『SRO GWCA Japan Cupへ参戦の想い』を書いてから半月以上が経ちました。
準備に忙殺され、レースWEEKを過ごし、月曜日となりましたので振り返りたいと思います。
週末を通して上手く行った事とうまく行かなかった事が沢山ありました。
まずは、ある程度予想はしていたけど『絶対的なスピードが足りない』という点と予想外のクラッチ系トラブルが2度発生した事でした。
今年使用するFirst Garage / McLaren 720S GT3は2019年モデルで2021年のS耐、昨年のGWCA戦でも使用してきた個体。
エンジンや駆動系など、メーカーから指定されているマイレージ管理に基づき、しっかりとメンテをしてきて貰っているので、当然レーシングカーなのでトラブルフリーとはいかないまでも、大きな問題なくここまで戦って来れました。
今年はMcLarenも他メーカーのGT3車両の競争力アップに伴い、遂にEVO KITなるものをリリースしたのですが、我々は残念ながら予算不足でそれを導入する事が出来ずシーズンインを迎えました。
全体の戦闘力アップも想定し今年のSROが定めるBOP(性能調整)は全体的にどのメーカーも車重が重く(30~80kg)、我々はEVO KIT装着を想定したBOPのもと、昨年より更に50kg以上重たい設定で走行を強いられることになりました。
木曜日の走り出しはとても重要でしたが、そこで発生したのがクラッチトラブルで大事なドライでの走行でのマイレージ確保が出来なかったのが痛かった。
それでもチームはしっかりクラッチ修復をし、金曜日のドライでの走行は問題なく実施できたのは救いで、それでもトップが新品タイヤで1分39秒台で走行するなか、我々は40秒中盤なので1秒~1.5秒は後れを取っていると感じていました。
BOPの差 + 昨年より重い に対してのセットアップでのカバーの策を講じる時間が無かったのは大きかったですが、片山選手のレースWEEK環境でのマイレージ確保もそれと同等かそれ以上に大切(そちらの向上によるタイムアップ率のほうが高いから)なので、そちらは金曜日に最低限出来たのはレース結果を振り返る上で大きなポイントだったと思います。
土曜日の予選、
片山選手はトラフィックに悩まされましたが見事な走りでGT3車両での自己ベストタイムを更新し42秒7を記録、36台中29位でした。(ジェントルマンの予選1のトップが40秒1ですから目標のトップアマから2秒5以内はほぼ達成)
澤の予選も、クルマのバランスは客観的に考えられる範囲で良好で序盤は10番手以内に位置していた模様ですが、結果はトップ38秒8から1.5秒以上離されての40秒4で36台中28番手、仮にタイヤの良い所をもっと使い切れて、自分の走りもより最高だったとしても自分の中で想定&目標にしていた40秒フラット、コンディション次第では39秒台に、、、という次元は見えず、42秒1とか2が精いっぱいだったと思う。
36台のGT3では昨年のGWCAより2倍のGT3車両が居ますから実はトップからのタイム差で言うと昨年も良くて1秒くらい、悪いと1.5秒くらいで20台弱のGT3の中で10-14番が定位置でしたから、台数が多くなったから見た目の順位は悪くなったように見えますが、トップからの差としては大きくは変わらず、今回の予選もうまくいっても40秒2だとすると、それでも36台中ですから25-26番程度。
そう考えると、自分が感じているバランスの良さがプラスしているけど、BOPとEVOでない部分がマイナスしていて、±ゼロなんだと思います。
本来ならEVOキットでしっかりデータがあってドライバーがきっちり走れば38秒8のトップに対して1秒以内(それでも今回は23番手以内になるかどうか?のハイレベルな予選)を目指さないといけない、すなわち自分たちには常に最低限0.3~0.5秒のビハインドがあるのだという感覚でした。
決勝はそれでも、色々な要素が絡み合うので、まずは自分たちで出来る項目をミスなくやってどこまで行けるか?が求められる戦い方でした。
