
これは先日の菅生
カレラカップの練習で使用した
ミシュランのカップカー専用タイヤです。
タイヤの表面を見ると
クルマの状況が手に取るように判ります。
よく見てみると・・・
タイヤの外側が
ササクレ立っているっ!!
原因はいくつか考えられます。
①ロール量が大きすぎてコーナーリング中に接地面が外側に偏っている。
②タイヤの空気圧が低くてコーナーリング中に変形をしすぎている。
③キャンバーが足りなくてコーナーリング中に接地面が外側に偏っている。
大きく分けてこの3つでしょうか?
ではどうやって対策をするか・・・?
■まずはスタビをHARD方向に振ってみてタイヤ温度分布と共に
再度表面の解け具合を見てみます。
→通常タイヤのメーカーや種類にもよりますが
トレッド面の内側 真中 外側のコンパウンド面の温度を測ると
約10~15度、多くても20度弱の温度差が内側と外側であります。
コレ以下だとキャンバー不足でこれ以上だとキャンバーの付けすぎを
疑いましょう。
スタビをハードにするとキャンバーをつけてタイヤの外側の接地をより抑える
=寝かすのと一緒の効果
逆にソフトにすると逆の効果と言えます。
スタビとキャンバーは密接な関係ですが
ハードにすると、外側タイヤへのコーナーリング中の攻撃度が増して
タイヤのキャパシティーを超え、アンダーを誘発する恐れがあります。
一見、ロール量は抑えられ接地面のより内側を使えそうですが、
それよりもタイヤのグリップの限界以上の仕事をさせようと
スタビが突っ張るばかりに表面の削れが進行する場合もあります。
だからソフトにしてロールはするけど、内側のタイヤも仕事をさせた方が
タイヤのグリップの和が大きい=アンダーを消すという場合もある。
■次にスタビは戻してキャンバーを付けてみましょう。
キャンバーは使用するタイヤやサーキット、ドライバーによって
まちまちですが、なるべく付けないで走れたほうが
タイヤのライフも良いし、ブレーキも止まれる方向になります。
結局、どちらでも外側の減りは改善しなかったのですが
硬すぎてアンダーが出たので
スタビは上限が自ずと出てきて、それに合わせたキャンバーを探る事に
集中する方が良いであろうという判断になります。
■エア圧の設定が低いのでは?
これはタイヤが変形している事を疑いましょう~。
但~~しっ!!
むやみやたらとエア圧だけを上げても跳ねたり
接地面を減らす事になります。
何事も
バランスが大事です。
エア圧が高めの時はスプリングレートを高くした事と一緒ですから
ショックやスタビは柔らかい方向でバランスを取る必要がありますし
クルマ全体での剛性レベルはある程度コースによって決まっているんですね。
カップカーの場合はショックの減衰やスプリングレートを変更できませんから
車高調整で重心とロールセンターの距離を近づけたり離したりして
柔らかさや硬さを調整するという事も考えつつ
キャンバーを寝かせると粘りを出す為にタイヤのエア圧も下げる方向に
成り易いので、今回は逆方向ですね。
こういった事がコースの特性やドライバーの運転スタイルで
様々なセットアップとなって現れます。
菅生の様に 比較的廻り込むようなコーナーが少なくて
ピッチングコントロールでスーッと向きを変えるコーナーが多いと
こういうスタイルに成り易い・・・というデータの方向性が
大事なのです。
ヨーロッパのドライバーとエンジニアの関係は
ドライバーもエンジニア要素が日本以上に求められるようで
どうして、こういう症状が起きていて
こうして治すのがベターだからここをこの位変えてみよう~という
所までドライバーが指示を出しているパターンが多いように見えます。
逆にエンジニアもドライビングには
かなり精通していないと行けないのでしょう。
タイヤはクルマがどういう動きをしているのか?
ドライバーがどんな運転をしているのか?
全てを物語ってくれます。
だから単に”硬く低く”はダメよっ!!って言ったでしょ??
Posted at 2008/07/10 02:26:06 | |
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