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2017年11月17日 イイね!

米澤穂信の満願 夜警、死人宿、柘榴の感想

米澤穂信の満願 夜警、死人宿、柘榴の感想とりあえず、全六編のうち、前三つの感想。

夜警。
『夜警』から順に読んでいったわけだが、ヨネポの小説は古典部シリーズしか読んだことのない私が一言。「米澤穂信は堅苦しい文章も書けるんだなぁ」そう思った。
でもわりと読みやすいから3ページも捲れば世界観に浸れる。
流石に初見で冒頭からその話に浸れと言っても無理だ。

交番長の柳岡と、新人の川藤が主軸になった話。

『夜警』は警察官の会話のやりとり、例えば「本部から緑1どうぞ」、「本部了解。こちら緑1、本部どうぞ」、「緑1了解。女性から~云々」といったやりとりが警察官のそれで(と言っても実際はどうだか知らないが)、少なくとも今までの人生でちょこちょことドラマやその他の警察物を見ててもそんな風に「どうぞ&了解」を挟んで会話のやり取りをしているのは見たことがなかった。好き好んで警察物を見るわけじゃないけど。ドラマなどでは省いてるだけですゥって言われればそれまでか。

拳銃と銃弾の扱いの描写なんかも力が入っている。
「へー、警察官は普段こんなことしてるんだ」とつい思ってしまう。
こうしてみると、ヨネポはしっかり取材をしたのかなァ、なんて思うわけ。
交番勤務している警察官に読んでもらいたい。どこまで事実に則って描写されているのかなって。

でもこれ、ミステリっていうより途中までサスペンス小説だよね。
終わりの方になって唐突に「おや、あれはなんだろう、これはなんだろう」と謎が提示されていって、ズバっと解決するスタンス。冒頭から謎(または気になる展開)が提示されて読み解いていくタイプのお話ではないように思った。だって柳岡の印象の川藤だと、川藤の死の原因ってそこまで気が惹かれない。まあ、実際、直接の死因は問題じゃなかった。

情景描写は『夜警』以降『満願』までなかなかに上手で、頭の中に風景は浮かべやすかった。
(私が想像したら柳岡の所属する交番の風景が『こち亀の交番』になってたのは仕方ないか?w)

我が身可愛さの保身のために隠蔽工作に走る。
そんな川藤の癖を見抜いた柳岡の出した結論とは。

小説冒頭だし、これを「『満願』の中では普通レベルの面白さ」と捉えよう。
そう考えると『万灯』と『関守」は上々の面白さになったわけ。ってのが、この前のちょっとした感想。だからと言って『夜警』がつまらないかというとそんなことはなく。
柳岡の人生はこの小説でつらい終わり方をするけど、読後感はまだいい方だ。
ふたつあとの『柘榴』に比べれば。



死人宿。
『夜警』の次はこの『死人宿』。タイトルからして物騒だが、このミステリは、突如行方をくらませた彼女を追って、主人公が宿で仲居をする元カノの佐和子に依頼され、我が身可愛さに犯人捜しをするお話。

一度読み終えてから再読すると、一章で道のりに苦労して道を尋ねたのに適当な(決して親身ではない)案内で「あと一時間で行けるよ」と関係のないおじさんにあっさり突き放されてしまうのは、かつて主人公が佐和子に対して言った(佐和子が感じた)ニュアンスが含まれてるのがわかって面白い。

「死人宿」は複数の人物たちの中から犯人捜しをしている最中、さらっとひっかけをして読者に気付かせないような情景を最後のネタに繋げている。
最後のネタが展開されたあと「ええ!? そんなのあったか?」と思って読み返すと、確かに、描写があった。地味だ……。
しかし、こう言ったらヨネポは傷つくかもしれないけど、ミステリ成分より主人公は元カノとヨリを戻せるのかってことの方が気になったり。どちらともいえない、いや、むしろこれはヨリを戻せるんじゃないかって感じで物語は終わるけど、あの最後の展開じゃあ、ダメだろうね。……それにこれ、ヨネポワールドだし。上手くいきそうと見せかけといて、からのー、やっぱダメでしたー。みたいな。

