
Super GTのFSWラウンドのレポートを支援者の皆さんに配信しました。
(こちらの画像にも貼付けておきます)
さて、今日は『練習方法』についてお話しします。
元々、練習時間が取り辛い、そしてミスの代償が大きいのがモータースポーツです。
だからより速く走れる様になる、より安全に走れる様になるのに時間が掛かるし、速く安全に走ったり、それをレースという限定された環境で結果として出すのは”至難の業”と言えます。
サーキット走行を始め1年で公式戦に出る事を決意し、最初からGTレースに出れる様にまずは競技ライセンス取得、GTレースに出れる様なライセンスグレードにする為にレース経験&完走記録を蓄積する所から始めた昨年、そしてGT4カテゴリーの公式レースは2イベント4レースのみでしたが、いまのまだまだ結果を出しには足りない部分を痛感し、今年のGT3カテゴリー参戦を目前に控えた方の練習の仕方を紹介したいと思います。
キーポイントは
効果測定、巡回トレーニング、一貫性のある体制、練習走行の時間とコストを見越しておく、集中トレのタイミング、、です。
昨年のGT4レースを終えたのが6月、7月には今年のレースに出場する車両を購入しまずは定説どおり『広場トレーニング』での車両慣熟からスタートしました。
一番走り込んでいるホームコースのFSWでまずはスポーツ走行内でドラサポ実施、鈴鹿は元々走行機会がなかなか取れないのでプライベート貸切をされている仲間の枠にJOINTして走行、それから特別プログラムとして構築していた『エビスサーキットでのダートトレーニング』にもご参加頂き、それらの経験を経て車の動かし方やGT3車両の慣熟の序章を経て改めてFSWスポーツ走行でドラサポ実施、、、ここまでが昨年の9月頃までの動きでした。
10月になると再度鈴鹿を少数のレース系車両のみで走れる走行会があり参加、8月に走った時からの進化を体感、スポーツ走行は車速域が高くなるとどうしても周りとのコミュニケーションが難しかったりリスクがあって良い状況で走り辛いので、なるべく少数で走れる環境をコスト面では高くなるが”効果とコスパ”を重視してチョイス、ワンスマの15台枠走行会なども活用頂きつつ、まだ適宜広場トレーニングでもGT3車両を持ち込んでの基礎確認トレーニングも織り交ぜつつ、でした。
12月になると今年一緒に組むドライバーも確定し練習走行は基本2人で時間をシェアして走行する機会がほとんどになりました。
(12月も15台走行枠があったり、ここで相方ドライバーさん/アマ、も車両慣熟)
1月は気温が低すぎてスリックタイヤでの走行は控え、2月になったらタイヤウォーマーを活用して実走行トレーニングを再開、タイヤも参戦するレースで指定のタイヤではなくもう少し柔らかくて初動の良いタイヤを敢えてチョイスして安全性を最低限確保もしました。
レースカー中心の走行会や合間の広場トレーニングも継続、3月には鈴鹿CCMCでの走行も(鈴鹿はやはり走行機会が少ないのであんるべく走れる時は走っておく)、今年参戦するGTワールドチャレンジの公式テストが3月末に開催され、そこでそれまでの約半年の成果を確認し現状どのくらい他のジェントルマンDrの中で戦えるか見積もれる内容でした。
4月になるとタイヤウォーマーは使わず、本来レースで使うタイヤを投入し、開幕戦の菅生、ホームコースのFSW、8月開催の岡山、最終9月開催の鈴鹿と内輪での貸切走行を中心に(コストは掛かるが効果は大きい)、開催サーキットを全部網羅して最後の集中走行月間となりました。
今月になってエビスのダートトレーニングを昨年の9月に引き続いて参加、15台のFSW走行枠や菅生でのプライベート占有もありましたが、ここまで来るとスキルの上乗せによるタイムアップよりも実戦的な走行(予選シム、決勝シム、Dr交代練習、Pit-in/outランなど)が中心、そして2名のジェントルマンDrでの構成なので個々に足りない事や事前にやっておきたい事に対してこの日はAドラだけ走行、逆にこちらはBドラだけなど、局地的なプランも実施してきた月間でした。
昨日のSUGOプライベート占有を持ってシリーズで規定されているプライベートテスト許可期間での走行は全て終了、あとは6月中旬のSUGO開幕レースWeekを迎えるので車両準備も本戦に向けてメンテ期間に入るとのことです。
実質10カ月のこのテストプログラムでザックリではありますが10回程度の実走行以外(広場トレーニングなど)を実施、実走行は実に15回以上の走行でした。
