
デアゴスティーニから一昨年(令和5年)8月から発売されている隔週刊『男はつらいよDVDコレクション』ですが、僕は全巻購入をせずに創刊号(第1作『男はつらいよ』収録)と自分が欲しいと思う6作品だけを購入しました。そのうち、最後の購入となったのが今年の1月21日発売のvol.38、シリーズ第34作『男はつらいよ 寅次郎真実一路』(昭和59年12月公開)です。
僕がこの作品を購入した動機は『男はつらいよ』シリーズの映画冒頭の定番でもある寅さんの見る夢のシーンで、松竹が昭和42年に公開した怪獣映画『宇宙大怪獣ギララ』のギララが客演しているところを観たいというだけであります(笑)。
…日本に突如怪獣(劇中では「ギララ」ではなく単に「怪獣」と呼ばれる)が現れ、東京の街は甚大な被害を受けていた。
今から15年前に怪獣の出現を預言して世間から「馬鹿者扱い」され大学を追放された車寅次郎博士(演 : 渥美清)は、妹のさくら(演 : 倍賞千恵子)と助手の博(演 : 前田吟)と共に筑波山の麓で世捨て人のように隠居生活を送っていたが、この未曾有の危機に総理大臣(演 : 太宰久雄)と官房長官(演 : 佐藤蛾次郎)が寅次郎博士を頼って邸宅を訪れる。
東京の街を破壊し尽くした怪獣は筑波山に向かって遂にその姿を現す。寅次郎博士は「怪獣よ…俺が憎いのはお前を怪物にさせた愚かな文明だ!」と言い、首に掛けていた帝釈天の御守を手に取り怪獣に向けて飾ずと、御守から青い光線が怪獣に向けて照射され、光線を浴びた怪獣は悶絶し断末魔に「とらさ~ん」と叫び消滅します。
昼寝から寅さんが目を覚ますと食堂の家の子供がゴジラのゴムマスクを被って「ガオーッ!」と寅さんの顔の近くで脅かすとビックリして転げ落ちる寅さんなのでした。
松竹で長く続く『男はつらいよ』シリーズ、当時すでに34作目を数えていた長寿シリーズですが、このように同社製作の怪獣映画『宇宙大怪獣ギララ』のフィルムを使用して物語冒頭の喜劇を作ってしまうというのが実に良いですね。怪獣を巡る物語の端々にクスッと笑える場面があるの一方で、かつて変人扱いされて世間から距離を置いて暮らしていた博士と愚かな文明によって一匹の小さな宇宙生物が巨大な怪獣になってしまったという怪獣映画の持つ悲哀感を哀愁漂う秀逸な演出で見事に表現していますね。
そもそも『男はつらいよ』シリーズという喜劇の根底には主題歌の歌詞にも書かれている「顔で笑って腹で泣く」といった、笑えるんだけどいつも寅さんはどこか切なさを感じる雰囲気を漂わせている、多分それは寅さんという人物の「人としての優しさ」が映画のスクリーンを通して我々観客にも伝わってくるのだなぁ…といつも思うんですよね。

車寅次郎博士(演 : 渥美清)

筑波山に現れた怪獣の姿に驚く総理大臣(演 : 太宰久雄)
「あッ!ゴジラだ‼」

博士の助手、博(演 : 前田吟)が総理大臣に向かって、
「あれはゴジラではありません!どちらかと言えばエリマキトカゲに似ております。」
映画公開当時、日本でエリマキトカゲ流行ってましたからねぇ(笑)。

「怪獣、覚悟!!」
博士はそう言って首に掛かっている帝釈天の御守を怪獣に飾します。
「御守」の文字から青い光線が照射され怪獣目掛けて飛んでいきます。

御守の光線を浴びた怪獣は悶絶します。
この夢のシーンの為にこうした光学合成作画をしてしまう心意気が良いですな(笑)。

断末魔に「とらさ~ん」と声をあげて消滅する怪獣(笑)。

夢から覚めると子供がゴジラのゴムマスクを被って「ガオーッ!」と寅さんを脅かします。この年(昭和59年)、本作と同じく12月に『ゴジラ(‵84)』が公開されており、このゴムマスクの造形もちゃんと‵84ゴジラの顔ですよね(笑)。
Posted at 2025/03/09 13:12:39 | |
トラックバック(0) |
特撮関係 | 趣味