予選後に開催されたJapan Cup開幕戦となる決勝は片山選手スタート、スタート後の混戦や冷えたタイヤからのペースアップなど経験値のまだ少ない片山選手にとっては簡単ではない経験でしたが手堅くポジションをほぼキープして走行、後半の澤は全体20番手以上まで上がれていたら新品タイヤで、そうでなければ中古タイヤと決めていたので、後者を選択しコースイン。
片山選手からバトンタッチされる直前から木曜日に発生していたクラッチトラブルと同様な症状が出ていたようで、私もコースインしてからその情報をチーム無線で聞いたのですが、ピットインで一旦クラッチが冷えたからか?症状は消えてアウトラップと計測1Lap目は走行、しかし2Lap目に症状が再発して予定外のピットイン、緊急措置を施してからレースをしている他チームの邪魔にならないタイミングで再コースインをしたのですが、やはりすぐに症状が出て残念ながらリタイヤを選択となりました。
チームは2度目のトラブルだったのできっとかなりプレッシャーと危機感を感じていたでしょうし、私も翌日の決勝はスタート担当なので、何とか無事にスタートして片山選手にバトンを渡せないと、、、というプレッシャーが正直ありました。
悪い話ばかりに思えますが、日曜日の決勝2は良いことが一転して多かった1日となりました。
結果から先に書くと36台のGT3の中で28位スタートで17位でゴール(プロアマクラスとしては28台中で14位)でした。
土曜日の自分が僅かながらに決勝で走ったバランスではトップが39-40秒で走行(新品タイヤであろうと想定)の中、自分も中古タイヤでも41秒前半で走れているので予選よりはタイム差がないだろうと想定していて、日曜日は土曜日よりも更に気温が下がり、我々は新品タイヤが2セット残っていたので(残していたのではなく土曜日のレース内容的に残ってしまっている、というのが正しい表現 笑)、燃料搭載量の多い前半の澤もポジション的にクリアで自分のペースで走り辛いだろうけどうまくいけば40秒台中盤は出るだろうし、片山選手も自身の予選タイムに近い感じで走れるのでは?と期待をしていました。
トップは39秒中盤~40秒台でやっぱり路面が更によくなり、気温が下がった事で決勝のタイムレベルは更に向上していて、自分はスタートも上手く行って1Lap目には28位から23位へ、色々と危ないシーンをかいくぐって、ストレートが速いポルシェを抜きあぐんでいて自分の本来のペースではなかったけど、それでも41秒前半では走れていて前に出れればやっぱり40秒中盤は出る感触、中段のグループに離されないペースで走行していたし、SCランが2回あったので、トップから離されず21番手付近を走行出来たのは展開的にも幸運、2回目のSC解除後のピットタイミングは難しい判断でしたが悪い展開には持ち込まずに済んで、ピットインの時点で18番手、ピットでのDr交代も沢山練習をこの週末にしてきたけど、一番うまく行ったと思えるほどスムーズで90秒のピット指定タイムにほぼ近いタイムで最低限のロスで片山選手をコースに送り出せた。
その後、アウトラップではトップ集団がまだプロDrがピットクローズ時間ギリギリまでコース上に残る作戦のチームが多いので片山選手は怖い思いをしたでしょうが、無難にそして練習中からアプトラップの練習を意識してやってくれていたのも功を奏して私のRACE1のアウトラップと比較してもアニマルプロDrがガンガン抜いていく中でも4秒くらいの差でしかなく、その後のペースも格上のジェントルマンDrに責め立てられながらも接触もなく自分の出来る範囲での良いペースでの走行を続けてくれた。
私もヘルメットを脱いだ直後からチーム無線を装着してスポッターをしたり、SCラン中に集中力が落ちないように声掛けをしていたので、自分は60分間レースをしていた感覚(笑)でした。
