澤　圭太のブログ一覧

頑張ってタイムを出す時は必要だけど・・・
それは裏付けされたものに基づいて”タイムを創る”という延長線上にあるべきもの。

頑張った先のタイムが何秒か？ばかりに気が取られがちなアマチュアDrの皆さんこそ、是非意識して欲しいのがこの点です。

昨日のアジアンルマンの公式練習で私はフル満タン + 新品タイヤの決勝シミュレーションを実施しました。

チームメイトのRobさんが少ない燃料で新品タイヤ（予選シミュ）を実施して34秒3。
私は37秒台からスタートして35秒台で序盤はラップ、Bestは35秒3でした。
だいたい想定通り・・・

でタイヤが落ち着いて（車内の空気圧モニターでチェック）、ペースも安定期に入るとここからが”Drivingの引き出し”創造タイム。

1コーナーはこう走ると入口でセクタータイム（ダッシュボードにリアルタイムで表記）がゲイン
でも出口のストレートから3コーナーヘアピンまではこの位ロストするな。
自分の感覚よりも敢えて抑えて走った方が結果良さそうだな、縁石一杯使うのとそうでないのと、ちょっとオーバーランしてしまった時ではこの位違うな・・・と積み重ねていく。

3コーナーヘアピンは入口のブレーキングをタイトなラインで侵入して距離を稼ぐのとワイド目で出口を鋭くするのと、旋回速度を重視するのとで4コーナーまでのセクタータイムを比較

4コーナーは高速コーナーなので奥まで我慢して飛び込む系と侵入抑えて旋回速度高く車の姿勢をフラットにしたほうがダウンフォースが増えて結果速いか？を比較。

テクニカルセクションはアクセルOFFのタイミングやスピードによってアンダーの出方が変わるか等比較、後半の全開で抜ける大きなS字区間はワイド目で速度高いとステア量増えて抵抗になって意外とタイムに繋がらないとか、縁石に長く乗っていると抵抗になって最終までの伸びでロストするとか蓄積。

これらでタイヤに負担を掛けずにタイムを落とさないで走る方法や各コーナーの走らせ方の最適化を図ります。

20LAP経過位でエンジンマップを変更して燃費やパワーがどうタイムに影響するか確認。
（全てエンジニアとラジオで交信しながら状況を伝えながら）
ベストの走りでマップを変えるとこの位変わるっていうのを把握。
ベストが34秒8で35秒台中盤をキープしてましたが、燃費セーブモードで36秒台で走行の指示がきました。

この際、アクセルからブレーキへの際の空走距離を増やす
（そうするとブレーキの踏み始めの方法も若干変わる）
ブレーキの強度や侵入時の残し具合いを調整する
旋回スピードとのバランスでアクセルONのタイミングを遅らせたり、シフトアップの回転を低めにする等でも調整する

これで36秒前半を綺麗に並べる為に　3コーナー出た時に+0.3秒位、テクニカルセクター前半を抜けた時に +0.8秒位、最終コーナー手前で+0.9～+1.1秒にしておけばあとは最終の走らせ方で調整して36秒1-4が出る・・・というリズム作りをします。

残り10Lを切って再プッシュの指示、今まで積み重ねを総合して走ると・・・
タイヤが40LAP近くても燃料が軽いのと路面も気温が少し下がってラバーが乗ってきて良くなったのも加味されPIT-IN前の最後のラップに34秒6を記録。
ガス欠症状の出方まで最後チェック出来てPIT-INという約70分の連続走行でした。

こうしてプロDrも常に『何をどの位どうすればこうなる』と言うのを積み重ねて走っている。
だからプランを立てて、実施して、その結果や効果に基づいて次のプランを構築するというサイクルが大切なんですよ！

その為には走行しながら”考えて調整して感じて”が出来る状態で常に走れるかどうか？

タイムは出た、でも振り返った時にその時何を考えていたか？どんな操作をしていたか？その結果車に何が起きていたか？を思い出せないと、それは忘年会のビンゴ大会で一等賞が当たったのと同じくらい運が良かっただけで終わってしまいます（笑）

で、この環境でこのセットをベースに予選用にアジャストすれば33秒6ベースの更に0.2-3秒では走れるだろうから悪くないね！　という風にレースWEEKは一切の無駄な事は省いて進んでいきます。

皆さんもスポーツ走行や走行会で1個1個のコーナーをもっと意識を高めて走れば、安全性もスキルアップももっと効果的に出来るのではないでしょうか？

・・・と言うお話でした。