
今年の3月頃に新潟市内の某中古店で購入した『星雲仮面マシンマン』のDVD(全3巻)です。購入後、少しずつ観進めていましたがつい先日、全話視聴し終わりました。
『~マシンマン』は昭和59年(1984年)1月~同年9月まで、全36話が日本テレビ系列で放映された石ノ森章太郎原作、東映製作の特撮TVドラマです。
放映当時、僕は3~4歳頃でしたのでまさに【リアルタイム世代のど真ん中】だったのですが、当時の僕はちょうど先天性の心臓病の手術を受ける為に新大病院に入院していた時期で、この『~マシンマン』を視聴した記憶はそこまで強く残っておらず、この翌年の1月から放映開始された『兄弟拳バイクロッサー』の方が強烈に記憶に残っています。
そんな『~マシンマン』ですが、今年(2024年)はちょうど放映から40年という記念すべき節目の年となり、そんなタイミングでDVDを入手できたのは何か縁を感じますね。
『~マシンマン』は東映製作のTV特撮作品の【仮面ライダーシリーズ】、【スーパー戦隊シリーズ】、【宇宙刑事シリーズ(後のメタルヒーローシリーズ)】、【東映不思議コメディシリーズ】のいずれにも属さない単独作品です。
これまでのいずれのシリーズも悪の組織による【世界征服】、【地球侵略】という壮大な世界観で描かれていますが、『~マシンマン』では、悪の組織「テンタクル」のドン、プロフェッサーK(演 : 天本英世)や「オクトパス」の女王、レディーM(演 : 湖条千秋)が子供が嫌いで子供たちの笑顔や笑い声などを見聞きするとくしゃみが止まらなくなったり、鼻の頭が赤くなったりする【子供アレルギー】を解消するために【子供たちをいじめる】ためにアンドロイド兵士や組織に加担する悪人を使ってあの手この手を使い悪事を働く…という世界観で物語が描かれています。
『~マシンマン』の主人公、アイビー星の大学生、ニック(演 : 佐久田脩)は大学の卒業論文をまとめるため1週間の滞在予定で地球を訪れます。子供嫌いの天才科学者プロフェッサーK率いる悪の組織「テンタクル」が子供をいじめる為に悪事を働いていたところ、テンタクルに襲われていた週刊誌のカメラマン、葉山真紀(演 : 塚田聖見)を助けた事から地球での滞在期間を延長してテンタクルから真紀や子供たちを守るために地球人の大学生、高瀬健を名乗り星雲仮面マシンマンとしてテンタクルやオクトパスと戦うのです。
このようにマシンマン自身が敵と戦う理由が【地球(または世界)の平和を守るため】といった壮大なレベルではなく、自分の身近にいる人たち(真紀や子供たち)を守るといった、まさに『ご近所ヒーロー』、『ご町内ヒーロー』と呼ぶべきヒーローであるところが特徴的で、これについては『~マシンマン』の製作費が他のシリーズに比べて低予算であった事が大きく影響しています。
しかしながら、40年振りに改めて視聴してみてもこの作品は単純に低予算で安っぽく作られただけの作品ではないと思えるほど、凄く丁寧に作られている事に気付かされました。
特に、金やその他の欲望にに目が眩んでテンタクルやオクトパスに加担して悪事を働く悪人に対しては、人間の悪い心を善に変える作用がある光線【カタルシスウェーブ】を浴びせて改心させるという、これまでの東映特撮作品には見られない斬新な演出がされるなど、これは『~マシンマン』最大の特徴と言っても良いですね。まさに【憎まず、殺さず、赦しましょう】の月光仮面の精神ですな。
また、どの出演者も活き活きと演じておられ、それぞれのキャラクターの個性が光っていて実に魅力の詰まった作品だったんだなぁ…と改めて気付かされました。
ちなみに、第17話でプロフェッサーKが作ったアンドロイドでテンタクルの幹部でもある鉄人モンスがマシンマンに敗れた事に大きなショックを受け、傷心を癒すために日本を離れスペインへと渡るのですが、これはプロフェッサーKを演じた天本英世さん自身のスペイン旅行と撮影日程が重なった事により、天本さんが本当にスペイン旅行へ行った事による途中降板(第33話で復帰しますが)を劇中の設定で合わせたりしているなんて事もあったり、なかなか面白いんですよね。
天本さんが本作で身に着けている衣装も自身の私服だそうで、相変わらず独特の怪しい雰囲気を醸し出されていて格好良いですね。その天本さんがスペイン旅行にお出掛けになった後、プロフェッサーKの姪で犯罪組織「オクトパス」の女王、レディーMを演じた湖条千秋さんも宝塚歌劇団ご出身という事で、大変スタイルが良く、タイツ素材の衣装も格好良く着こなしていて、その一方でどこか憎めない可愛らしさみたいな雰囲気も醸し出しており『~マシンマン』の作品の雰囲気にとても合っているなぁ…と思いました。
『~マシンマン』もその後に放映された『兄弟拳バイクロッサー』も、スーパー戦隊シリーズやメタルヒーローシリーズの陰に隠れているような存在ですが、もっと評価されるべき良質な作品だと思います。ネット配信や映像ソフト(DVD、Blu-ray)などではなかなか今の子供たちが観る機会が限られますから、地上波は難しいにしてもBS辺りで昔のTV特撮作品やアニメ作品なんかをどんどん放送してほしいものです。

