
『ロードスターND 1.5オープンクラスに出場して勝ちました!!』って書いたら”当たり前だろ!!”で終わってしまいますよね。
ワンスマを請いにして下さるNDレースエントラントの方に打診を頂き、機会を設けて貰っての今回のスポット参戦。
車両提供はDO.ENGINEERINGさん
車両メンテはJOYFASTさん
そしてFORZA!! Smiler 2020のメンバー様や支援者様に現地観戦をして頂きの1日でした。
プロDrがアマの戦うローカルレースに乗り込んで、、、みたいに思われるかもしれませんがモータースポーツはプロとアマの境目は曖昧、私は支援頂いている皆さんに”澤はレースをしようとしている”という姿勢を感じて頂く為に、そしてプロはどんなポイントを踏まえてFSWチャンピオン戦に臨んだか?ここに皆さんに提供できる色々なヒントがあると思ったから、今回は簡単にその部分を解説していきたいと思います。
まず車両自体は過去に2度乗った事があるのですがタイヤはA052だったのが今回はDL Z3タイヤ、過去に乗った時は2分9秒台だったのでZ3ならほぼ同じ季節だからギリギリ10秒切るかな~?って予想でした。
1回目の練習走行、クリア取って3Lapしたらサラっと9秒4が出たのは良いんだけど、どうも出たタイムの割にバランス、フィーリングが悪い。
このフィーリングって凄く大事で、逆にフィーリング良いのにタイムが出ないっていうのも問題(笑)
簡単に言うとオーバーステアなんですね。
直した方がいいオーバーと、そこはドライバーが走らせ方で修正してオーバーでない様に走らせる必要がある部分と、そのオーバーを直したらいい所無くなっちゃうオーバーって言うのがあって、それらをしっかり整理してコントロールする必要がある。
ロードスターが喜ぶ走らせ方っていう線路を踏み外さない範囲で、空気圧の前後バランスを変えると『あ~フロントは〇kph以下になると▲になるな、リアは▽kph以上になると■になるな』というのが大体わかる、減衰はフロントを上げるのか?リアをさげるのか?(これは車高でも同じ事)を探るし、ロードスターの場合はリアのトーも凄く大事なんだけど、デフとか脚とかの最後の味付けなので、全体的にドライビングスタイルや求めて居る部分に応じて、結構ドライバーによっても、メンテしているショップによっても変わるんですよね。
でも実は大前提であるべきタイヤが結構古いって事が判明し、これは交換しよう、でも新しいブロックが高いタイヤはこれはこれで問題、という事でちょうどいい感じの中古タイヤ(ゴムが劣化してないフレッシュさと、ブロックが綺麗に減ってブロック剛性が高い、という凄く狭いニーズのタイヤを確保 笑)を獲得しました。
いきなり、もう予選だから練習走行の時も予選想定の気温でのタイムから予想タイムはベースの9秒4からタイヤの分で8秒4、ドライバーの最後のひと絞りであとコンマ3秒、あとはタイヤ交換に関連しホイルが変わってしまったのでばね下の重さの変化やオフセット変更により前後バランスに変化なども経験で予測してセットアップは変更していい方向に行く確信が持てるもの2-3個まで、それ以外のものは自分の走らせ方で微調整してやる!の意気込み。
セットアップの差異を勘案して、良いタイヤを履くとバランスが少し■になる分、空気圧バランスで微調整を図って**な操縦性になると推測しつつ8秒前半を目標、そのタイヤを履いていたクルマのセットアップを考慮するとタイヤのトレッド面を見た判断で前後を入替しようという事になり、キャンバー角によってタイヤの熱の入り方の前後のバランスも変わると推測し、前後のバランスが予想通りなるとしても3Lap目以降で、それまではまだ少しオーバー傾向である事も推測、そんな絶対目標と推移目標を両方設定して予選に挑むことに。
7クラスで総30台で戦うロードスターカップは予選20分のクリアの取り方が重要で、ピットロード出るタイミング、コースインしてからのペースアップの仕方、計測1Lap目、2Lap目のタイムの出方で3Lap目で勝負を掛けるかなどの判断、実際にはここでその日のベスト8秒6(想定していたタイムよりは全体的にも遅かったんだけど)を出して、計測ラップは全てクリアだったし、2.0リッターNDオープンクラスの7秒台に続いて総合2位(1.5リッターNDオープンの中では当然PP獲得)、これでレースはフロントローからスタートなので少し安心と思いきや、実はブレーキパッドの残量が決勝8Lapだと微妙に足りないかも?という話になり、急遽決勝前に新品パッドを入れる事になったのです。
この時点で決勝で焼を入れながら、なんて大変すぎる!と思いましたが(笑)
グリッドへの試走、グリッド上でいいスタートをする為にやるべき事の実行、フォーメーションラップもタイヤというよりはブレーキの焼入れをメインにするやり方、スタートは2013年のPCCA以来の久々な感じだったけど、そこそこ悪くなくてポジションキープ、クラス違いでストレートが速い1.8リッタークラスの混戦に巻き込まれない様に1Lap目から位置取りを気を付け、ちょっと強引なオーバーテイクに関してはよく後方を確認しておいて、うまくクロスラインで漁夫の利を得られるようにもできた、プロなら当然のパーソナルスペースの取り方も少しだけアマチュアさん用にルーズにしてあげたり、あとはブレーキの焼が完了するのを待ちながら”だましだまし”走行だけなんだけど(笑)までは仕上げが出来ていた。
総合トップの2.0リッターは逃げる、後方もアマチュアDrにありがちな混戦になると皆でタイムを落としてより集団になってやりづらくなる、、、という”あるある”状態だったので、展開に助けられてブレーキの焼入れも最初の3Lap位で完了、いよいよペースを上げて総合トップを狙う姿勢を見せておこうと思いつつ、最後は後方も離れたのでブレーキの為にもペースをコントロールして決勝終了、、、という流れでした。
サーキットを走るロードスターを熟知しているJOYFASTさんだからこその前後バランス解析とそのバランス調整ノウハウは凄く勉強になったし、自分のタイヤが温まる感覚、良い所から外れだした時の察知、予選と決勝の中でのやるべき事に対しての感性と実行力のバランス、起こしてはいけない事象に対しての回避策も、レースの感覚(レース感)が衰えてなかったというのが確認できたのが収穫でした、そして決勝のマシンバランスは練習走行の時から一番のものだった、つまり練習からの流れとしてタイヤの選択、セットアップ、NDの走らせ方など、すべての要素をしっかり管理して結果として残すことが出来たという「全部自分の支配下でコントロールして最後が一番いい状態にする」感が満載だったのは良かった点でした。
その上で、更に良くするには”〇〇を▽▽にしたほうがいいだろう”という新たな領域の問題の洗い出しまで出来ていると思われます。
これは仕事でもイベントでも全部一緒で、出来るだけ材料を集めて、出来るだけ沢山想定をしておいて、でも想定と違った症状の時にも慌てずに走りながらでも出来る調整力も備えておく、、、
このレベルでクルマと自分のドライビングとの密集密接な関係を構築出来たら、必ず逆に自分のクルマに愛着が沸くし、愛車が応えてくれると思うんですけどね。。。
そんな事をしつつも、やっぱりレースってプレッシャーフリーだからだったかな?とっても楽しくて、やっぱりレースやりたい!早く出来る状況になれ!と思わせる1日であったとさ、、、というお話でした。
Posted at 2020/11/15 14:17:20 | |
トラックバック(0) | 日記