
YouTubeの円谷プロ公式チャンネルにて【ウルトラ空想科学時間】として展開されている動画配信プログラム、その第2回目が本日配信されました。
今回は『ウルトラマン』第37話「小さな英雄」です。脚本は金城哲夫氏で、『ウルトラマン』全39話の中で最高視聴率【42.8%】を記録した作品です。
白昼、銀座のデパートに突如【友好珍獣ピグモン】が現れてデパートが騒然となるところから物語が始まります。ピグモン保護に出動した科学特捜隊(以下、科特隊)に対してピグモンは何かを訴えるように話し続けますが、さすがの科特隊一同にも怪獣の言葉までは理解する事ができず、イルカの言葉を研究している【権田博士】にピグモンを預けて翻訳を依頼し、同時に科特隊の隊員で科学者でもあるイデ隊員が翻訳機の開発をする事になります。
ちなみに本作でピグモンの声を担当しているのは、物真似師の三代目江戸家猫八氏であり、江戸家氏は『ウルトラマン』と同時期に同じく円谷プロで製作された『快獣ブースカ』で、主人公の父親【屯田栄之助】を演じています。

【友好珍獣ピグモン(再生)】
『ウルトラマン』ではコメディリリーフのイデ隊員。そんな彼が時折見せる【科学者】または【一人の人間】としての立場での、シリアスな場面が本作でも見られ、本作ではかねてから自分の中にあった思いをハヤタに吐露します。
「どんなに頑張っても、結局敵を倒すのはいつもウルトラマンだ。僕が新兵器を作っても大抵役に立たんじゃないか…。
いや、新兵器だけじゃない。我々科学特捜隊もウルトラマンさえいれば必要ないような気がするんだ!」
ハヤタは「そんなことはない…ウルトラマンは科特隊にも助けられている。持ちつ持たれつだよ。」…と、もう一人の自分【ウルトラマン】の気持ちを代弁するかのようにイデに語りますが、「そうだろうか…。」といった様子でイデの表情は晴れないのです。
兎にも角にもイデが開発した怪獣語の翻訳機が完成し、早速ピグモンの言葉を翻訳してみると、【怪獣酋長ジェロニモン】が今までにウルトラマンと科特隊によって倒された怪獣60匹(⇐そんなにいたっけ?)を復活させ、日本に集結させるというものであり、あと5時間後には60匹全ての怪獣が復活するという事が判明するのです。
急ぎ、ジェロニモン退治へとピグモンをガイド役に科特隊は出動しますが、既にピグモンの他にも【彗星怪獣ドラコ】と【地底怪獣テレスドン】が復活しており、科特隊は二手に分かれてそれぞれの怪獣に攻撃を開始します。
ちなみにテレスドンはムラマツ、アラシ、フジの3隊員がスーパーガンを一つに合わせた『トリプルショット』であっけなく倒されます。ショッカーの再生怪人もそうですが【再生】されて登場する敵って、どういう訳かすこぶる弱くなってますよね(笑)。

【彗星怪獣ドラコ(再生)】 ※初代と異なり、角が増え、翼がありません。

【地底怪獣テレスドン(再生)】
戦いの現場においてもイデは「ウルトラマンが今に来るさ…。」と、ウルトラマンが現れる事を期待するばかりで、科特隊員としての【責任】から逃れている様子で空を仰ぎます。
ドラコがハヤタとイデに迫りくるそんな時、ピグモンがドラコに懸命に立ち向かっていきます。しかし、ピグモンはあえなくドラコに叩き潰されてしまい命を落とします。
「イデッ!ピグモンでさえ我々人類の平和の為に命を投げ出して戦ってくれたんだぞ‼科特隊の一員としてお前は恥ずかしいと思わんのか‼」
…と、ハヤタに叱咤され頬を張られたイデは、【自分にできること】をやらずに他力本願で逃げていた事に気付き、再び怪獣と戦う事を決意します。
そして、イデが自ら開発した新兵器【スパーク8(エイト)】をスーパーガンに装着し、ドラコを蜂の巣状態にして瞬殺します。(スゲー新兵器だな)

新兵器【スパーク8】
科特隊の活躍でテレスドン、ドラコを倒すと、ついに御大ジェロニモンが登場し、口から霧状の【無重量(反重力)光線】を吐き、ムラマツ、アラシ、フジの3隊員を宙に舞い上げてしまいます。そこで、ハヤタがウルトラマンに変身。空中で3人をキャッチして無事に助けます。

【怪獣酋長ジェロニモン】
最後はジェロニモンが吐く無重力(反重力)光線をウルトラバリアーで跳ね返し、ジェロニモンを宙に舞い上がらさせて、そのままジェロニモンをウルトラマンが抱え上げて、イデがスパーク8で止めを刺してジェロニモンを倒すのでした。

【ウルトラバリアー】

イデをアシストするウルトラマン

【スパーク8】でジェロニモンに止めを刺すイデ隊員
戦いを終え、科特隊の面々は勇敢に戦って命を落とした【小さな英雄】に『科特隊特別隊員』の称号を贈り黙祷を捧げ、この物語は終わります。
この作品、【科学特捜隊の存在意義】というものに結構真正面から向き合って作られたものですよね。【ウルトラマン】という存在に少なからず『神秘性』を感じる事がありますが、決してウルトラマンは神ではなく、救えない命もあるのだと、自分自身が自分にできることを一生懸命やる事で、周囲の人たちから理解や助けが得られるのだ…という、強いメッセージが込められた作品です。
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Posted at
2020/05/10 16:15:57