
監督のお手紙を貼ってみる。
https://www.youtube.com/watch?v=au7M9i_7sNI
Dear 5人のヒーローさま
お久しぶりです。アニメ『けいおん!』監督の、山田尚子です。
少しずつ夏が近づいてきましたね。皆さん、お元気ですか?
『けいおん!』のトークイベントがあるとお聞きしたので、ちょっと梓のマネをして、皆様にお手紙をしたためてみました。沢山お話ししたいことがありすぎて、うまくまとまる自信がないのですが、『けいおん!』と、皆さんとの思い出を、少しずつ振り返ってみようと思います。
まずはオーディションです。そのときの資料を、懐かしいなァと思って見返してみたら色々と自分用のメモがしてあって、豊崎さんの唯に、おっきな花丸がついていました。
佐藤さんの律には、華がある!って……。さわちゃんも受けてくださってますね。汚い言葉を叫んでいただきましたよね。
竹達さんは、唯と、ムギと、律を受けてくださってました。そういえば梓のオーディションはなかったんですよね。萌える!!……と一言、結構な熱量で書いてあります。
寿さんはムギの他に澪も受けてくださってて、落ち着きがあってしっとり。
日笠さんは、澪と律でした。打てば響く方。……なんて偉そうなメモでしょう。ごめんなさい。
初顔合わせのときは、日笠さんが「2009年は『けいおん!』の年にしましょうね」って開口一番に言ってくれた事が忘れられません。この日笠さんの一言で『けいおん!』に魔法がかかった気がしたんですよ。アニメ『けいおん!』が、無敵になった気がしたんです。そのときから、日笠さんは、私の中で魔法使いの位置に就任されました。
初アフレコのときは、梓の出番はまだなかったけれど、竹達さんもブースの中にいて、ちゃあんと5人揃っていましたよね。台本を持って、マイクの前に立った皆さんの後姿が、本当にカッコよかった。
始まる前の皆さんは、フワフワしてて、きっとすごく緊張もしてて、不安もあって、頼りなげな、ヒヨコみたいだったのに。第一声は、憂から始まって、次に唯。和ちゃんが入って、律から澪、そしてムギ。どんどん唯たちが、生きた存在になっていくのを、ゾクゾクしながら見ていました。
私、豊崎さんの力士声が大好きなんです。『けいおん!』が一段落したとき、もう台本に(力士声)って書くこともないのかなァと思うと、ものすごい寂しさに襲われました。こんな、力士声、みたいなことを女の子の台詞にして、キャラをブラさずに演じきってしまえるのは、豊崎さんしかいないと思っています。本当に大好き。唯は、豊崎さんでしか考えられないです。
寿さんは、収録が終わった後、「ムギちゃんはどういう子なんでしょうか?」って、すごく真っ直ぐな目でお話ししにきてくれましたよね。今だから言ってしまいますが、あのとき、寿さんがあまりにも綺麗だったので、ものすごくしどろもどろでお話ししちゃってたんですけど、バレテマセンデシタデショウカ……。
梓は、最初に竹達さんが練ってきてくれたキャラとは、少し違う方に方向転換してしまったので、少し戸惑ってしまったかもしれません。でも、すぐに新しいキャラ付けの梓にもシンクロしてしまって、もうピッタリですよね。憂と純ちゃんと話しているときの、リラックスした梓が、とても好きです。本当に普通の女の子みたいで、あの演技を付けてくる竹達さんが、好きです。
日笠さんは、本当に声が素敵ですね。歌うとものすごく上手くてカッコよくて。エンディングを聴いた、音響監督の鶴岡さんが「これは誰が歌ってるの?」「ひ、ひ、ひ、日笠ー!!?」って、すっごく嬉しそうにされていたのが印象的でした。私は、1期13話の「冬の日」で、毛玉を吐いちゃう子猫を日笠さんが担当されてて、絶対に澪と同じ声帯から出ちゃいけないクオリティの「オエエエエ」に、心の底からときめきました。あと、マラソン大会のスロー再生。ブースのこちら側で「はい、澪アウトー」って仰っていた鶴岡さんのこれまた嬉しそうなお顔が、忘れられません。
佐藤さんの律が喋ると、一気に空気が明るくなりました。普段の佐藤さんは、どちらかというと声も小さめで、大人しい印象なのに。律に入ると、驚くくらい元気いっぱいになる。いつも、どこにあのパワーを隠し持ってるんだろう?って、不思議でした。きっと、佐藤さんは「りっちゃんが引っ張ってくれたから……」って言うに違いない。そんな佐藤さんに、私は元気をもらって、引っ張ってもらっていました。私だけじゃなくて、みんながそう思っていると思います。あなたは最高の部長です。
『けいおん!』は、声を聴いただけで誰だかわかるし、絵を見ただけで声が聞こえてくる。
当たり前のことのようでいて、実はものすごく難しいことです。
アニメ『けいおん!』に命を吹き込んでくれたのが、あなたたちで本当に良かった。
誰か1人違っていても、配役が変わっていても、きっとこんな風にはならなかったと思います。
豊崎さん。佐藤さん。日笠さん。寿さん。竹達さん。かきふらい先生。スタッフの皆様。そして、けいおん!が大好きな皆様。そのすべてが『けいおん!』で、この奇跡みたいな『けいおん!』が、私は、大、大、大、大、大好きです。
あなたたち5人は、いつまでも、私のヒーローです。
大好きをありがとう。
山田尚子
Posted at 2016/01/24 08:27:32 | |
トラックバック(0) |
日記 | 日記