
トライスター版「GODZILLA」なんか観たあとは「口直し」に良質な日本の怪獣映画を観たいところでして、正月に観ようと思って年末に購入しておいた「怪竜大決戦」のDVDを観た次第です。
「怪竜大決戦」は、昭和41年(1966年)12月に公開された東映が製作した唯一の怪獣映画です。昭和41年と言えば、7月にはテレビで「ウルトラマン」が放映開始されるなど、まさに「第一次怪獣ブーム」の真っ只中でした。この前年(昭和40年)には大映が「大怪獣ガメラ」を公開、この「怪竜大決戦」が公開された年には「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」や「大魔神三部作」と大映は特撮映画を量産していくことになります。さらに翌年(昭和42年)には、3月に松竹が「宇宙大怪獣ギララ」を、4月に日活が「大巨獣ガッパ」を公開し、日本映画会社5社全てが怪獣映画を製作するという、怪獣ブームの絶頂期を迎える訳です。
…で、この「怪竜大決戦」ですが他社との差別化を図る為なのでしょうか、時代劇を得意とする東映独自のアイデアが光る作品となっており、作品タイトルも敢えて他社との違いを出すために「怪獣」ではなく「怪竜」としているところや、忍者同士の忍術合戦として主人公の自雷也(尾形雷丸)が「大蝦蟇(オオガマ)」に変化(へんげ)し、仇の大蛇丸が怪竜こと「大蛇(オロチ」に変化して怪獣プロレスを展開するという楽しい作品です。
そんな本作、主演は仁義なき戦いを繰り広げる前の若かりし頃の松方弘樹氏、ヒロインはこれまた若かりし頃の小川知子氏。敵役や脇役を大友柳太朗氏、天津敏氏、金子信雄氏などの時代劇の重鎮が固めています。忍者役では「斬られ役」で有名な福本精三氏も出演されています。物語りは両親、師匠の仇討ちがベースになっている古典的なものですが、僕はこうした昭和の時代劇によく見られるお約束的な感じが大好きですけどね(笑)。いやぁ…やっぱ悪役は「悪役の顔」をしてなきゃって感じですよ(笑)。物語のテンポも良く、観る者を飽きさせない作りが素晴らしいです。特撮パートの城のセットも大きく精巧なセットが組まれていて東宝特撮とは一味違った味が楽しめます。クライマックスの大蝦蟇と怪竜(大蛇)の戦いは、炎と水の対決として演出されていますが、奇しくも同年公開の大映「~ガメラ対バルゴン」の炎と氷の対決と重なっており、悪役が主君に謀反を企てて国をのっとり、主人公が復習の仇討ちに向かうというところも同年の大映「大魔神」と重なっています(笑)。「ガメラ」と「大魔神」の醍醐味が足されて、そこにスピード感のある忍者活劇が加わった様な楽しい作品ですね。しかも…時代劇なのに作品のところどころ「無茶苦茶」な設定や描写があって楽しいのなんの(笑)。特に城での宴のシーンで女性達がタンバリン持ってサンバっぽい曲に合わせて踊りを踊るトコなんて最高ですよ。「時代考証なんてクソ喰らえ」みたいな姿勢が素晴らし過ぎます(笑)。これぞ「空想特撮」ですよ!こうした「無茶苦茶」な部分が良い意味で受継がれたのが翌年からテレビで放映された「仮面の忍者 赤影」ですね。ちなみに本作に登場する大蝦蟇などのキャラクターは「~赤影」でも流用されて登場します。
結局東映はこの1本を作ったのみで、その後は怪獣映画を製作する事はありませんでしたが(松竹、日活も同様に)、この作品は今観ても大変楽しめる作品だと思いますね。こういう作品をテレビなどで放映して子供達の想像力をもっと養う事が必要ではないかと思います。

自雷也(雷丸)の化身「大蝦蟇」

大蝦蟇と怪竜(大蛇)の怪獣プロレス

炎と水の戦い

タンバリンを持って踊ります(笑)

笑顔が眩し過ぎる松方弘樹氏(主人公の自雷也こと尾形雷丸役)

若かりし頃の小川知子氏(ヒロインの綱手(つなで)役)
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Posted at
2019/01/05 23:11:16