〝パシフィック・リム〟ギレルモ・デル・トロ監督作品です。近未来。太平洋は海底の裂け目(パシフィック・リム)から突如として現れた〝怪獣〟(KAIJU)。世界各地に現れ甚大な被害を引き起こすこの巨大な〝脅威〟に人類は翻弄され窮地に立たされていく。人類は学ぶ。このKAIJUを駆逐するため世界中のテクノロジーが集結され〝イェーガー・プロジェクト〟が立ち上げられる。イェーガー、人型巨大兵器。ドイツ語で〝狩人〟を意味する。プロジェクトは、パイロットとイェーガーを同調させ、パイロットが潜在的に持つ戦闘能力をイェーガーに反映させようとするもの。開発当初はパイロット一人だったが、これはパイロットの負担があまりにも多大で、消耗を早めさせた。開発が進むプロジェクトではパイロットが二人になり、右脳と左脳を分担しイェーガーをコントロールした。この〝兵器〟の効果は歴然で世界各地で効果を上げ、KAIJUを叩きのめしていった。人類は劣勢から攻勢に転じる。KAIJUの出現は徐々に少なくなりつつあり、人々は安堵した。KAIJUは脅威からビジネスになった。KAIJUはキャラクターグッズになり、パイロットはTVショーのヒーローになった。人類の危機意識は薄れ始め、KAIJUは確実に進化をしていく。イェーガーとの戦い中でKAIJUはその戦略を変えていき、確実に人類とイェーガーとの間合いを狭めていくのである。KAIJUは脅威を増していき人類は再度劣勢に立たされてゆく。世界国防軍はイェーガー・プロジエクトの効果に疑問視。プロジェクトの凍結を決定する。湾岸線に巨大な〝壁〟を造り、防戦一方の戦略へ。しかしKAIJUはこの巨大で強固な壁さえも軽々と破壊していく。人々は壁を突き破るKAIJUをただただニュースのTV画面で見守るだけになっていった。イェーガー・プロジェクトは非公式なレジスタンスとなるが、ペントコスト司令官に賛同する同志達はKAIJUとの最後の全面対決を決意する。

スタッカー・ペントコスト司令官は注目の役者、イドリス・エルバが演じます。リドリー・スコット監督の〝プロメテウス〟ではキャプテン・ジェネクを演じていた俳優さんです。本作では元イェーガーのパイロットで、勇敢で強い意志を持つリーダーです。最新作はネルソン・マンデラの人生をを綴った〝Mandela: Long Walk to Freedom〟。

イェガー・パイロット、ローリー・ベケット演じるのはチャーリー・ハナム。本作では当初イェーガーを兄とヤンシー・ベケットと一緒に搭乗していましたが、KAIJUとの戦いでヤンシーが殉職。失意の中でパイロットを辞し、〝壁〟を造る作業員に転じます。ペントコストに選出され再度イェーガー・パイロットに復職しますが、心と身体が通じ合えるコ・パイロットを探している。

森マコ演じるのは我らが菊池凛子嬢。本作では数少ない女性の登場人物です。ローリーが搭乗するイェーガー〝ジプシー・デンジャー〟の修復と開発作業の責任者であるエンジニアです。マコ本人はエンジニアではなくイェーガー・パイロット志望。適性テストには51回受験し実技テストでは51回の勝利していますが、司令官であるペントコストは彼女をことごとく不合格にする。マコには幼少期のトラウマがあり、心と神経で操縦するイェーガーパイロットには不適格である、がペントコストの見解。しかしマコとペントコストには共通の過去がある・・・。マコは感情が高まるとつい日本語が出てしまう設定なんですけど、この日本語がちょっとカタコトなんです。当然演出なんでしょうけどね。

芦田愛菜は幼少期のマコを演じています。イェーガーの操縦には神経と記憶を同調し、パートナーとシェアし合います。メンタルをコントロール出来ないと、記憶の迷路を彷徨う事となり、戦闘に重大な影響を与えてしまいます。マコの過去の辛い記憶と体験がパイロットとしての適性を欠く結果となります。芦田愛菜はさすがの〝泣き〟の演技で、表情も素晴らしかったです。劇中では破壊された日本のどこかの街が舞台になるのですが、破壊された車両などはキチンと日本車になっており、日産のフィガロやRX-7(FD)などが登場します。

左、ハーマン・ゴットリープ博士演じるバーン・ゴーマンと、右ニュートン・ガイズラー博士演じるチャーリー・デイ。両者は科学的分野と数学的な分野からKAIJUを解析研究しています。お互いで反発しあいながらも、求めるものはひとつ。彼らの研究結果がKAIJUとの戦いに大きな役割を果たすのも見所。バーン・ゴーマンはクリストファー・ノーラン監督作品の〝ダークナイト・ライジング〟にも出てましたね。

怪優ロン・パールマン演じるのはハンニバル・チャウ。KAIJUの死骸を再利用し非合法でビジネスにしている闇商人。KAIJUの血液は強力な酸で構成されており、この酸を中和する技術をチャウは持っているためビジネスに成功した。世界国防軍からの予算をストップされたイェーガー・プロジェクトは、KAIJUの死骸をチャウ側に提供する見返りに活動予算を得る。パールマン演じるチャウは、その風貌からも胡散臭さはプンプンです。ガイズラー博士が彼を訪ね、あるモノを調達しようとするが・・・。作品は最後まで観てくださいね。キチンとオチがありますから(笑)。
とにかく面白かったです。KAIJUは凶暴で凶悪。躍動的な身のこなしは迫力があります。〝男の子〟なら是非観るべき作品だと思います。予告編がすべての作品は多いですが、全編が予告編のような本作は手放しに楽しめました。☆☆☆☆
ブログ一覧 |
My Favorite Cinema | 音楽/映画/テレビ
Posted at
2013/08/10 10:47:06