いつもドライビングについて(特にハイスピードな状態でサーキットを走行するという事に関して)話しているのですが、どんなマインドなのか?という事を書きたいと思います。
例えば出張先のホテルに大浴場があったりサウナがあったりすると、、、自宅で半身浴したりいきつけのサウナに行くときと、サウナであれば内部の温度や湿度、水風呂だったら水の温度が沢山の経験値に基づいて1度2度違うだけで分かる訳です。
水風呂だったら脛(すね)の部分が冷たくて痛くなって20-30秒入ってられないと水温は15度以下だし、18度以上あるとずっと入ってられるから、丁度いいのは16-17度だっていう事。
先にサウナの内部や水風呂にある温度計を見て〇度だってわかってから入るとやらない感覚ですね。
実際のサーキット走行では逆に自分の経験値に基づいて、出来るだけ事前に情報を集めておいて少ない時間で正解に導けたり、ある程度正解ゾーンから始められる様にする事が車の負担や安全の為にも必要ですが、鍛錬の際には先に知らずに自分の指針や感性で判断するのがトレーニング。
体を洗う際にも、蛇口とシャワーの切り替え方法や蛇口からのお湯が40度前後から水に近い温度(30度以下)になるゾーンはどの辺か?スイートスポットが狭いか不感症か?で、水温調整をしてもあまり変わらないか?水圧とのバランスは取りやすいか?サウナはあるのに水風呂がない様な大浴場だとシャワーの水で体を整える必要があるので、一番水温を絞ってどの位の温度まで下げられるか?も確認します(逆はやけどするからしないけど 笑)。
蛇口のお湯が自動的に止まる機能が付いていれば、それが次止まりそうなタイミングを予想したりもします。
もっと言えば、体を洗ったり頭を洗ったりしていて目をつぶっている状態が多いでしょうから、見ずにしてお湯ONのスイッチを空間認識で予想して右手で探すという行為も発生するでしょう。
次止まるタイミングが10秒だなって勘づくと、今度は自分で10秒をカウントして本当にそうか?確認し、そうだとなれば次は10秒でピッタリ止まれば自分の1秒の感覚が合っている証拠だし、要はそうやって自分が『気づく、予想する、確認する、試してみる、難易度上げてみる、結果に基づいて調整してみる』という行為を繰り返している訳です。
この感覚は皆さんが日頃の生活の中でやっているひとつひとつの行為にも繫がるので、その感覚を意識しているかどうか?だけです。
感覚が研ぎ澄まされるのはリスクが伴ったり(遅刻をしてしまいそう、急いでいるetc)、何か上手く行ったら自分にメリットがある時(これが出来たら〇〇出来るという餌がぶらさがっているか?)です。
そういうマインドで常に車を走らせて高度に空間認識や挙動コントロールしていたとしても、瞬間的に不運や思惑の違いが交錯すると先日のS耐の開幕戦での大きなクラッシュによって赤旗になるような事案が起こってしまう時があります。
SNSでは
見てないとか、ワザとだとか、殺人行為だとか、FFでFRを後ろから押したらああなるに決まっている、、、みたいな匿名の投稿も多く反響があったり、当事者からのコメントや関係者からの声も合わさり、混迷してましたが、私から言わせてみれば匿名の声を真に受けてたら大変だし(こちとら実名で仕事してんじゃ!って想いもあります)、ワザとだ、、、なんてレベルのコメントしている人は自分の体験に基づいたマインドじゃないか、祭り上げる事を生業としている様な本当のファンじゃない人たちでしようからスルーで良いと思う。
まず言えるのは、、、
あれは極めて動き方が難しい瞬間だったという事と、結果的に色々と当事者の方々は損害はあって、その後大変だったと察しますが、たけど人生を狂わしてしまう様な事が当事者の中で起きなかったのは不幸中の幸いでした。
Y選手は次のシケインに向けてブロック気味のライン(まだ完全に前に出てないので当然の次の動きで右に寄せる、という意味ではなく右一杯から左一杯へ移らないといけないレコードラインの場所でやや左めの中央を真っすぐ走るだけで相手に対して相対的にブロックラインとなる) + GT3車両を左から抜かせたいという動き = 同じライン(効率的な動機)だから、その意図での走行をしたと思われる。