そうして小説として書かれていることだけを読み取ればそんな程度で終わってしまうけど、度々出てくる花の花言葉を調べてみると、これがまた面白い。
例えば主人公が佐和子に通された部屋は『竜胆』の間。竜胆の花言葉は「悲しんでいるあなたを愛する」であり、竜胆の間に飾られていた花は『夾竹桃』。造花ではなく、生け花であるところがいいね。
夾竹桃の花言葉は「用心、危険、油断しない」だという。これらを組み合わせると「私を気遣ってわざわざここ(死人宿)まで来てくれたことは有難いけれど、私、まだ気を許したわけではないのよ」ということを暗に示しているのではないだろうか。

そしてこの話、読んでいてこう思った。イザナギとイザナミの話っぽいなと。
イザナギが死んだイザナミに会いに行く話は有名だと思うけど、そんな感じ。主人公も死人宿のことを「この世のものとは思えない」だとか「山奥で、しかも死人が度々出るような場所で生き生きしてる佐和子が不気味」という印象を持っている。
これは小説で明記されてないので憶測になるけれど、佐和子は姿をくらました時点で「生きながらにして死んだ」のではないか。そして「死んだ人間が黄泉で生き生きするのは当然」ではないのか。「完全に死んでいない生者が黄泉を居心地悪く思って元気がないように見えるのは必然」ではないのか。この考えを発展させると、小説の終わりに死人宿の被害者になる人物が「死人宿で他の客より生き生きしていた感じで描写されている」のが、興味深く見えてこないだろうか?

ともかく自分に助けを求めてきた人に対して「もう少し頑張ってみないか、辛いかもしれないけどここが踏ん張りどころだよ」なんて言った覚えのある人にはグサッと来る小説かもしれない。
もう限界だと泣きついてきた人に「もう少し」を勧めたらどうなるか。そういう観点で見ると考えさせられるものはある。ただ『死人宿』はちょっと落ちのインパクトもそんな強くないからミステリ面では『夜警』よりかは面白さは劣るように思えた。


柘榴。
これ、「満願」の中で一番気味が悪い。前にも書いたけど、読後感が生温いおしるこ一気飲み。
手に入れたい男は周りを蹴落としてでも手に入れたさおりと、母親になってからのさおりは別キャラクターとして捉えられるくらいに別人だ。
さおりは母親になってからの方が(一般的な)人間味が出てくるし、まだわかる。自分が持ちえる才能を使って欲を満たすというのもわかる。
だから、さおりはそこまで不気味ではない。

次に、さおりの娘、姉の夕子と妹の月子。
夕子は幼少時代と大きくなってからはある意味別人格(そりゃそうか)なんだけど、幼少時に母さおりから躾半ばの八つ当たりを受けた後での「おいしかったです! お母さんのご飯、おいしかったです! また食べたいです!」そう泣き叫んだ夕子の気持ちはあまりにもつらい。子供は親に何されてもその親に縋ることでしか生きていけないだろうってことをわかってるものなんだよ、っていうのがありありと描かれている。ここは心が動かされるという意味で、すごく感動するシーンだ。
ただ夕子も成長してみると「蛙の子は蛙」といった様相で(笑)、若い時のさおりって感じになってしまう。それまでの生活環境からも、虐待されたわけでもなくただ家にいることが少なかっただけの父親を欲する気持ちはわからないでもないし、妹を傷つける犯行に及んだ理由も理解できる。「この犯行動機がわからないわー、気味悪いわー」って人も多いようで。父親を独占していた母親でさえも老いたら魅力が減衰したと考えてる辺りも、苦笑ものだ。自分の脅威になりそうなものは身近な者でも、我が身可愛さに前以て容赦なく排除するという気持ち。

