2013年10月20日
「青葉」から「墨谷二中」になってPL学園の選手たちはどう変化するか?
10月14日、大阪市内の舞洲ベースボールスタジアムで行われた高校野球の秋季大阪大会決勝。履正社に3-4で敗れたPL学園にスタンドから温かい拍手が送られていた。部内暴力で6カ月間、対外試合が禁止となり、監督不在で臨んだ大会。選手同士で話し合い、サインを出しての準優勝。そのひたむきさが、「判官びいき」とも言える観客の心を揺さぶった。
■「墨谷二中」となったPL学園
スタンドでは、対外試合禁止のため3年生になって1度も公式戦を戦えなかった部員も、必死に声を出していた。責任教師としてベンチ入りしている正井一真校長に聞くと、当初は「後輩とは関わりたくない」という雰囲気だったが、次第に応援しようというムードが高まり、履正社戦ではスタンドとベンチが一体となっていた。改めて高校野球は面白いと感じた。
「キャプテン」(ちばあきお著)という青春野球マンガの傑作がある。PL学園と作中に出てくる青葉学院が重なる。青葉学院は専用の野球グラウンドがあり、個々の選手の能力が高い野球エリート校。主人公が通う公立校の墨谷二中が、部員同士が助け合いながら血のにじむような努力を重ねて青葉学院に挑む部分は読み応えがある。だが、監督不在の中、選手同士でサインを決め、ひたむきに戦った今秋のPL学園は墨谷二中だった。
■機能不全起こした育成システム
今回のPL学園の不祥事は、「PL学園」という名前の甲子園球児育成システムの機能不全が引き起こしたのではないかと思う。
全国から野球偏差値の高い中学生を集め、能力の高い部員が激しいレギュラー争いをして当たり前のように甲子園に出場する。「チームのために」との気持ちはあるが、自分が納得するプレーの方が優先され、それが勝利につながると考える。考え方はすでにプロ野球選手だ。
ある年の春の選抜大会でのことだ。大会中は指定された宿舎に泊まるが、「みんなが安心しているすきに練習しよう」と午前4時に起床し、下級生と学校に戻ってマシン打撃をした選手もいたという。
下級生が上級生の「付き人」になる慣習もあった。これが部内暴力の一因とされたが、「付き人を要領よくこなし、野球も頑張る。PL学園出身者はそれができるから、プロでも活躍する」というOBがいるのも事実だ。
このシステムは、最高レベルに近い野球能力を持つ中学生が毎年のように相当数、入部しないと維持できない。野球がうまくて尊敬できる上級生に「付く」ことで自身のレベルを向上させ、それをまた下級生に伝えていく「徒弟制度」に近い。ただし、野球がうまくとも、要領が悪い部員がいると、いじめや体罰を生みかねない。
■高校球児は高校球児らしく
野球強豪校の間で、優秀な中学生の獲得競争が年々、過熱していると言われる。練習はコーチに任せ、ボーイズリーグやシニアリーグなど、硬式野球チームの選手情報を集めることが仕事という監督もいる。PL学園というブランドに頼って優秀な中学生を集めることが難しい時代になっているのも事実だ。
監督不在でも、今のPL学園の選手の野球レベルは相当に高い。プレーを見て、センスの良さを感じる。そんな野球エリートが監督に頼ることなく、「自覚」を持って戦う「墨谷二中」を経験したことで、どう変化していくだろうか。
甘いといわれるかもしれないが、互いが助け合って純粋に勝利を求めることは、高校球児が持つ特権だ。高校球児はとことん高校球児らしくすればいい。PL学園の選手たちの今後を、じっくりとみてみたい。(村田雅裕・運動部編集委員)
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知らない人はなんのことか全くわからないと思いますが、タイトルを見てツボりました。
漫画なんでアレですが、その墨谷二中ってのは設備もない学校で、監督もコーチもおらず、キャプテンを中心に自分たちで考えて練習し、試合をするってんです。
高校野球はクラブ活動です。たぶん。
運動部に限らず、単純な勝ち負けよりも活動を通じた成長が第一にあるべきだとかねてから思っております。
自分たちで考えて実行して結果を反省する、この繰り返しが自分の将来に役立つに違いありません。
これでPL学園が浮上することはないかも知れませんし、新たに優秀な「野球要員」が続々入学することは減るかも知れませんが「それもよし」だと思いますな。やらさらるのではなく自ら考えることは有益だと思います。ただ、小学校からこれまでおとなにがみがみ言われながら服従する野球脳が染みついてしまって、この時点で思考停止してしまっていれば手遅れですがねww。
顧問だとかおとなが前面に出てくるのは、
・無理な練習をしていないかなどのチェック
・学校や地域との折衝、トラブったときの対応
・生徒から要望による技術面の指導者の招聘
このくらいですかね。コレは必要です。大学くらいならともかく、なんでも自主性にまかせるととんでもない方にいきかねませんよね。
選手の中にも技術面では劣ってレギュラーになれなくても、監督役が出来る作戦部門とかマネジメントに長けた部員もいるかも知れませんし、そういう人を活用することも大切かと思います。
※追記(10/20)
ところでこの記事では言及されていませんでしたが、体質改善に向けた対策はなされているのでしょうか?? 野球部だけの寮をやめて運動部混合の寮生活にするとかは聞きましたが、年端もいかない者同士が共同生活した上にクダラナイ上下関係を振り回せば何部であれロクな事になりません。
賢人の曰く「バカに野球を教えたとしても野球の出来るバカになるだけ」と。
しっかしまぁ、なんですな。
大学生ならともかく、高校くらいなら基本的に自宅(親元)から通学が必須だと思いますな。特段の事情で家庭環境がアレな方は学校の寮でなく、然るべき所管のしかるべき施設で暮らすようにした方がいいと思いますな。
選手登録も「原則自宅通学」を要件とすればヘンな越境・野球留学・部活要員枠なんてのも減ると思うのですが・・・。
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Posted at
2013/10/20 09:04:03
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