
8月の猛暑の中、GWCA / Japan Cupの最終ラウンド岡山国際戦がありました。
今日は鈴鹿で488GT3にお乗りの豊田選手が初鈴鹿走行を実施!
今日のブログのテーマは『リアル走行とシムトレーニングの融合』について、です。
私は今季ABSSA Motorsportのチーム代表/監督に徹する予定だったので、色々と事情があって最終戦にGTCクラスで今野選手と組ませて頂いて991CupカーでPro-Amで参戦する事は7月のSUZUKAラウンドを終えてから急遽決まりました。
今野さんは岡山国際初ですがしっかりシムと初コースの攻略を済ませ、1度だけ同行して出来具合を確認させてもらって、あとは実走行で金曜日から走れば大丈夫だな~という所まで来ている事を確認もしました。
レースWeekは金曜日に1時間が2本とブロンズDrだけが走れるブロンズセッション30分の合計2時間半のみで土曜日からの予選を迎えます。
澤の走りだしでスタート。
セット確認(991.2Cupにピレリタイヤの組み合わせは初)から、ブレーキの焼き入れしながらでサクッと32秒台が出たので想定より悪くない、、、
細かいバランス取ればこの基本セットベースで大丈夫、と判断して今野選手の走行開始、残り45分程度を途中1回休憩&井上監督によるデータチェックをして、走り出し37-38秒台はシムでの事前トレとの整合性確認程度に留め、タイヤが少しきつくなってもデータによる改善ポイントをしっかり反映し最後に37秒前半を出して終了。
午後もセット変更によるバランスの変わり具合を確認するべく澤からスタートしてすぐ交代、本人の好み方向でないことと、タイヤが更にタレ、気温と路温も厳しくタイム自体は伸び悩んでいる様に見えるが車側も今野選手の仕上がり具合も悪くない様に見えました。
ブロンズセッションは赤旗によって新品タイヤの予選シムがしきれず、不完全燃焼でしたがセットアップの着地点、そして今野選手の走りの特性(これは普段のドラサポでも見え隠れしていた部分が今回もしっかり出ていた)、60分の決勝でDr交代やピットin/outが絡むので、普段の練習走行ではなかなか意識しない部分も2セッション目のタイヤがタレて実戦練習にはなり辛い時間帯は重きを置いて実施。
やはり初めてのサーキットは一晩考えて体もリフレッシュ、タイヤが新品に替わって軽タンクになる翌土曜日の予選で、更に伸びシロが出来るもの、それ自体ジェントルマンDrにとっては簡単な事ではないけど、今野選手はしっかり走り側も最適化した予選の走りを披露しこの週末の自己ベストとなる34秒3を記録しGTC Pro-Amクラスで見事クラスPPを獲得。
私もその後続く予選で31秒6(金曜日のタイムを1秒更新)で日曜日のレースのスタートもGTC Pro-AmクラスPP獲得(全体17台中9位)でした。
GT3がプロDrで27-30秒、Am Drで29~33秒
GT4はプロDrで35~37秒、Am Drで36~38秒
GTCは綺麗にその間に入ってPro Drなら31秒、Am Drなら32-34秒です。
決勝1の今野選手のスタートから前半も想定した36-37秒台で走行し(この時点で金曜日の走り始めのペースからブラッシュアップされている)、途中痛恨のスピンがあって勝負権はなくなってしまったけど、これも経験で後半の私は良いタイヤを日曜日に取っておくことが大事だと思って今野選手のスタートからのタイヤをそのまま使って騙し騙しで走行33秒から34秒台アベレージでゴール。
車のバランスはタイヤ的に厳しい事を考えると悪くないよね!って印象でした。
こうして2日間走ると既にシムでのコース初期慣熟の効果、実際走ってみると起きる事、コースの攻略面の課題、いつもの自分の操作の癖の課題、レースならではの実戦の中での改善点など明確になってくるもの、結果としてGTCクラス全体で2位だったけどライバルとの差も明確になるし、一応Pro-Amクラスでは優勝しているから表彰台にも上がれて結果も見栄えが良い、、、(笑)
あとは、内容ですよね!!って状態で一曜日の決勝を迎えられるのでした。
決勝2は今野さんが予選で使ったタイヤを澤がスタートで使用、今野さんは私が予選で使った少ない周回数でタイム出した程度の良いタイヤ + 後半だから燃料もハーフタンクで楽な状態で、ちゃんと今回の集大成の走りが出来る環境をお膳立て。
私はスタート無難、気温が高く昼に一発雨が降ったので路面のµが高くない分、内圧が上がるだろうと予想し凄く低い冷間でスタートしたために序盤の3Lapはタイヤを壊さない様に後続のライバルの出方を確認しながら34秒台で走行、右タイヤが温まり辛いから特に2コーナーや1ヘア後の下り90度と次の左、Wヘアピンの1個目でタイヤがしっかり熱が入って来ている事も確認してから少しプッシュして33秒6~9で4Lap連続走行しライバルとの差を5秒以上に(これが走行プランの第一ステージ)、GT3のスピン車両回避で一回34秒0、ちょっとブレーキがきつくなって来て他のGT3車両のスピン車両回避もあって35秒0が1回、その辺からリアが少しきつくてオーバー傾向になってきたので一旦タイヤを落ち着かせるために35秒台(GT4車両の周回遅れの追越もあり)
もうピットオープンになってどこまで引っ張るか?問題になっている時にタイヤを使い切る為に最後のプッシュで34秒6~7で2Lap、この時点でライバルと11秒の差を作れました。
GT3車両のペースが上げられない車両に引っ掛かりそうだったので予定より1Lap早めにPit-inして今野選手と交代
自分のスティントはほぼ全てのラップ(スタートLapからPit-inまでで18Lap)を33秒6から34秒6の1秒間に揃えられ、土日のレース共にクラスのFastest Lapも記録できました。
ここでピット停止時間がエンジン再始動に手間取り、他のPitレーン入ってくる車両をリリース時に待つ必要も発生して10秒ロス、土曜日レースの結果から我々は5秒停止時間が短い分、同じピットクオリティとアウトラップをすれば15秒離れた所でマージンある分余裕がある今野選手の後半スティントを想定してましたが、アウトラップも計測1Lap目もピットアウトしてきたGT3車両のペースが悪く、追いつきそうだけど抜くには至らないという中途半端なペースに捕まりライバルが1Lap後にコースインしてきた時にはなんと逆転されていて3秒ビハインド!