月子の主観描写は特になし。でも月子にはそこまで嫌悪感は感じない。月子の話はまたあとで。

問題は夫であり父親の佐原成海。こいつだよ、こいつ。成海はまったく何考えてるかわからん。
家にいないときは何してるの? 何を考えて娘を引き取りたいって言うほどの愛情を持っているの?
わからん、わからん、訳わからん。
これは作為的に描写されてないからだね。
挙句の果てに娘の夕子が望んだのもあるけど、チョメチョメな関係に。父親像として無節操すぎる。
ねえ、本当に山奥に行ったの?「 誰も来ない山中で柘榴をふたりで貪り合った」っていうのは「普段自分がいる家に夕子を連れ込んだこと」の暗喩なんじゃないの?
どうなの!?(……失礼。興奮のあまりペルソナ5のどうなの!?を炸裂させてしまいました)
そんなわけで私は成海のせいでこの『柘榴』が気味が悪いものにしか見えないの。

さて、後回しにした月子だが、この子はなんとなく「お姉ちゃん大好き」オーラが出てるように思える。幼少時も、姉に気を遣わせたくない、そんな風に取れる描写があるし。だから姉に嫌われたくなくて傷を付けられることも厭わなかったように思える。本当に姉の身体に傷を付けたくなんかなかったんだろう。
一方、姉は平然と妹を傷付けるところに残酷性があるねー。成海がいずれ妹に手を出す可能性を見据えてしまった(独占できなくなるかもしれない)以上、妹にその気がなくても実行せずにはいられなかったのだろう。

さて、物語のその後を考えれば「お姉ちゃんを手に入れたくて、独占している父親を殺す。当然夕子は成海の死を悲しんで月子に言い寄るが、手違いから姉も殺してしまう。でもこれでお姉ちゃんはずっと私だけのもの」なんてヤンデレアフターストーリーを考えてしまった。ヤンデレが極まっていれば裸になる度に「これはお姉ちゃんが付けてくれた傷。お姉ちゃんは『ここ』に生きているよね、うふふ……」なんてのもありそう。……まあ、小説内では可哀想なキャラクターだね。

で、そんな気味悪い『柘榴』も柘榴に因んだ話を出している。
鬼子母神の話と、ギリシア神話のペルセポネーの話。
(金子一馬によるペルセポネーの絵は神話通り半死半生を想起させて素晴らしい)

私はこう思うわけ。『満願』を通して読んだ場合、『死人宿』に続き『柘榴』が掲載されている理由はここじゃないのかと。『死人宿』で一段階、神話(イザナギとイザナミの話)を匂わせて、次の『柘榴』ではっきりと例え話でも神話を出す。「突拍子もなく神話というふわふわしたものを出したわけじゃないのでわかってくださいね」 そんな心構えをしてほしかったんじゃないのかと。
で、この『柘榴』も神話としての一つの話なんだと捉えれば、成海と夕子、父娘の性的な関係も、夕子が月子を憎む気持ちも途端に理解できるんだ。ギリシア神話の名前が出てきた時点で、そう思っていいと思う。ギリシア神話、例えばゼウスだけに因んだ話を挙げても、こんなものじゃあ済まされない話ばっかり。成海の性格と行動が可愛く思えるくらいにゼウスは女好きで、女性からとにかくモテるのがゼウス。なれば成海はさおりの母親にも好印象を持たれていた辺り、小ゼウスって感じもする(笑)

話を考えるのが好きだというヨネポは悪戯心で、ミステリと言いつつ、神話になりそうな話を作りたかったんじゃないだろうか。他の短編と比べると地に足がついてない感じもするし。

少し気になった点は『満願』解説の項で「登場人物は四人」としてるけど、さおりの両親もいるってこと、忘れてないかな?(笑) さおりの父親も不憫だ。


残り三つ『万灯』、『関守』、『満願』の感想はまたの機会に。



内容とは関係ない追記:声優の鶴ひろみさんが亡くなったという。私らの世代だとアニメ・ドラゴンボールで「孫くん!」と悟空を呼ぶブルマの声が今でも脳裏に焼き付いている。身体の一部を失った感覚だ。合掌。



2018/8/31 追記。
ドラマ化されてから、頻繁にアクセスがあるので残り三つの感想へのリンクもしておきます。
読んでもいいし、読まなくてもいい。
Posted at 2017/11/17 17:31:12 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記 | 日記
2017年11月17日 イイね!

