
11月29日発売のデアゴスティーニの隔週刊「第二次世界大戦傑作機コレクション」vol.22、中島 九七式艦上攻撃機(B5N)です。今回は大東亜戦争の初期から中期に掛けて日本海軍航空隊の主力攻撃機として活躍した中島飛行機製、九七式艦上攻撃機(B5N)(以下、九七艦攻)です。これで、同シリーズでは零戦二一型、九九艦爆、九七艦攻の3機が全てリリースされた事になり、まさにガンダム、ガンキャノン、ガンタンクが揃った感じですね(笑)。
さて、急降下爆撃で敵艦船や陸上基地などに爆弾を投下する爆撃機に対して、攻撃機は主に魚雷を水平投下して艦船等に損害を与える事が役割となる航空機ですが、雷撃機とも呼ばれる事もあり、雷撃の「雷」とはまさに魚雷の事を言うわけです。こうした爆撃機や攻撃機ですが、陸上基地での運用とは異なり、空母上での運用…すなわち艦爆や艦攻として運用するとなった場合、様々な制約が出てくる為にその開発はなかなか大変なものであったようです。爆弾や魚雷を搭載する事で機体が大型化してしまう訳ですが、空母上で運用できる機体のサイズでなければならない事や、爆弾や魚雷等を搭載した状態で発着艦が可能でなければならない事など、戦闘機や偵察機にはない課題が多く存在するようです。
今回の中島製九七艦攻の始まりは、昭和10年に中島飛行機と三菱重工業に対して海軍より全金属製単葉の新型艦攻、十試艦上攻撃機の開発が命じられた事によります。実は九七式艦上攻撃機という飛行機は、今回の中島製のものだけではなく、三菱製のものも存在し2社共に制式採用された珍しい飛行機です。海軍から十試艦攻の開発を指示された2社はそれぞれ、中島が引込脚を採用したもの、三菱は固定脚を採用したものを開発し、試験では両機の性能に大差が見られず、中島製を九七式艦上攻撃機一一型(九七式一号艦攻(B5N1)、三菱製を九七式二号艦上攻撃機(B5M)として昭和12年(皇紀2597年)に制式採用しました。現在では九七式艦上攻撃機というと、この中島製を示す事が一般的となっていますが、実は全く違う設計の2つの機種が同じ形式の航空機として同時に運用されていたというのは、実に面白いですよね。さらに、昭和14年には中島製の一号艦攻に搭載されていた中島製「光」三型、空冷星型9気筒エンジン(710hp)から中島製「栄」一一型、空冷星型複列14気筒エンジン(970hp)に換装された事で、九七式艦上攻撃機一二型(九七式三号艦攻(B5N2)が登場することとなります。今回モデル化されたものも、この最多量産型の九七式三号艦攻(B5N2)となります。九七艦攻は真珠湾攻撃に始まる日本海軍機動部隊のまさに「攻撃の要」であり、緒戦の大戦果の大半がこの九七艦攻によるものと言っても過言ではなく、零戦の存在の影に隠れてしまっている傑作機なんだと言えるのでしょうね。九九艦爆同様、今回こうして模型ながら間近で九七艦攻の機体を見てみると、零戦や九九艦爆にはない直線的な機体デザインが非常に美しいなといった印象を受けました。デザインに無駄が見られず機体の優美さが高性能である事を証明してくれている感じがしますね。
このシリーズ、もしかするとそのうち三菱製の二号艦攻(B5M)も製品化するかもしれませんね(笑)。…と言うか、製品化してくれる事を大いに期待しちゃいます(笑)。
Posted at 2016/12/09 22:47:41 | |
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