どういう効き方をするのか試してもらって、どうなるのかという結果を知ってもらうしかありません。
ちなみに中にはプラス方向ばかりではなく、マイナス補正がかけられるものもあるようので、
そういったものは融通が利きますね。
数値入力も間隔が細かければ細かいほど良いでしょう。
ホームでは1mm単位でスピーカーを動かして調整することも珍しくないくらいなのですから。
ということで、これについては荒くていいことはありません。スイートスポット探しも難航しがちです。
では効き方について。状態は右ハンドル車内にて。
左を0で固定した場合、右スピーカーのタイムアライメント数値を入力し、
遅延させることができたのならば音源上センターに定位させているボーカルなどの音が
右から左へパンニングしていく(徐々に音像定位が動いていく)のがわかると思います。
右スピーカーの音が早くに到達していく場合、
右に定位したまま、または、さらに右にパンニングしていきます。
同じく状態は右ハンドル車内にて。
右を0で固定した場合、左スピーカーのタイムアライメント数値を入力し、
早くに到達させることができたのならば音源上センターに定位させているボーカルなどの音が
右から左へパンニングしていくのがわかると思います。
左スピーカーの音が遅延したままの場合、
右に定位したまま、または、さらに右にパンニングしていきます。
上の2例は半分くらい文章が同じですが、結果的にこういうことなんです。
なお、左スピーカーの音が早くに到達した場合、圧迫感がありそうなものですが、
そんなことは一切、断じてありません。
逆も然りで右スピーカーが遅延した場合、開放感があるかというとそんなこともありません。
本来聴こえるがままに聴こえるようになるだけです。
では具体的な合わせ方。
第3回で触れたように優先すべきは中音、高音、低音の順です。
高級品を使われている方は各ユニットごとにミュートさせる機能を持ってたりするので
低音(ウーファー)を切りましょう。
余談ですが、スコーカーを切ってツイーターとウーファーをかみ合わせて
アライメント調整したりということもできます。
ミュート機能がない場合、イコライザーで低音を切りましょう。
メモしておけば設定変更も怖くはありません。100Hz以下が低音域なのは覚えていますか?
わかりやすさ優先で調整する場合、この際、低音の厚みは要りません。
量感がスカスカになってもベースの音は聴こえるものですし。
(この方法だとあとから低音は調整しなければいけませんし、普段の私は低音がセンターに来る曲で定位出ししているから、要は慣れの問題です)
低音がカットされることにより中音や高音が聴き取り易くなったと思います。
これを利用して明確な定位を出します。
あなたの好みの位置にセンター定位している音を持ってくればいいだけです。
上手く持ってくることができたのなら、
そこに(フロントのみと前述しましたがリアスピーカーを鳴らしたい人は)リアスピーカーを「加える感じ」で定位の変化を感じ取ります。
基本的に、フロントスピーカーのみで定位出しが上手くいっているのにリアスピーカーを鳴らすと上手くいかない、というのは単純にフロントとリアのタイムアライメントがズレているだけです。めげずに頑張りましょう。
ホームシアターを作って5.1chなど楽しんでおられる方は
そういうところもすでにわかっているとは思います。
さて、残るは低音域、ウーファーです。
これがかなり厄介な難物となっているわけです。
車内は偏っていますが、それでも左右にウーファーを振ってあるというのは強みです。
どちらか片面にシングルウーファーを入れてあるとなかなか定位が上手く出ません。
低音のパワーに定位を持っていかれてしまうためです。それも低音だけ持っていかれます。
私事ですが、過去にこれじゃいけないとダブルウーファー化したことがあります。けちらず最初からやっておけばよかったと後悔したものですが。何事も経験です。
ただしシングルウーファーでも、
鳴らしたい定位の後方直線上にウーファーがあると調整はしやすいです。
まあ、車本来の利便性を考慮すると、
なかなか思い通りの場所にインストールはできないものですよね。
え? 私? まあ、勢い余ってダブルにしてしまったというか、なんというか。
ソニックデザインのスピーカーユニットを使っていたのでエンクロージャーもそう大きくならずに済みましたから。何事も経験です(笑)
低音のタイムアライメントは、フロントのみで鳴らしているのなら量感も操り易い上に分かり易く、問題もそうないのですが、ラゲッジルームにウーファーがある、というよりも、耳より後ろの位置にあるとこれまた厄介です。
低音があなた自身の両脇から(あたかもサラウンドのように)聴こえたことはないでしょうか。
それはタイムアライメントがズレていて、低音が回折しているからです。
人間の耳は結構敏感なものでして、
目を閉じた場合、後ろからの音で距離感をある程度掴むこともできます。
(目で見たわけではないけど後ろに誰かいる、とかそんなシチュエーションをご想像ください)
(なぜストーキングシチュなのか)
それが意識的にしろ無意識的にしろ働いてしまって、
ぴったりタイムアライメントが合っていないと上記のように聴こえてしまうわけです。
そんなとき、私がやるのは左右に首を振って、聴覚領域を広げることです。右向け右、左向け左。ぐーるぐーると2回、3回ゆっくりと首を振ります。
この講座を受けている方で私の調整を受けた方はひょっとしたら覚えてるかもしれませんが、
首を振っていたなぁ、なんでだろう?なんて思われたかもしれません。
あれは低音の回折を感知していたのです。
ダメダメな低音の場合、気のせいでなく、その状態で後ろから低音がより聴こえ易くなります。
そうしたら再調整です。低音の量感が多すぎて後ろから聴こえるのならば、それは出力レベルの問題なのでやや違います。……判断は難しいかもしれません。
その場合はイコライザーやクロスオーバーネットワークを触ることで対処します。
それでは急ぎ足でしたが、今回の講座「タイムアライメント調整」はここまで。
ひとつの音を聴いて軸(センター)を作り、その軸を基に、各定位の場所を探っていく。
そんなやり方が遠いようで近道だと思います。
上手くいくとカーオーディオでもホームオーディオと違わず、録音スタジオに響いた音響を綺麗に出すということも可能です。
だけど、限界として完全に単独のチャンネルに振ってある音はインストールされた場所から聴こえてしまうデメリットをカーオーディオは孕んでいます。
ここは潔く諦めましょう。
次回は、合わせたタイムアライメントを軸に、念入りなイコライザー調整をして馴らす。と行きたいところですがクロスオーバーネットワークに予定を変更してお送りします。
多分、次回も長い。とほほ。誤字脱字チェックが大変。
質問があればコメントやメッセージの方から遠慮なくどうぞ。
次回へのリンク。