スタッドレスタイヤに交換したの! トヨタはユーザーに優しくするべしなの!

スタッドレスタイヤに交換したの! トヨタはユーザーに優しくするべしなの!このところ、お寒ぅございますの。

最近北陸地方は天気も悪い感じだし、仮に筋肉痛になってもグータラできる今のうちにやってしまえ~ってことで、交換し終えた。重かった……。

FRだから前輪浮かせたら回るってことすっかり忘れてて、おっとそうだった、となったけど、今回は指を挟むなんてアホなこともせずやり遂げた。

問題は空気圧のセンサーの入れ替えなんだ。
ステアリングの下部の方に手を伸ばして、エンジンかけて、スイッチ3回(PCSのスイッチと最初間違えてたw)、カチカチカチ。
空気圧異常を示す警告灯表示が点灯、点滅する。しばらくすると消灯。

……。

おや? 警告灯が消えても空気圧の数値が表示されないぞよ。
おかしいな。もう一回。カチカチカチ。点灯、点滅。消灯。……出てこない。これはメインの方だから出てこないのは当然として。

よし、もう一度。カチカチカチ。点灯、点滅、消灯。……出てこない。

むむ? カチカチカチ。

んー。 カチカチカチ。

あれ? カチカチカチ。

繰り返すこと何回か。カチカチカチ。

……やばい。メイン、サブどっちの切り替えなのかわからなくなった(アホ)

助けて。

担当さんに相談。
「かくかくしかじか」
「お待ちしています!(笑)」

支度してディーラーに行こう。支度終了、RCに乗り込んでスタート、プッシュ!

……表示、今頃出るのかよ。

「えーっと、担当さん。今エンジンかけたら、これこれうまうま」
「わかりました!(笑)」

レクサスというか、トヨタは改善努力を行ってくれー。
そもそも切り替えてもどちらかわからないっておかしいよ。

それとも自分で交換する私がマイノリティなのか?
このくらいのことはしてあげて愛車を可愛がりたいの!
ついでに洗車して、シュアラスターでコーティングもしました。綺麗綺麗。
Posted at 2017/11/17 13:24:28 | コメント(1) | トラックバック(0) | RC300h | 日記
2017年11月14日 イイね!

交差点に信号が設置されても警察官はいるぞ

交差点に信号が設置されても警察官はいるぞ事故が起きたわけじゃないんだけど、温床になってるっぽいからやっぱり注意喚起のためにも書く。

昨晩、久々の自宅に体を慣らしつつ過ごしていると、ちょっと早めにバイクが通過する音が聞こえた。

すると、「そこのバイク、停まりなさい!」とアナウンスがかかった。

あーあー、こりゃ信号無視したっぽいな。
というより、信号ができて警察官も不要になった(餌場から引いた)と思ったら……、いるんかい!
夜警。

で、バイクは。

逃げた。

しょーもな。罰の程度がまだ小さい信号無視で逃げるなら、人轢いたら確実に逃げるタイプ。
速攻で警察官もサイレン鳴らして怒声を上げて、深夜の追跡劇が始まったんだ。
こうなったら追加点加算できるってカモがネギしょってキタ━(゚∀゚)━!!!!!って感じで追いかけるのだろうか。正直言うと、他人事だからワクワクするぜってのが本音。警察24時のような番組を見てて逃走犯をとっちめてやれって気分みたいなもんだ。

