
今更。
「君は天然色」の楽曲が流れる回がある。この曲は私と同い年なのだが、それはともかくとして、歌詞は松本隆、作曲は大瀧詠一。
ユーフォでは歌はなくメロディーのみでの採用となるのだが、そのメロディー性で選ばれたのではなく、歌(歌詞)は流さないのにも関わらず、その歌詞やタイトルは大きく影響して、選ばれたものだと思う。ではその歌詞はというと。
この曲が作られるとき、松本隆氏は妹を亡くし、失意同然だったそうだ。歌詞として思い付いたのは「生きているからこそ色がある」というようなものだった、とWikipediaに書いてあった。
ここからが考察だが(つまり確信はない)、ユーフォはそのドラマもさることながら、キャラクターの魅力でファンを惹き付けている面がある。であればこそ、久美子たちが(その状況下に)いてこそ、色が紡がれる、つまり天然色が描かれるという想いもあり採用となったのではないか。
昭和も随分昔のことだ。しかしその時代を生きてきた人たちは大勢いる。あわよくばそのキャッチーなメロディー(採用されたという記事を読んで気を惹かれることなど)に頼り、その時代を生きた新規視聴者を少しでも獲得できるのではないかと、つかみとなるシーンで使用したのではないか。因みにオープニングはモノクロ色から色付けがされるので狙ってやっているのは明らか。掛けているとも言う。
ステレオサウンドNo.217に「君は天然色」を録音した録音エンジニア吉田保氏のことが載っていたので、考えるきっかけになった。
しかし歌詞を見てみると「想い出はモノクローム~」とある。アニメ本編の作りや演出としては誰かの想い出を語るような構成ではなかった。二期のオープニングも雨ふりコンダクターの回以降からは最初からモノクロではなくなる。過去を振り返るのはそれこそ物語冒頭、久美子が中学三年生のときのことだ。
この考察を進めるとすると、雨ふりコンダクターまでの回は、キャラクターの内、誰かの過去を如実に振り返っていた節があるのではないか。そうでなくては考察として腑に落ちないのだ。※雨ふりコンダクターのあとは過去を振り返る(付け足されている)シーンはある。
ではその過去を持つキャラクターとは?
北宇治吹奏楽部顧問の滝昇で間違いないだろう。
彼も大切な人を亡くしている。ここも掛けていると見るべきだろう。
如何にも京アニが好みそうな「言えばわかるけどあえて口にしたくない」演出論で、わかる人がいるだろうから隠し味のように丹精込めて作って丸投げ(と言っていいものか)してある「粋」なように思えなくもない、と言えば穿ち過ぎだろうか。
女の子キャラクターの考察は良く拝見するので、たまには立役者の滝先生について如何かな?エンディングのヴィヴァーチェでも触れられてるし。
ここからは余談。
吉田保氏はアナログ録音とデジタル録音、どちらが好みかという問いに、デジタル録音が好きだと答えている。それは(あくまで)理論上、歪みがなく音質が劣化しないからというのがその理由。だからCDが世に出てきたときは嬉しくてバンザイしたという。
そのCDだが、今回ユーフォ5周年記念としてドラマCDが発売されることとなっている。
だが、またとある方のブログにて、ドラマCDが出るのは喜ばしいがCDプレイヤーを持っていない、困ったぞという人が周りに多くいる……というのを読んだ。デジタルファイル音源としてダウンロード販売すれば解決することだが、このことは些かショッキングな事例だ。
私はメインがCD再生だからだ。これは谷を隔てている。しかもそんなCDプレイヤーにかなりの額を使おうと今年は画策している。もうレコード音楽は無形のものがすっかり浸透しているんだなとも思った。彼らからしたら私の行動は酔狂としてその目に映るだろうか?
データ格納元が壊れたら不味い(面倒臭い)から形としてCDは大事にしたい、と付いたコメントも既読しているが、-そして心当たりのある当人がこれを読んで頂けると思って故意犯書きしてみる-、有形は時にして面倒事を引っくり返すだけの力がある。
本もデジタル書籍に移行していない私は、デジタルとアナログの狭間にいるのかなと考えてしまった。
ブログ一覧 |
日記 | 日記
Posted at
2021/01/04 21:13:54