
CD。定価1852円(+税)。
値段を最初に出したのは「安い」からだ。中身の音楽を考えると尚更安い。普通、売れ行きが大量に見込めそうもないものなら価格を吊り上げて採算が取れるようにするものなのだが、このCDはそんなことより音楽を届けたいという心があるように思える。
ステレオサウンドNo.229に根室市長(オーディオマニア兼EPJO創設メンバーピアニスト)を訪れた記事が載っている。で、その記事で私が目を付けたのは本作に川口千里が参加しているというアルバムだった。他にはトロンボーン奏者の向井滋春氏がゲスト参加している。
このCDが発売されたのは2015年。……うん、最近だな!
またしてもYouTubeで音源上がってるかな?と検索したら、公式でアップされているではないか。再生回数は滅茶苦茶少ないから知名度もかなり低いと思われる。繰り返すが(失礼ながら)この知名度の低さで上記の価格売りである。Amazonで残り1枚となっていたものを買ってみたが、今は(これを書いてる時点で確認したら)また入荷しているようだ。くそう、私が買った値段の1792円より、2円も安く売ってやがる。
YouTubeでわからないこと。それはライナーノーツである。結構読み応えがある文章量である。根室の鳥、オオハクチョウも載っている。添付画像のジャケットはなぜか納沙布岬と流氷よりオオワシに目が惹かれる。
中身は紛れもなくジャズである。フュージョンではない。そういえばジャズ・オーケストラはあまり買わない部類なので新鮮味がある。持っているのはカウントベイシー・オーケストラと、紗野葉子の「Bewitched」くらいか(1曲目はオーディオ調整でお世話になってます)。
EPJOは根室のアマチュア・ジャズ・オーケストラ。1981年11月に結成したとある。まあ、私と同い年みたいなもんだ。
本作のプロデューサーは大川正義氏。「千と千尋の神隠し」で音源プロデューサーを務めた人。まあ、経歴は買った理由に入ってないけど。ステレオサウンドNo.210に大川正義氏のインタビューが載っているから見返してみたら、ジブリ作品に混ざって小さく本CDのジャケットも載っているではないか。同水準ってことだな!
開幕ドラムで始まる。音の骨格が確かで、音響が良い。ライヴ録音をしているかのような熱さがある。流氷も溶けてしまうぞ。曲が終わったらいつ拍手が飛び出してもおかしくない。でもくどさがないし、メロディーも親しみが持てるし、万人受けしやすいと思う。ジャズ・オーケストラって一度聴いてみたかったんだよなという人にもうってつけ。
途中、3曲目の冒頭で祭りの如く笛と太鼓がピーヒャラドンドコ鳴り出すのはアクセントとして抜群。その祭りの音がまた素朴で良いんだなァ。そして祭りが終えた瞬間、違和感なくジャズになる。なにこれ、日本以外あり得ない展開。
終始、上質なジャズ・アンサンブルが聴ける。最早、川口千里云々ではなく、EPJOを知れて良かった。そう思う。繰り返すが音響が良い。雰囲気が良い。モノラルアンプの面目躍如だ。根室の空気、ここにあり。あっという間の50分。
彼らメンバーの中には私が過日ブログに上げたTHE JAZZ AVENGERSを楽しんでいる人もいるとのこと。ステレオサウンド読み返したら載ってたわ。見落とし。
とりあえずロシアは北方領土を日本に返せと言いたい。でもEPJOがそこに住むロシア人たちと交流するのは、すでに別問題なんだろうな。
Posted at 2024/01/08 17:03:09 | |
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音楽 | 日記