夜中だし、狭い路地に逃げ込めば勝算がある&自分のテクなら煙に巻けるぜ志向の違反者 VS 警官。ゴングの鐘が、あ、いや、サイレンが鳴った。

さあ、逃走犯、逃げる逃げる。アクセルをより開けて加速していくぞ。しかしその先は交差点だ。夜中とはいえ他の車の往来だってあるかもしれないから最低限の気を配って限界まで速度を落として角を曲がった。再びアクセルを全開。警察官も置いて行かれるようなヘマはしないぞ。あっという間にサイレンと怒声が遠くなっていく。おーっと、ここでサイレンが止みました!!(唐突な実況)

20秒も持たなかったかな。すぐ捕まった。こういうときのために訓練してるんだろうなって。

貴方って、速いのね……。(他意はない)

地元民なら土地勘で狭い路地裏に逃げ込めば煙に巻けるぜへっへっへと考えるのかもしれないけど、警察官だって地元の人だろうし土地勘はあると思うから、こういう考えで逃げるのは無謀だよね。

信号無視するドライバーは一旦停止無視するドライバーより性質が悪いと思うのだが(……同等か)、罪から逃げるのは尚、性質が悪い。罪を認める勇気も必要だが、それより穏やかに運転するゆとりが必要だ。

急ぐという衣服を脱いで。悪さをしたら捕まろう。

by 違反後ゴールド免許復帰が目的の私。
Posted at 2017/11/14 08:45:20 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記 | 日記
2017年11月14日 イイね!

虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人

虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人ほいほい。『満願』各章の感想を書く前に、こちらを片付けておこうと思う。
これは『米澤穂信と古典部』というムック本に、古典部シリーズの新作として書き起こされた短編ものだ。私はヨネポの小説を全シリーズ読んでいるわけではないが、それでも今作はあまり陰鬱な感じもせず、むしろほっこりする話。奉太郎は死ぬが。だからこその『折木奉太郎の殺人』なのであって、『折木奉太郎が殺人』ではない。
一言で表すと『奉太郎いじり』の話だ。いじられキャラになった奉太郎。

要点を抑えておこう。
この話には「ふたりの距離の概算」で登場した大日向友子が登場している。また、奉太郎の書いた読書感想文が引用されていることから『わたしたちの伝説の一冊」も参考になる。

そしてこの話の時系列は(奉太郎の読書感想文がネタにされた)五月の晴れた月曜日から一週間前であることが明記されている。
『わたしたちの伝説の一冊」は伊原摩耶花の漫画研究会退部の話で『ふたりの距離の概算』で語られる過去の一遍では、奉太郎は大日向に摩耶花が漫研を退部したことを伝えている。
そのことから、つまりは「ふたりの距離の概算」で大日向と千反田えるとの間に不穏な空気が流れる前の辺りだろうと推測できる。大日向とえるが仲良さそうに話をしているが、これは和解したのではなく、それ以前の話ということで、そういう意味では『ふたりの距離の概算』でのモヤモヤは解消された話になっているわけではない。
大日向は『ふたりの距離の概算』で真実に到達したあのときから、結局えるに対してどうしたのか。えるは大日向にどう対応したのか。それを推し量るものではないということ。

どうでいもいいが、最近なぜか大日向友子の名前を見ると、ビジュアルイメージがアニメ『響け!ユーフォニアム2』で活躍する傘木希美を褐色に浅黒くした顔で想像が固定されてしまう。
活発なキャラでありながら、ふとした瞬間に儚げな表情を見せるのがあるから自分なりに何かしら共通項を見出しているのだろうか。

さて、私は「走れメロス」も真面目に読んだことはないが、『山月記』も『芥川龍之介の書いた猿蟹合戦』も読んだことはない。うーん、と我ながら思う。
それはともかく、その二つの話を土台にして『虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人』は物語を進めていくことになるわけだが、果たして如何にして奉太郎は殺されていくのか……。