O選手も見てないどころか、逆に周りが良く見えていて、当然Y選手が半車身前に居るのは分かっていて、でも後方からGT3も来ていて瞬時に次のシケインに対してIN側となるコース右側から来る動きを見せたので、それに反応してやや右めの中央からY選手がその瞬間に居るやや左めの中央へ、このあとシケインに対してY選手は相対的ブロックラインとなる真っすぐ目なラインで来るかもしれないけど、そうはいってもY選手も若干さらにコース左側(ほぼ左端方向)に移動してくれるだろうといくつかある予想ケースの中の1つとして(くらいのイメージで)予想し、少しY選手がいるレーン(やや左めの中央)に移っていきながら引き続きサイドbyサイド状態をイメージしていたと思う。
度合いとしては多分Y選手の方がO選手を見ている度合い高く、O選手はほぼ抜かれてしまった以上、度合いとしてGT3を見ている度合いの方が高かった、ほぼ同スピードのY選手とO選手がこの瞬間に一番気を付けないといけないのは、相手同士の車両感覚はさることながら、スピード差も車格も大きく違うGT3車両がシケイン前で自分たちを抜いていく際のスペースをより大きめに開ける事でバトル中の自分たちの安全性をお互いにより確保しようとする事。
そして次に(その中の範囲で)シケインでの優先権や優位性をより自分側に確保する為のスペースコントロール。
コース幅的に目一杯車を並べてもシケイン前は4台が横並びでいくと全車がミラータッチ状態の上に左端の車両の左タイヤと右端の車両の右タイヤはコースの白線の上、もしくは芝生やコース外の縁石やアスファルトに脱輪してもおかしくない、、、そのくらいのスペースしかない所をスピード差があってそれぞれに全開走行をしている3台が少しでも余裕を残して安全性をより確保しつつクラス内のバトルとクラス違いの追い越しを実現する、、、やはり極めて難しい状況だったことが予想されます。
もっと大きな枠で言えば、デミオはタイヤがきつくペースが悪い(FFだからきっとアンダーが凄くて130Rでああいう抜かれ方するっていうのは相当だったと推測)けど、あと40-50分位は燃料持たせてコース上に留まれれば、そのまま2位ではチェッカーを受ける可能性が高いようだったし、逆にロードスターはいつものST5の戦いぶりや最新のピットのタイミングを考えると今はペースが違うけど前に行かれても、デミオよりトータルでは1回多いビットでスプラッシュ(給油のみ)の可能性も考えられていたと思うので、抜かれる際に無抵抗はレースをしているモノとして避けたいけど、ペースの違いはお互い分かっていたので無駄なバトルも避けたい(Y選手はもう1回スプラッシュの可能性があったなら”先を急ぎたい”という気持ち、O選手は”まだGT3が絡むような今回の瞬間のようなケースでは相手が前に出ていてもGT3との関係で相手が早めにブレーキを踏んだりする事もあるかも?”という気持ち)お互いにまだ分からない、O選手はここでバトルしなくても、この先まだ相手のピット有無次第でもう1度前に出るチャンスが、、、という気持ちがあの瞬間はあったと思う。
ワザと当てて相手がああなるように、、、なんて毛頭もないだろうし、レース後のペナルティは起きた事象と両者がこうむった結果を対比してO選手側に非が大きいという判断からのペナルティだろうから、その判断やペナルティの重さは既にレース後に暫定が出て正式結果となって誰からも異議申し立てが出てない時点で第三者がとやかく言う事ではないと。
見てないなんて事もありえなく、あの場に居た数台は全て前方、両サイド、後方を360度カメラ並みの精度で見ていたから、残念ながら1台のみ大きな損害を受けたけど、それ以外はあれで済んだと思う。
ただ、”見てる”っていうと一般の人は”注視”するイメージだけど、こういう時の見てるは『気配を感じる』程度の視野の中でなんとなく何かが動いている様なものの見方を多方向に一度にしているのが正解なので、そういう意味では”見てない = 注視はしてない”(その瞬間、横のY選手の車両の動きだけを注視なんかしてられない、他にも見ないといけないモノが多数あったから)、そんな状況だったと思う。
