
みん友の『ズカロヒ』さんより、あのテスラ MODEL Sが大阪で試乗できると伺い、早速ウェブサイトで予約しました。
あくる日には東京のテスラモーターから丁寧な電話がかかって来、当方の素性を確認されたのち、場所や詳細に関するメールが送信されてきました。
ちょうど当日の朝日新聞に、工場を公開した記事が掲載されており、今年は対前年度比1.5倍にあたる5万台以上も生産するとのこと。
この工場は、かつてトヨタがGMと合弁で設立したNUMMIの工場で、従業員は4千人と、結構な規模の生産能力です。
さて、試乗会場は、大阪期間限定ストア。
場所は、独身者の居住地域として人気No.1の南堀江で、大阪のオフィシャルショールームの開設まで運営される模様。
毎月2~3回訪問している大阪市立中央図書館のすぐ近所なので、昨日、その帰りにちょこっと行って参りました。
指定された近所のタイムズ駐車場へ車を停め、裏通りに面したショールームへ到着。
朝一番の客ともあって、5~6名の若いスタッフ総出で迎えられました。
ショールームには、冒頭の写真のテスラと、サスペンションのカットモデルがデンと展示されています。
高強度ボロン鋼で強化された軽量アルミニウムボディと、鍛造アルミによる(前) ダブルウィッシュボーン&(後)マルチリンクというコストのかかったサスペンションがよく判ります。
さらに目を引いたのは、補強リブが入ったアルミ鍛造のサスペンションタワーです。
ちょうど先日試乗したBMW5シリーズも、このようなコストのかかる構造をとっていますが、ステアリングを切り始めた時の剛性感やシャープさに貢献することは明らかです。
こういう見えないところにコストをかけているのは、高級車の証しですね。
さて、では早速の試乗です。
外には2台の試乗車が置かれており、今回は車体色が白で、内装がタンの革の方を選びました。
それにしても、大阪だけで試乗車を2台置いているなんて、相当気合が入っていますね。
【運転ポジション】
手長ザルスタイルになってしまう車が多いのですが、こいつのペダルは充分に奥まったところにあり、電動のテレスコピックを一番手前に引けば、ステアリングのトップを握った時に肘が少し曲がる丁度良い姿勢がとれました。
【シートの出来】
ダコタレザーのシートは、革が分厚くてとても上質。
もちろん、座面の角度や前後調整なども含め、電動式です。
サイズはちょっと小さめで、ちょっと華奢にも見えるこのシートは、E36の時代の革シートを思い出しました。
サイドサポートが少なく、如何にもグランドツーリング用のデザインですが、座り心地は大変良く、運転ポジション含め、満足度は大変高いものでした。
【内装】
座ってまず目に飛び込んでくるのは、この大きな17インチのモニター。
このモニターにすべての設定項目が表示され、指でタッチして設定してゆきます。
走行中はもちろんナビも表示されるわけなのですが、しばらく走っていくと、慣れますね、この巨大さには。
設定項目のメニュー表示などは大変わかりやすく設計されており、スイッチが沢山あるクルマのダッシュボードよりも、使いやすいのではと思いました。
ダッシュボードやドアの内張り含め、内装の質感は極めて高級です。
革内装ということもありましたが、各部品の質感や組み付け精度も良く、内装の質感ではピカ一であるAudiの上級車と遜色ありません。
米国車なのですが、メルセデスの技術協力のせいでしょうか、品質レベルは欧州の高級車そのものです。
この車は後輪駆動なのですが、FR車のようにトランスミッションがありませんので、センターコンソールからバルクヘッドにかけてがスカッと空いており、広々としています。
さて、いよいよ車を動かす時がやって来ました。
もちろんエンジンスタートボタンは無く、ブレーキベダルを踏み、ステアリング右手にあるメルセデスと共通部品であるシフトレバーをDにします。
【ステアリング】
優れた車は5m動かせばすぐわかると言いますが、まさにこの車もそうでした。
ステアリングの重さは、ちょうど先日試乗したBMWの5シリーズくらい重く、ずっしりとしています。
感触は後輪駆動車らしく極めてスムーズかつシャープで、人工的な感触やフリクションは感じられません。
剛性感も高く、如何にも高級車を操っているという感覚です。