古典部シリーズのキャラクターたちの未来につながる話をスピンオフな場のムック本でおいそれと書くわけにもいかないし、ムック本の趣旨としては読後感として暗い話を冒頭のうちに読ませて、どんよりした気分で本を読み進めてほしいわけでもない、そんな感じである。
どちらかと言えば「軽い気持ちであっさりと読んでね」という節すら感じるムック本だ。
だから作者のヨネポとしては、古典部シリーズのちょっとした事件、それが『奉太郎の過去を掘り起こす=死』辺りで決着がついたんだと勝手に想像する。主人公であるが故に可哀想な目に遭う奉太郎。この話もいずれ単行本の一遍として載る日も来るのだろうが、ひょっとしたらこの話が暗底の基になる日が来るのかもしれない。……あるかなぁ。

……あまりネタバレしてもアレだしねぇ……。

くどいが、奉太郎は主人公で、器用だったが故に死ぬことになってしまった。そんなお話。まあ、奉太郎以外の面々となった気分で読んでいくと面白い。
しかし『米澤穂信と古典部』を読み終わってヨネポのことを少しは、より、理解できて、一番のミステリは「なぜこんな物腰も柔らかそうで、人当たりも良さそうな人が、あんな暗い結末になる小説を作風として書き続けるのか」ということかな。人間の暗い一面がヨネポにも確かにあるのだろうなとまたまた勝手に想像する。見た目ではわからない人の本性。

それはそうと小説家たちとの対談の中で
「米澤さんは女性をあどけないものと思ってないんですね」
「うっ……」
と、核心を突くような会話が載っているんだけど、ここは凄く面白く感じた。
きっとヨネポの小説に出て来る女性キャラクターが総じて平凡な性格をしていないこととして読み解ける一端になっているからだ。
Posted at 2017/11/14 07:25:35 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記 | 日記
2017年11月13日 イイね!

二度目の入院

不覚にも虫垂炎と腸炎にて。
5泊6日の病院暮らし。某病院に収監されてました。

夜勤で、腹痛のまま仕事になんとか行ったら、仕事してる場合じゃねーから!と病院に連れてかれ
た。なんだ、思ったよりブラックな職場じゃないわ。

診察(CTスキャン)の判断待ちをしてるとき、すでに点滴を打たれたことによって、あー、これは入院濃厚か?と思ってたら案の定、着の身着のまま入院するハメになった。

痛みの度合いで言えば結石の半分くらい。あれに比べたら車も運転できたんだけど、うー、うー、と言ってたら、やっぱり心配されちゃうものなのよね。

着の身着のままってことは「財布の中身がろくに入っていない」、「キャッシュカードも入っていない(普段は家に置いてある)」、「保険証は持ってた」ぐらいで日用品なんか、なーんもありゃしない。入院申込書に必要な印鑑も持ってない。みなさんは印鑑って普段から持ち歩いてるものなんですかね。どこかに落としたら、忘れたらって考えると怖くて持てないよ。携帯電話の充電もろくに残ってなくて、近しい人にはほとんど知らせられなくて申し訳ない。べっ、別にお見舞いに来てほしいとかそんなんじゃないんだからねっ!まあ、お返しも大変なので普通に自分の時間を大切にしてね。

ともかく、入院しないとダメです。って医師に言われちゃ勧めに従うしかねえ。というか、同伴してくれた同僚が強引な帰宅を許してくれそうもない。支払いは私持ちなのに。後から聞いたら、そうやって先送りにした挙句、悪化して手術が必要になった人を知ってたから、くどく入院を勧めてきたってわけ。

仕方ない。
では部屋を決めてください、となる。
「おおべやとこしつがありますが、どちらに致しますか?」
『こしつ』って『小室』……か? いや、それじゃ『こむろ』だ。『個室』のことか。テンパってんな。
個室は追加料金が取られるってことくらい、知ってますのよ?うふふ。

庶民だし「大部屋で構いません」と答えたら、
「わかりました。しかし、申し訳ありません。緊急入院ということで、大部屋の空きがありませんので、空いている個室に案内させていただきます。勿論、こちらの都合ですから、大部屋に移るまで料金は大部屋と変わらないのでご安心ください」ときた。

