
昭和19年(1944年)3月公開の映画『加藤隼戦闘隊』のDVDです。正月休みに観ようと思っていましたが早々に観終えてしまいました。
映画『加藤隼戦闘隊』は東宝が製作、監督は昭和17年(1942年)に『ハワイマレー沖海戦』を手掛けた山本嘉次郎です。帝国陸軍航空隊の第64戦隊、通称【加藤隼戦闘隊】を率いる加藤建夫中佐を中心に加藤隼戦闘隊の活躍を描いた物語です。戦中の映画ですので国威発揚的な演出も随所に見られますが、今の時代に観ても娯楽性の高い映画ではないかと思います。実際、昭和19年の公開時も大ヒットしたようで、その年の映画としては最も良い興行成績を収めたようです。
加藤建夫中佐を演じるのは戦後も数多くの特撮映画やTV特撮作品で軍人役を演じた藤田進。物語は加藤中佐が第64戦隊の部隊長に着任するところから始まり、昭和17年5月に戦死を遂げられるまでを加藤部隊の活躍を軸に描かれています。
何と言っても戦中に撮影された映画ですので、一式戦闘機「隼」も実機が撮影に使われており、この辺りが戦後の戦争映画とは全く異なる部分になりますよね。とにかく隼の格好良い映像が観れる、そういう映画です(笑)。
そして、僕がこの映画を観たいと思った一番大きな理由が、昨日(12/29)の当ブログで取り上げた日独合作映画『新しき土』と同じく、特殊撮影技術を円谷英二が手掛けているんですよね。特に帝国陸軍の重爆隊によるビルマのラングーン(現、ミャンマーのヤンゴン)のイギリス空軍飛行場及び港湾の爆撃シーンのミニチュア撮影が凄いんですよ!爆撃によって飛行機の格納庫が破壊されるのですが、この格納庫のミニチュアが精巧で、破壊の描写も凄く迫力があるんですよねぇ。さらにその破壊される格納庫(のミニチュア)の脇を逃げるイギリス将兵が完成度の非常に高いブルーバック合成(移動マスク合成)によって表現されており、まさに驚愕の特撮カットと言うに相応しい、今観ても充分通用する映像を楽しむことができるのです。『ハワイマレー沖海戦』の真珠湾攻撃のミニチュアセットによる特撮が凄いという話は有名であり、確かに凄いんですけど本作の特撮シーンはそれに負けず劣らず凄いと思いました。
この映画に関しては、隼の格好良い映像と完成度の高い円谷特撮の驚愕カットを観るだけにソフトを購入する価値があると思うほど傑作だと思いますね。

加藤建夫中佐を演じる藤田進さん。
『ハワイマレー沖海戦』にも出演しており、戦後は数多くの特撮映画や『ウルトラセブン』では地球防衛軍のヤマオカ長官を演じるなど、軍人役のイメージが強い俳優さんですね。

陸軍 一式戦闘機「隼」の雄姿。
現役の戦闘機として運用されているものを撮影でも使用するというのは何とも贅沢ですよね。

すげぇ…格好良いなぁ。

重爆隊によるラングーンの英軍飛行場の爆撃シーン。
ミニチュアセットと破壊の描写も迫力満点で凄いですが、破壊される格納庫(のミニチュア)の脇を走って逃げる英軍将兵の合成が完成度が高過ぎて驚愕です。

壊れ方の描写が良いですねぇ…。脇で倒れ込む英軍将兵が実写(合成)ってのが凄い…。

こういった格納庫の中からのカメラポジションで爆撃シーンを撮っているところなんかも、当時から高い特撮技術を持っていた円谷氏の拘りを見ることができますね。
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Posted at
2023/12/30 23:09:48