沢山のタイヤバリアで囲まれていて、万が一の際にも安全性が年々高くなっているサーキットの中にも、稀に今回の事故の様に隙間的にガードレールむき出しの部分がまだあって、そこにコントロール不能状態で当たると不運にも今回の様にチームにとってはクルマの損失が大きいし、ドライバーにとっては命の危機も考えられる事案が起きてしまう、今回もY選手が意識が無くなって燃料タンクから漏れたりタンク自体が破裂するような事になったら、ドライバーが自力で脱出できない中での火災にも繫がる可能性があったと思いました。
ワザとかどうか?で言ったら、レースでも車を運転する一般道でも全部ワザと言ってしまえばワザとですからね。(故意に相手にリスクがあるように、という意味ではなく)
ワザと当たらない様に、ワザと自分に有利なように、ワザと相手が走り辛いライン取りで、ワザとギリギリで、、、など、これがレースなので。
今回だって、断定はできないけど『Y選手はワザと自車の左側に1台あけたままで進んだのとO選手はワザと自車の右側のスペースをより多く取って自車とY選手がより安全にGT3車両に抜いて貰えるように、というラインで進んだ結果、ギリギリの所で両車の思惑と走行ラインが交錯し接触、相手をスピンさせてしまうような形になってしまった』となれば周りの人の見解も変わった可能性がありますよね。
冒頭の風呂やサウナの話に戻りますが、そういうマインドで常日頃から多かれ少なかれ生きている人たちが多いコース上で順位やタイムを争ってレースをしているから、免許持っているかどうかわからない、免許持っていてもそのレベルで運転しているかどうかわからない人には、もしかしたら理解や想像が及ばないのも当然といえば当然、だからああいう心無いコメントになるのだとは思います。
Y選手も対外的にどういっているか?はわからないけど、後から映像みても自分の中では『スピンさせられた』とは思ってないと思います。
事後に出た当事者や関係者のコメント等に関しては、私がとやかく言う立場ではなく今日の題材とは関係ないので触れませんが、流石だな!口を出す余地ないな!と思わせるコメントも、ちょっと違和感あるな~と思わせるコメントもあっても良くて、それを支えている人や関係者、ファンの皆さんが見て各自で感じて別に『私はこうする、こう思う』と言わずとも、その判断に基づいて今後に繋げていけばいいだけの事だと思います。
こういう事って残念ながらたまに起きる
昨年で言ったらS GT FSW戦の時もそうだし → その時の見解は
こちら
今年もレースではないけどありましたね → その時の見解は
こちら
最後に
Driving Academy Tvの最新映像の紹介
▼FSW2023徹底攻略 >>>
こちら
・ヘアピン
ヘアピンは、その先の300Rのスピードを稼ぐためにアウト側を目一杯使って立ち上がる必要があります。
オフィシャルポストの延長線上にあるホワイトラインがアウト側の目印ですが、そこを目がけて浅く入れたら遅すぎる証拠。4脱するかしないかぐらいの勢いでアウト側を広く長く使いながら立ち上がりましょう。
・300R
300Rが一番難しいのは、ラップタイムが1分50秒ぐらいの車両。
1周2分ほどの車なら全開で行けますし、実は1分40秒ぐらいで走れるような車でも、ダウンフォースのおかげでアクセルを緩める必要がありません(速くて怖いですが)。
難しい車両で大切になることは、他のコーナー同様、コーナーとコーナーを接着する、間の部分の走らせ方です。
それを意識せずに、キツくなってからアクセルを抜いてしまうと…あとは神様にお祈りするしかありません。
・ダンロップシケイン
ダンロップシケインはコース左端からアプローチするわけですが、ローパワー車で左側に余裕があるのに、ブレーキング時にわざわざ左端に寄せるのはタイムロス。
コースのやや内側から、車両はまっすぐブレーキングしているのですが、コースに対してはやや斜め…というブレーキングが正解で、ハンドルを切り始めるときに左端にいればいいんです。
とはいえ、シケインで重要なのは2つ目を速く走ること。1つ目の立ち上がりでコース中央を切り替えして、86クラスなら2つ目を全開で行くことが目標です。
アクセルオフしないといけないときは、そのオフを向きを変えるための動きとして使って、ロスを最小限にしましょう。
そして、出口ではコース右側の緑色ゾーンに確実にタイヤを乗せるぐらいの勢いで立ち上がります。
次回の映像更新は4/8(土)を予定。どうぞお楽しみに!