「あなたが入院したいのは、大部屋? それとも個室?」
なんてイソップ寓話じゃあるまいし。微妙に違うか。

通された個室はなんと最上級個室の追加料金一万円(税別)の部屋。病院にも片手で数えるくらいしかないVIPルーム。なるほど、空いてるわけだ。

広いなー。トイレも専用、シャワーユニットも専用、洗面所も当然あるし、簡易ソファのような応接セットもあるよ。大部屋にある、すぐに帰れと言わんばかりのお尻が痛くなるパイプ椅子とは大違いだな。テレビも大きいし、見放題だ。冷蔵庫も使い放題だ。そう考えると、いくらか安い気がする。

こんなことを書いているが、ここまでずっと波があるものの「うー、うー」言ってる。

点滴と抗生物質と痛み止めを打ってもらって、痛みも(痛み止めのおかげもあって)少しは落ち着いた頃には夜中の二時。丑三つ時。

……。

これはマジな体験だったんだが、個室には大きな窓も付いていた。
窓の方からガサゴソガサゴソと人が動いたときの音が聞こえるんだ。
最初は隣の部屋の人の音が壁越しに響いてるんだとばかり思っていたんだけどさ。
どう聞いても、どう聴いても、窓の方からなんだ。窓の外からでもない。窓の方。
……窓の外は、……人はいられない高さだよ。

(´・ω・`)でもお腹まだ痛いから相手してられないよ

と、無視していたら三十分くらいで音は消えた。丑三つ時の三十分間には何かいるのか。
怪奇・ポルターガイスト。
怖いなー。夢ではない。


さて、次の日になって(日付は変わってたから既に次の日だが)、大部屋の空きができたので移動。
その夜……。

……。

これはマジな体験だったんだが、病院の廊下は消灯時間になると響くんだ。
そうしてまた夜中の二時頃になったら「ヴィ~~~ン、ヴィ~~~ン」って音が聞こえるんだ。
最初は誰かバイブr唸ってるかとばかり思っていたんだけどさ。
どう聞いても、どう聴いても、シェーバーの音なんだ。
……髭は、……生えちゃうよね。

(`・ω・´)ねえ、夜中の二時に髭剃りせんなん!? ねえ、せんなん!?

と看護師さんが入院患者に注意してた。ちなみに「せんなん!?」と言うのは石川弁で「しなくてはならないのですか!?(ダイレクト翻訳)」という意味だ。(多分)
朝になって、大変でしたねと労うと、流石に苦笑してたわ。結局、やめさせられなかったからね。看護師に武力行為は認められていない。トンファーキックのひとつでも入れたろか。
怪異・髭剃り男。
怖いなー。というか、うるさい。


さて、次の日の夜。(そこのあなた、まだあるのかよと思いましたね)

……。

これはマジな体験だったんだが、病院の廊下はまたもや消灯時間になると響くんだ。
今度は時計を見てなかったら何時かわからないんだけど、もうこれも夜中の二時でいいよ。(適当)
「え~~~。えっ、えっ↑ ええぇえ。え~、えー、えっ、えっ↓ えぇぇぇえ」って声が聞こえるんだ。
最初はここは精神科の患者もいるんだっけとばかり思っていたんだけどさ。
どう聞いても、どう聴いても、独り言なんだ。
……その謎のアクセント怖いから、……やめてよね。

(´;ω;`)看護師さんと会話してるんじゃねーのかよおおおお

これはポルターガイストより怖かったので、無理に寝た。
妖怪えっ↑えっ↓。
異変、起こり過ぎ。


さて、明くる朝。(まだあるんだよ、ネタ)

直属の上司が「見舞いに来たぞーい」ってやってきたんだけど、腹痛を起こして入院したのを知ってるくせにチョコ菓子を差し入れに持ってきたんだ。これは酷い。しかし向こうは天然だ。悪気はなかったらしい。こちとら点滴で飢えを凌いでいるというのに。目の前にニンジンぶら下げるような真似。そして、暇だろ、と週刊少年ジャンプを置いていった。