時間にして実走行が約30時間、距離にして2000km以上だったと思います。
タイヤもTOTALで20set近く使用したでしょう。
それらランニングコストだけでもきっと2500~3000万くらいは掛かっていると思います。
(人件費、運搬費、メンテ費、消耗や修復など)
GT World Challenge / Japan Cupは1Weekで700-800km/7時間くらいを週末で走行しますから4Week8レースで3000km前後/30時間弱の走行時間、、、つまりレースweekに走るのと同距離くらい、練習でも走ったと言えますね。
車の消耗(エンジンやミッション駆動系、ブレーキ系の交換サイクル)など都度の走行にはコストは掛からないが、走行量が増えると交換メンテなどに大き目のコストが掛かるものも当然走行頻度があがると見えない所でコスト増に繫がる。
2名のアマDrが走るとほぼ50:50で個々に走行量を確保したいので、サーキット経験が2-3年でレース経験が1-2年だと、やはりこの位の時間練習をしないと他のジェントルマンDrと対等に戦える土俵には上がれないと言えます。
今回携わっている2名のGentlemanさんは後からJoinした方の方がレース経験はまだ少ないけどしっかり下積みをされてきた方だったので、元々のスピードや順応性の高さにもう片方のGentlemanさんも助けられていた部分があるでしょう。
車両のコストは含まずでGT4やGT3のレースは1Weekで上記位走る転戦系のレースだと1Week 1000万前後は必ず掛かるのでレースに4000万、練習に4000万の合計8000万を2名のドライバーでどうコスト負担するか?っていうのがどこのチームも相場ではないかと。
これらのトレーニングとは別に自分のロードカーでサーキット走行したり、サーキットに通えない時はシムトレーニングをしたりにもコストは掛かっているハズ。
そこまでの時間とリスクとコストの犠牲を伴って、それを最初の3~5年でレース経験も加えてやっていければどんどん練習走行の時間とコストは抑えても、それなりに走れる様には誰でもなっていくものなので、そこまでの最初の1-2年、その先の3-5年は本当に大変だと思います。
Gentlemanの方々はそうやって練習を積み重ねてきた方々が日本のトップ20人くらいに君臨されてますからその仲間入り、もしくはその一つ下のステージに入ろうとしたらどれだけ大変か?分かって貰えるかと思いますし、S耐などの国内主要レースにカートレースなどの経験がない方がGentlemanからプロを目指していこうとしている方々がレースWeek以外はお金が掛かるからサーキット走行の機会が作れない、、、みたいになると『そりゃ上手く成ったり速く成ったりするはずないよね』って思えます。
だからいきなりGTレースって大変だからもっと下のカテゴリーでコストを最小限に抑えて機会を作る努力と実戦経験を積む工夫をすればよく、年齢とか色々な事情で少し急がないと行けない場合ではない限りは、モータースポーツはじっくりステップbyステップで自分が出来る領域(技術面とコスト面の両面で)を見極めながらやるべきです。
冒頭キーポイントでも書きましたが
効果測定 一貫性のある体制の中でメンテもコーチもプロの眼で判断する環境
巡回トレーニング 実走行、基礎トレなどを良い頻度とタイミングで巡回する
練習走行の時間とコスト 効果が得られる環境にはコストをケチらない
集中トレのタイミング 転戦などは特に戦うサーキットの得意不得意が無い様
、、です。
セットアップを進めるか?この環境で走るか否か?など無駄に走ってコスト増になったり、リスクある状況で走らない勇気が持てなかったり、、、第三者的目線で経験値のあるプロがいる事で返ってリスクを避けて無駄なコストを抑えて、掛けたコストがなるべくスキルアップと経験値に繫がる様にアシストするのが我々の役目だと考えています。
色々な人がサーキットを走る方も居るので、うまく進められている人の考えを聞いたりしてみるのが近道ですね、正解は一つではないけど、先生が沢山居る人、助言を色々な人に求めちゃう人って、実は近道のようで遠回りだったり、結局誰も責任ある仕事してくれなくなったりしてしまうので逆効果になっていて、効果が薄いだけならまだいいけど、リスクが高まってしまうのは見ていて”もったいないな~”とか”危ないな~”って感じる事が多々あります。
是非、色々と試行錯誤したりもがいている方こそ、そういった数ある正解の中にある共通点を見つけてほしいと思っています。