後半もSCランが2度あって、そのうちの1回はストレートでの事故だったので、ピットロードを通過するという指示があって、私の片山選手への激励無線が激しすぎてピット通過SCの事をいいタイミングで伝えられず、他の多くの車両も同様にピットインせずにストレートを通過してしまって、あとで審議対象が多発して正式結果がなかなか出ないという事態に発展するのですが(これは私のミス)、コース上での順位はしっかり片山選手が戦いきって、上位をいつも走る実績あるチームも近くに居たり、、、1台私が前半パートで抜きあぐんでいたポルシェをジェントルマン対決のほうでは1台パスしてくれたのも素晴らしかった。
結果的にはピットインをした時の順位のまま全体18位(プロアマ14位)でチェッカーを受ける事になりました。
その後、暫定結果が出て、皆さんもご存じの通り、接触や審議対象となる走行が数多くあり、正式結果が出たのは夜の9時過ぎでした。
もし片山選手に代わってからの2回目のSCランの際に他車に惑わされずに、しっかり無線で競技団から伝えられていたメッセージである”SCランピット通過”を適切なタイミングで伝えられたら、一網打尽にペナルティを受けてしまった一陣には属せず、でも実際のゴールはもっと後方でしたでしょうが、正式には13位でゴールした888号車が優勝し、我々の1台後方19位でゴールした8号車が2位だった訳ですから、他車のペナルティなども考慮すると全体6位、クラス5位の可能性もあったかも?と思うと”痛恨”とも言え、一晩明けて苦虫をかみつぶしている今日です。
その点を除けば、日曜日のRace2はほぼ作り上げたチーム、車両の戦闘力、ドライバーの経験値など考慮すればほぼ100点満点の内容。
台数が増えて争いが激化した事はこの2日間のレースを考えると、どちらかと言うとジェントルマンが走る時間帯より、プロ同士が走る時間帯のほうに影響が大きいのかもしれません、だからプロとジェントルマンが混在する60分間のうちの25-35分間も実は”魔の10分間”になっていて、土日のレースのアクシデントなどを帰宅してからTV放送などの録画で観ていると、このレースの戦い方は改めて分かるなーと考えていて、我々はSCランの際のミス以外、そこをうまくマネージメントしていたからこその結果だったと思います。
これは2019のブランパン、そして昨年2021のGWCAの中で得られたチームとしての経験値、そしてワンスマに通って3年でサーキット走行のイロハを得、色々な失敗も経験したけど、それをここ1年くらいで急速に走りに活かされ賢実&想定するラップを刻むようになった片山選手の部分が大きいし、ここから仮に1年シリーズを戦う中で得られるはずのスピードの部分ではアベレージで+1secでジェントルマンの中でも”もうすぐトップジェントルマン”のゾーンに入れるし、レース独特の状況のなかでうまく走らせる経験値も加われば、レース結果も自ずとここからは伸びシロしかない。
いまはまだまだ1/3づづに分けると『うまくいけば2/3以内』状態(今回はプロアマの中では真ん中)だけど、スピードで2/3以内に居れば、レースマネージメントで決勝は1/3以内(総合でTop12、プロアマクラスで10位以内)が見えてくる、、、そこに向けどうしていくのか?がレースの見どころの1つでもあるはずだし、ワンスマを主宰しレースを戦いたい方々に機会を設け、それをまた目標にしたり、自分の支えとしてくれる方がいれば、結果をだすだけではないモータースポーツ活動のワンスマだからこその意義にもなると、、、
それが今年の戦い方であり、私が設定したコンセプトでもあるので、今回のrace 2の様に、苦しい時を何とか切り抜け、この先に見えるはずの光明を信じ進めていかないと、と考えています。
今回の結果、全然嬉しいわけじゃないけど、無事無傷で鈴鹿に迎えられ、片山選手も今後にも繫がる戦いが出来た2023年のFSWラウンドは私にとっても忘れられないWEEKとなりました。
現地観戦にお越しの皆さんも、mediaを通じて応援してくれた皆さんも、本当にありがとうございました。
まだまだこれから、次の鈴鹿は『澤の生きざまを魅せる』レースになるはずなので、準備を進めたいと思います。