確かに暇と言えば暇なんだが、「何もしない」をしていたので、周りの音を聴いているだけで結構時間を過ごせるものよ。
まあ、菓子はともかくジャンプは久しぶりだなー。読まないのも失礼だし、読むか。連載陣、ワンピースと銀魂しかわからん。
読み切りのボクシングのやつはいかにもジャンプの読み切りって感じで「主人公は平素な一面と、とあることをきっかけに攻撃性が高まる一面の二面性を持っているでござるよ。ヒロイン役が悪者の手に落ちてピンチになったら駆けつけるでござるよ。最初はビシバシやってるけど、最後は大コマでドンと決めた一撃で悪者を倒すでござるよ」って、頬に十字傷がありそうな、どこぞの剣客みたいな展開だった。こなみかん。THE・週刊少年ジャンプと言わんばかりのお手本のような読み切り。

食戟のソーマを読んだら、ドラ焼食べたくなったから退院帰りに買ってきたけど、お腹はまだ万全じゃないからちょっときついかもしれない。

スポーツものも色々載ってたけど、YouTubeをネタにした連載漫画ってないんだね。
流行を追いかけがちなジャンプ編集部としてはありそうなものなんだけど。


さて、また次の朝。(感涙しながら読むといい)

隣に入院してた患者さんは(盗み聞きするつもりはなかったんだけど、「何もしない」で聞いてたら)90歳を超える耳の遠い爺さんで、この日はヘルパーと孫の顔の区別が付かなくなることもあるボケ気味な婆さんを連れてくるよと、見舞いに来た孫が言っていた日だ。

婆さん「あなたが一日でも早く退院して、家に戻ってきてくれることが何よりの薬です」
孫「お爺ちゃん、お婆ちゃんがね、若い時いろんなところに海外旅行に連れてってもらって、私は本当に幸せって言ってたよ」

こういうのに弱い。こんな台詞が誇張なく、さらっと出てくる家族愛の素晴らしさを感じた。

でもこの時の婆さんは大きな声を出してたわけじゃないんだ。むしろボソボソ声でね。でも爺さんは看護師さんに対しては何度か聴き直して、看護師さんもそれなりに大きな声で喋り直してたりもしたのに、婆さんの言葉には聴き直すということをせず、しっかり受け答えしてたんだよね。爺さんはボケてないんだけど。孫の声は聴き直してたわ(笑)

でも、いいよね……、こういうの。

オーディオで例えたら、自分のオーディオの音の良さはわかるけど、生の音や他人のオーディオの音の良さはわからないってところか。んー、ちょっと違うか?


他には、二件ほどほんの少しえっちぃのがあったくらいです。若さっていいね。紳士です。

(`・ω・´)紳士

( ゚∀゚ )という名の変態

彡(●)(●) えっちぃのはよくないと思います!

( ゚д゚ )目ぇ、怖っ!

(´・ω・`)決して手出しはしてないよ


あとはねー、お風呂なかなか入れてもらえなくて頭が痒かった。粉雪かよ。不潔だわー。
入院費は合計で7万円でした。7万円もあったら魔王マーラのフィギュアだって買えるのに。
ついでに言うと点滴の針を刺し直してもらう時に「手と腕、すごく綺麗ですね」って看護師さんに吉良吉影のようなことを言われました。おばちゃんの手と腕は看護師らしくてムチムチ。それでも私の方が筋肉質だったが。

皆も健康には気を付けようね。入院していた日すべてではないけどイベントが多かった。
手術はせず炎症が収まったのを見計らって退院させてもらった次第。
でもまだちょっと強く抑えると右側が痛い。虫垂炎のところ。自宅療養する。

終わり。


( ゚д゚ )おいおい、「えっちぃの」の詳細を読者は望んでいるぞ?

(´・ω・`)男子中学生じゃあるまいし、バカなこと言ってないでTo Loveるでも読んで寝なさい

( ゚∀゚ )2次3次の違いはあれどTo Loveるの方がエロい
Posted at 2017/11/13 17:54:11 | コメント(7) | トラックバック(0) | 日記 | 日記

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