僕のオーディオ人生を読んで。
とても面白く読めた。
菅野沖彦という少年が一人の男になるまでの生き様。
菅野さんが生前のときに読んでおきたかった。
前回読んだ「音の素描」を読んでいるとすらすら読める。
オーディオ人生と銘打っているが、菅野さんの幼少の頃からの半生が綴られている。佐渡島へ疎開していた話などはざっくり知っていたが、各々色々なことが詳しく書かれている。当時の歴史を知るという観点でも為になる内容だ。なんというか、終戦までの流れだけでも壮絶。個人的に読んでて、中学時代、先輩の〇〇〇を〇〇〇〇させられたというのがとてつもなく衝撃的だった。そんなのハサミで切ってやればいい。終戦直後の描写もそうなのだが、赤裸々とはこういうことを言うんだろうなァ。……と思っていたらあとがきにて、全編そう書かざるを得なかったと書かれていた。感情移入は必然。
生きるのがつらいと思っている人、仕事をやめようと思っている人、新たに就職先を探している人、就職した先で上手くやれてない人、欲しいものがあるけど高価故にすぐには手が届かず悶々としてる人、夢を追いかけたい人、サラリーマンをやらずに独立して仕事をしようとしてる人、独立したものの上手くやれてない人、ポルシェを愛している人、自分のことを大人だと自負している人、日頃からモノを大事にしたいと思っている人、勿論オーディオが趣味の人……、色んな人に響くものがあるはずだから是非読むことをお勧めしたい。
この書籍を読んだ上で、もう一度、手持ちにある菅野さんの書いた評論や文章、対談内容をすべて読み直そうと心に誓った。きっと今までとは少しは違った視点で読み解くことができると思う。それは私がいつも思う「何かの評論を読むのなら、書いた人を知るべし。それでこそより深く理解できる」というものに基づくものだ。今ならそれが追究できる。
ひとつ録音のことで思い出したことがある。
私が働き始めてしばらくして、派遣社員の若い子が「マイクセットすればいいだけだろうし、録音の仕事やってみようかなーwww」と言い出したことがあった。普段からは会話をしても音楽とオーディオの話もしなかったし、話を振っても乗って来なかったようなやつがである。言い方にもカチンときたのだが(苦笑)、私は音楽を録るのは音楽好きであることとオーディオに詳しいこと理解があることが第一条件と思っていたので、下っ端として使われる側だとしてもこんなやつに録音業界を軽い気持ちで荒らして欲しくないという気持ちから、そいつの親かという程、さも尤もなことをでっち上げて阻止したことがある。音楽録音の仕事は菅野さんのような情熱を持った人がやるべきである。
Posted at 2020/10/03 07:41:59 | |
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