でもそこから今野選手は頑張って追いついてオーバーテイクまでして自力でGTCクラストップに!
その後GT4のAm Drトップと今野選手のペースは37秒前後で同等、ストレートはこちらが速いからメインと裏のストレートでどうやって周回遅れを処理するか?が勝負、でもGT3に対しては周回遅れされるし、ライバルは追い越した後もすぐ背後にいるし、、、という今野選手にとっては凄く難しくもいい経験だし『ちゃんとレースが出来ている状況』になりました。
残念ながら前日の土曜日と同様にアウトウッドで少しINを外して路面の綺麗ではない所を走ってしまい、それでも裏ストレートでGT4を抜く為にいい感じでアクセルONしてしまった結果によるスピン!今回は後続のライバルも避け切れずに接触しお互い車にためーじを追ってしまう展開に、、、
こちらはそこで車両ストップしたけど規定集会は越えていたのでゴール認定され前日同様にGTC全体2位、Pro-Amとしてはクラス優勝、ライバルも見事なレースWeekでAm-Amクラス優勝でした。
自チームだけでなく、今回はライバルチームも相手が出来た事でレベルアップしていた(させてしまっていた、という事でもある 苦笑)のがこのGTCクラスの立ち位置的に素晴らしい事だったと思います。
今野選手は悔しかっただろうけど、自分のミスだから仕方ないし、レースの難しさも体感、GTレースの難しさや魅力も確認、そして同条件でProと組んで走ることで自分の指針がより明確になったと思います。
Proに対して予選で3秒以内は達成したから、ここからは速さを磨いて2秒以内へ、そして決勝はタイヤも車のバランスも変化することに順応する、セットアップとフィーリングのバランスの最適化、レースならではの実戦で求められる事を意識した普段の練習課題作り、、、などなど、沢山の収穫があったでしょう。
やはり 基本的な操作を習得し磨く、とかレースならではの実戦は『リアル』での走行でしか得られないモノだし、コースの慣熟や走り方のマネージメントや調整力トレ、新しいもののトライなどの”センスを磨く”のは『シムトレ』を上手く活用できるのが今の時代。
うまく両方を活用して引っ張り上げられる自分のやり方を心得ている人が増えていると思います。
基礎が無くてシムだけやっていると基礎が無くセンスを磨くトレをしている状態で練習場もラウンドもしたことないのにスクリーンに向かって球を打っているゴルフシムと同じ、コースに行ってラウンドして色々なミスを実体験してるからこそのシムトレになるのと一緒だから、やっぱりサーキット走行も同軸の協調制御が必要だと最近常々思います。
本日の鈴鹿でのドラサポも僅かサーキット経験は2年未満でGT4レベルではレースも今年実戦を経験した豊田選手が488GT3で初鈴鹿を走行という難しいハードルでしたが、しっかり事前のシムで慣熟し、今日も幸運にもDRYで走れたから実際の走行はIn-Out含めて2時間の枠の中で20Lapに満たなかったし、最後良いタイヤでタイムアップを狙ったけど赤旗でタイム出せず、、、でした。
それでも走り出しから20秒を切って17-18秒台で走行、タイヤを変えて赤旗が出るまでで12-14秒台で走れる感じがデータから出ていたので既に攻略が難しい鈴鹿をFSWなら46-48秒くらいで走れている状態。
実際に鈴鹿を走ってみてのシムとの色々な差異を実体験した上で今度10月にまた鈴鹿来るまでFSWでの実走行とシムでのトレーニングを積み重ねれば鈴鹿も10秒切り(FSWでの45秒切りくらいのイメージ)もすぐそこ、そこまで鈴鹿で走れればFSWだって秋になったら42-43秒で走れる様になってGT3 Amドライバーとしての次のハードルを越えれるステージが近づいてますね!
久々のレース参戦や今日の鈴鹿トレを通じて色々と考えさせられる訳です。
皆さん頑張っているし、私も刺激を受けるし、プロDrとしていい指針や環境づくりをさらに進めないと!と思う今日この頃です。