『荒木飛呂彦の漫画術』という本を読んだ。私にしては久しぶりの本らしい本なんだ。
漫画を描きたいわけではなく、荒木はどうやって漫画を描いてるのかなー、と気になったから読んでみた次第。だからこの本の『漫画家育成』という本分は全く果たせていない。
でも最初から最後までなかなか面白く、共感できるところもあり、ストレスなく読めた。つまり先が気になってページをついめくってしまうというわけだ。
読書感想文。
荒木飛呂彦という漫画家はとにかく『読んでもらえない』ことに不安を抱いてるように思えた。まあ、漫画家は読んでもらわないと始まらないけど。だから『どう読ませるか』を研究した成果が載っている。「リアリティこそが作品に生命を吹き込むエネルギーであり、リアリティこそがエンターテイメントなのさ」とは露伴の台詞だけど、これを実践しているのが荒木飛呂彦の漫画である。
しかし不思議なもので一生懸命やっている部分で共通するものがあるのか、オーディオ趣味にも言える部分があったのが面白い。それは『地図を携える』ということ。地図とは始点と終点を決めたときの道標であり、その地図は基本的には自分にしか持てないし、自分のためにしか使えない地図であること。どんな漫画(音楽)を描きたい(聴きたい)か、自分にしかわからない。他人に決めてもらうことではない。終点が見えれば進み方も自ずと見えてくるものだ。
まあ、漫画術としては、ジョジョの奇妙な冒険を第一部から読んでみれば、そこで実践されてることなのですんなり理解できたのかもしれない。
デッサンについてちょっと目から鱗というか、へー、そうなのか、と納得したのは、頭頂部から顎までの半分の位置に目がある黄金比のデザインっていうのは知らなかった。人の顔やキャラクターの顔を見るときに半分の位置に目があるかどうか気にするのも面白いかも。
他には荒木飛呂彦が多用する○コマの使い方の意味。真意を知れた。
読切作の『富豪村』について具体例が書かれてて「マナー指導をしていただいた」とあるんだけど、『岸辺露伴は動かない』のコミックス見てみたら、確かに目次のところにマナーの先生の名前が載ってたわ。ついでに見たら『密漁海岸』の方は森崎友紀と名前が載っている。ああ、ネットで名前と顔を知ったわ。あのお色気料理家の人ね。いろいろ繋がりがあるんですなー。
それから主人公はプラスであり続けることに当て嵌めると、私が好ましく思う主人公像って言うのが見えてきて新鮮だった。上がったり下がったり結果的には上がっててもふらつくのは良くないんだとさ。具体例出しちゃうけど、道理で昨今の黒崎一護を好きになれんわけだ。絨毯になってるし。平べったい絨毯になるために斬月を二刀流にしたの?って思ったし。「最後には勝つんだろ?さっさとしろよ、とイライラしてしまいます」とはよく言ったもんだよ。だから朽木白哉を倒すところまでくらいかな、好意的に見てたのって。関係ないけど、ブリーチの話。直近で言えば日番谷が大人になったら「日番谷はショタだからいいのに何してくれてんの!」と一部のファンから言われてて笑えた。ファンサービスが反感になってて最悪(笑)
おほん。
私が持ってる完結した少年ジャンプの漫画(ジョジョを除く)でプラス進行が重なるという王道主人公の活躍する漫画はアイシールド21、魔人探偵脳噛ネウロ、封神演義かな。武装錬金もそうかな。るろうに剣心よりは武装錬金を挙げたい。逆に負の王道だとデスノートだね。だいたい面白いと思える漫画はどれも当てはまるんじゃないかな。まあ、連載終了する頃に面白いと思ったものを買うパターンが多いけども。そう言えばデスノートを一冊ずつ買ってったときに店員さんから「最新刊じゃないですけどよろしいでしょうか?」って確認されたことがあったなァ。間違えて買ってって最新刊じゃないぞとクレーム(?)つけるボケナスがいたんだろうか。返品処理も手間だろうからねェ。
で、私の楽観的希望として、和月伸宏も『荒木飛呂彦の漫画術』を読んでるはずなので、これを参考にして、今まで以上に面白い漫画を描いてくれると信じたいところ。和月は「自分の描きたいものは自分が面白いと思うもの」とはっきりわかってる地図があるから大丈夫。GBWは撃沈したがな!昔から足りないのは取材だからねェ。自分の中の物が枯渇したって何度も吐いてるし。
ってことで、暇な人は読んでみるといいよ。
Posted at 2016/04/23 11:40:38 | |
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