〝悪の法則〟リドリー・スコット監督作品です。カウンセラー(マイケル・ファスベンダー)は弁護士。美しい恋人ローラ(ペネロペ・クルス)に求愛をするためオランダはアムステルダムにエンゲージリングに付けるダイヤを選ぶ為ディーラーに赴く。ダイヤは高価だ。それが最高品質であるなら尚更で、VS-1と呼ばれるクアリティは興味深いほど〝高い〟。ディーラーはダイヤは欠点が基本だと言う。この欠点が少なければ少ないほど価値は上がり、少し、ほんの少し黄色く透き通ったその輝きは見る者を虜にする。カウンセラーはルーペで覗き込みその怪しい輝きに魅せられ、このとても高価なダイヤを選ぶことにした。カウンセラーには金が無い。弁護士といえば聞こえは良いが、世間体もあり派手なベントレー コンチネンタルGTも乗り回さなければならない。そこでカウンセラーは古くからの友人で裏社会に棲むライナー(ハヴィエル・バルテム)を尋ねる。ライナーは豪邸で昼も夜もなく派手なパーティーを主催していて、怪しく美しい恋人のマルキナ(キャメロン・ディアス)と暮らしていた。カウンセラーはライナーに金になる〝仕事〟のアドヴァイスを受け、麻薬の仲買人ウェストリー(ブラッド・ピット)を紹介される。ライナーはこの稼業に足を突っ込むなら、それなりの覚悟が必要とカウンセラーに説き、ボリートの話をする。ボリートとは中東にある人殺しの道具で、モーターがワイヤーを締め上げ斬首する。ボリートを一度はめられれば止める事はできず、最後は締め切ってボリート自体も破壊される。ボリートに巻かれれば選択肢は無い。ただ死を待つだけ、それがこの仕事と似ている、と言いたかったのだろう。カウンセラーはこの恐ろしい道具の話に嫌悪感を示すものの、どことなく他人事だ。カウンセラーは昼間のバーでウェストリーと会い、仕事の詳細を聞く。カウンセラーは途方も無い利益率と凄まじいリスクを聞かされるが、ライナーにボリートの話を聞いたときのように他人事だった。ウェストリーは必要にリスクをカウンセラーに忠告し、用意もしておけと話すが、カウンセラーは利益のことで頭が一杯だった。カウンセラーは依頼人に会うため刑務所にいた。依頼人のルーシーは息子(グリーンホーネットと呼ばれる)がバイク(YZF-R1)のスピード違反で捕まり、400ドルの罰金と持っていた12000ドルを没収されたと話す。カウンセラーはこの息子をあっさりと釈放させたが、彼は麻薬カルテルの運び屋だった。釈放されたグリーンホーネットは仕事に戻り、麻薬カルテルの関係者と接触する。この様子を離れた車から双眼鏡で伺う男女二人。女は読唇術を持っていて、グリーンホーネットら二人の会話を傍受していた。男はマルキナに雇われた仕事人で、グリーンホーネットを監視している。グリーンホーネットは受け取ったブツをヘルメットに隠す習性があった。仕事人はグリーンホーネットが通うハイウェイの道幅にワイヤーを仕掛ける。その脇にクルマを止め、グリーンホーネットが来るのを待った。ヤツが来た。仕事人はクルマのライトを点けグリーホーネットの気を引く。彼はとっさに上体を上げ減速するがそこには張られたワイヤーが。グリーンホーネットは無残に死に、仕事人は彼の〝頭〟の入ったメットとブツを手に入れる。仕事人は大量の麻薬が隠し積まれたトラックを盗み出す。が偽警官らの襲撃に遭い殺されトラックは再度奪われる。麻薬カルテルはこの一件にカウンセラーが絡んでいると疑い、彼を始末しようとする。このことを知ったウェストリーはカウンセラーに知らせる。カウンセラーは何かの間違えと話すが、もう手遅れとウェストリー。ここからこの仕事に関わったすべての人間を巻き込み、状況は最悪の事態に進んで行く・・・。
原題は〝The Counselor 〟直訳すると専門知識を持つ相談員となりますが、主演のマイケル・ファスベンダー演じる弁護士は劇中だだ〝カウンセラー〟と呼ばれます。個人的に、普段は顧客の相談相手だった弁護士が、裏社会に沈み込んでいくとただの相談者になり〝カウンセラー〟をあてにするだけとなってしまう、って意味があると感じました。物語は様々な状況が入り乱れ、多少混乱するものの、あらすじは至ってシンプルです。監督のリドリー・スコットは、陰影用いた撮影技法が秀逸ですが、本作でもその手腕は際立っています。特に窓からの光が大きく入ってこない室内でのシーンでは、この技法が冴え渡り、非常に重厚な映像が楽しめました。主演のマイケル・ファスベンダーはスコット監督作品では〝プロメテウス〟でタッグを組んでますが、今回は随分と趣が違う作品で、潔癖だったプロメテウスでの〝デイヴィッド〟からより人間味のある〝カウンセラー〟を演じてます。その他ペネロペ・クルスのやや世間知らずのお嬢様的な演技も良かったですし、現実では夫婦でもあるハヴィエル・バルテムのイカレっぷりもボチボチで、ブラッド・ピットの〝ワールド・ウォーZ〟での戦う父親像の好印象を微塵も感じなかったのも面白かったです。しかし本作でサイコーだったのはやはり〝マルキナ〟を演じるキャメロン・ディアスでしょう。今までの彼女って比較的コメディータッチの作品が多かったように思いますが、本作は非常に怖い存在となり、ほとんど笑顔を見せません。極めつけはフェラーリのカルフォルニアだったか、クルマの上で見せる印象的なシーン。バルテム演じる〝ライナー〟でなくても口あんぐりでした。原作は〝ノーカントリー〟のコーマック・マッカーシーによるオリジナル脚本。あの映画が好みだったら本作も楽しめます。☆☆
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2013/11/16 17:40:48