話は前後しますが、ボンネットを開ければ大きなトランクが目に飛び込んで来、これは衝撃的であります。
一方、リアのハッチバックを開けると、こちらも吃驚するほど広大なラゲッジスペースが登場します。
バッテリーが居室下にびっしり敷き詰められており、前輪の前と後輪の後には重量物がありません。
残念ながらコーナリングを試すような機会はありませんでしたが、重量物が前後輪間にかたまっていますので、明らかにコーナリング時の慣性モーメントが小さいはずで、これもスムーズなステアリングの感触に寄与しているはずです。
【乗り心地】
この試乗車は固めたサスペンション+エアサスという仕様でしたが、明らかに締まった固めた乗り心地です。
こんな大きな21インチのホイールを履いているにもかかわらず、先日試乗したレクサスのような直接的なハーショネスを感じることはありません。
きっと、上屋がバッテリーで極めて重いので、アルミ鍛造のサスペンションと相まって、相対的にばね下が軽くなっていることも、ハーショネスの低減に効果があるのかもしれません。
また、以前試乗したボクスターのような細かなピッチングも無く、極めてフラットライドです。
重量物のバッテリーが床下に配置され、重心の位置がタイヤの中心付近という超低重心位置だからでしょうか、地を這うように、まるで吸い付くように走りつつ、路面のショックは角が取れているという乗り心地です。
いわゆる超高級スポーツカーに乗ったことはないのですが、きっとこんな乗り心地なんだろうなあ、と想像してしまいました。
【動力性能】
左右の後輪の間にあるこのモーターが動力の源なのですが、アクセルをグッと踏んだ瞬間に立ち上がる強烈な加速を、上手く表現する術がありません。
とにかく、踏んだ瞬間に強烈に来るのです。
試乗コースは、なにわ筋を北上して阿波座で右折して中央大通りに入り、本町の高架の部分を通って、松屋町でUターンします。
Uターンして高架の部分へ登って行く際に、前がスカッと空きますのでアクセルを床まで踏みつけてやりました。
いやもう、その加速の凄い事。
タイムラグがゼロで強烈に立ち上がる加速度Gの物凄さと言ったら。。。
これは是非とも、皆さんに試乗をお勧めします。
きっと、病み付きになると思いますよ。それほど凄い。
ちなみに、帰りしなに我がC5で同じことを試してみましたが、そのあまりの違いに、思わず大笑いしてしまいました。。。
当日はその後の試乗予約が無かったので、特別延長ということで、四ツ橋筋から中之島へ入り、リーガロイヤルの前を通ってあみだ池筋を南下するコースを走らせてもらえました。
この日、ショールームでの説明も、試乗での同行も、テスラジャパンのJames Williams氏でした。
NUMMIのある加州の出身で、大学でテスラに関する論文を書いたほどのテスラフリークな方。
昔よく出張していた加州の話で車内は盛り上がり、楽しい試乗となりました。
【総評】
試乗後は、ショールームで内外装をシミュレーションしましたが、外装色は無機的な感じを出すグレーメタリック、内装はタンの革、ルーフは黒のアルカンターラ、ダッシュボードの加飾はマットのウッドが好みでした。
完成度が極めて高いグランドツーリングカーという印象で、これならポルシェパナメーラ等より価格競争力もあるし、商品力は相当高いのではと思います。
ただし、まだまだ知名度が低く、知っている人(且つ買える財力がある人)はすでに購入されたとのお話。
どうやって知名度を上げていくかが課題のようですが、とにかく皆さん、一度試乗をお勧めします。
車好きの方なら、間違いなく琴線をビンビンに刺激すること、間違いありません。
今なら結構試乗が空いているようで、試乗の申し込みは、下記のURLからです。
http://my.teslamotors.com/jp/event/kiosk_osaka
いやあ、今回の試乗記はべた褒めになってしまいましたが、正直、それほど良かったです。
難点と言えばヒーターがあまり効かなかったことくらいですが、設定を忘れていたのかもしれません。
普段はハイドロ沼に浸りきってボヨヨ~ンと、車を転がしていますが、こういう高級スポーツカーも、しみじみ良いなあと感じ入りました。
ま、値段は倍以上しますけどね。。。