
さあ連休明け!
今日からも皆さん、”踏ん張りましょう!”
さて先週マレーシア/セパンサーキットで開催された
PCCA公式テストですが
2日間に渡ってセットアップの調整をして参りました。
日本のカレラカップも基本ルールや
使用するマシンスペックは同一ですから
色々とセットアップの参考になるかと、色々と連絡を下さる関係者もいらっしゃいます。
海外のサーキットと日本のサーキットでは若干特性が違ったり気温や湿度も違ったり
タイヤに入れる窒素の質やガソリンの質も違うので細かい部分は変わるでしょうが参考までに
方向性の話をしたいと思います。
2010年モデルと2011年モデルは基本構造一緒です。
4速と5速のギア比が違うだけでこれはアップグレード出来ます。
今年になって一番変わったのはタイヤ・・・サイズと構造とコンパウンドが変わっているとのこと
フロントが1インチ、リアが3イント幅広になっているので昨年以上にアンダー傾向が強い印象です。
コーナー入り口はまずノーズをしっかりCPに向けて入れる事が先決、
これが出来ないと中速、高速コーナーでは出口まで終始アンダーで
低速コーナー出口ではスナップオーバーになります。
セットアップの基本はまず入口→CP、そしてCP→出口の順で決めて行き、
入口はフロント、出口はリアで決めるのがセオリー、
そして低速コーナーでの動き→段々スピード域の高いコーナーの挙動を決めて行きます。
フロントに対してリアのトレッドが広くなった2010モデルに更にリアが幅広になった2011タイヤ
当然”アンダー傾向を消す”のが優先項目となります。どう消すのか?
リアの旋回性を上げてバランスをとるのか?フロントの旋回性を上げてバランスを取るのか?
スタビライザーでやるなら・・・フロントを柔らかくして旋回性を上げ、結果ロール量が増えるので
フロントのキャンバーは付け気味になるか?
(しかし”やりすぎる”とブレーキが止まらない車になってしまう・・・)
ロールして旋回し始めた時にリアが追従してくるように出口のトラクションが抜けないギリギリに
リアスタビは固めにして旋回性を確保する・・・
となるとリアのキャンバーはロール量が少ないので少なめ?
ロール量が少ない中でトラクションを稼ぐ=ショックストロークが欲しいのでリアの車高は
中高速域での限界が落ちないギリギリで高めが良いのか?
車高のハンデをウィングで少し中高速域では押さえてしまう事でバランスを取るのか?
抑えすぎるとまたアンダー傾向になる・・・(苦笑)
(ポルシェの場合はダウンフォースが出口のトラクションにも活かせます)
アンダー対策という事でリアに対してフロントの車高は下げて行きたいけど
ハードブレーキング派の私の場合はフロントもバンプストロークを確保する必要があるので
若干ドライビング側でも特に路面のミューが低いコースでは
アンダー対策用のブレーキングスタイルが必要かも?
(重心とロールセンターの変化によって”いい部分”があるので燃料量の増減もTRYしました)
スタビと車高とウィングでのアンダー対策は限界があるので、ここで効果を発揮するのは
前後のトーです。フロントはロールした先のアンダー対策はある程度上記でしてあるので
ステア初期の反応をフロントのトー調整で確保して、
リアは中高速のスタビリティとアンダー対策のバランスを考えながら微調整します。
トー調整はトップスピードのロスやタイヤ偏磨耗にも気を使いながら・・・色々とやる事が多い(苦笑)
で、タイヤは基本アンダー方向なのでトレッド面の攻撃性は高く、
ピークを過ぎてのグリップダウンは今までより大きい・・・
ロングランでは段々アンダー/オーバーが酷くなりますから
今まで以上に予選用と決勝用のセットアップをしっかり決め込む必要があるでしょうし
予選一発のピークも持って行き方も今まで以上にシビアです。
タイヤの構造的にも今までよりも温間(空気圧)は若干落として
ショルダー部分の撚れも使って走らせる傾向かも?
タイヤのサイズアップでコンマ5秒は今までより速くなる・・・とタイヤ屋さんは言ってましたが
今回のテストでは変わらないか?全体的にちょっとダウンしてました・・・
これがタイヤの影響なのか?もしそうだとしたら今後セットアップで改善できるのか?
たまたま今年のコースコンディションが悪かったのか?まだまだ判断は出来ませんね。
ポルシェはRRですから元々バランスよりもトラクション!と割り切っている車。
で、しかもレーシングカーですからダルな部分とシビアな部分が高い次元で共存している・・・
綺麗に乗ろうとすると低い次元で収まってしまうのでドライビングスタイルのコントロールも難しい・・・
だから、〔ポルシェ + スリップアングルに対しての許容量が高いミシュラン〕の組合せは
”成るべくして成った”と思う今日この頃でした。
結局何処まで行っても
”車の特性を理解してセットアップとドライビングの融合でピークを高める”という事ですね!
ショックスピードが2WAYでも良いので変えられるなら、もっと色々な対策が出来るのに・・・(苦笑)
しかし大事なのはセットアップ数値をコピーすることでなく、個々の環境とドライビング方向性の中で
何をどの位やるとアンダーからオーバーに変わるのか?そのアンダーは消すべきアンダーなのか?
そのオーバーは悪影響が無いオーバーなのか?ドライビングで調整できるものなのか?等を
メカニカル側とドライビング側から双方向で試行錯誤してアジャストすることです。
既に頭はMOTECロガーと睨めっこしながら
4月中旬のF1サポート中国上海ラウンドのシュミレーションの澤圭太でした。
ちょっと難しい話なのでスルーして頂いて結構です(笑)