【右】アイビー星の大学生 ニック(演 : 佐久田脩)
地球上では【高瀬健】と名乗り、伊達メガネを掛けています。
【左】ボールボーイ(声 : 曽我町子)
ニックと共にアイビー星からやってきたボール型のロボット。

高瀬健が「ドルフィーン‼」と叫び、専用マシン【マシンドルフィン】を呼んでマシンドルフィンの中でイクシード・コンバートされてマシンマンに変身します。

マシンドルフィン
ニック(高瀬健)が乗ってき宇宙母艦「スペースコロニー」の中に格納されています。グループCカーみたいなデザインってところが如何にも80年代って感じですね。

マシンドルフィンの中でイクシード・コンバートされてマシンマンになった高瀬健は、マシンドルフィンを操縦して子供たちを助けに向かいますが、車内ではうつ伏せ状態で真下を向いて運転してるけど、大丈夫か(笑)?

全然前向いとらん…。
番組最後のおハガキ質問コーナーで「下に前方のモニターがある」って言ってました(笑)。

グループCカーみたいなマシンドルフィンは途中で飛行機型の「ドルフィンジェット」に変形します。アンドロイド兵士がすぐそこで暴れているのに、毎回変形して新幹線を追い越していきます(笑)。

最近、有蓋貨車そのものが無いけれども、こういった操車場で戦ったりするのも見なくなりましたね。

細身の剣、『レーザーサーベル』を発光させて必殺技『マシンサンダー』でアンドロイド兵士を切りつけて倒します。この辺は宇宙刑事シリーズとも共通する格好良さですね。

テンタクルのプロフェッサーKが作ったアンドロイド兵士、第1話に登場した「ドリル男」。低予算なので右手の部分だけが別の武器に変わって「〇〇男」として以降登場します(笑)。

掌から『カタルシスウェーブ』を照射するマシンマン。
「人間の悪い心を善に変える作用がある」とナレーションで解説が入ります。
これを浴びた悪人は大抵「すみませんでした!これから警察に自首します‼」とかいって土下座します(笑)。

カタルシスウェーブ(同上)

テンタクルのドン・プロフェッサー(演 : 天本英世)
身に付けているスカルキャップやマントなどは天本さんの私服だそうです。
子供たちが嫌いでくしゃみが止まらんのでアンドロイド兵士や悪人を使って子供たちをいじめます。(天本さんご自身は大変子供好きでいらっしゃるようです)

オクトパスの女王 レディーM(演 : 湖条千秋)
叔父のプロフェッサーK同様に子供アレルギーで、鼻の頭が真っ赤になってしまいます。

『~マシンマン』のヒロイン、葉山真紀(演 : 塚田聖見)
週刊誌「週刊ヒット」編集部のカメラマン。
事件の取材先でテンタクルの存在を知り、ちょくちょく事件に巻き込まれます。
1980年代を代表する特撮ヒロイン女優ですね。僕の中ではいつまで経っても「綺麗な近所のお姉さん」です。

そんな真紀さんが乗る愛車が赤いスズキ マイティボーイ。
劇中、結構な頻度で登場します。

片やニックこと高瀬健が普段乗っているのがスズキGSX750Sカタナなんですが、劇中の設定では「アイビー星から持ってきて組み立てたオートバイに似た乗り物」となっています(笑)。

めっちゃカタナじゃん(笑)。
でも、当時にしてみればなんて事ないこのシーンだけど、今観るとカタナとマイティボーイが並んでるってだけで何だかドキドキしてきちゃうなぁ…。