
10月18日発売のデアゴスティーニの隔週刊「第二次世界大戦 傑作機コレクション」より、vol.19 三菱 零式艦上戦闘機一一型です。
同シリーズでは既に3機目となる零戦一一型の登場ですね。零戦一一型は零戦として制式採用された一番最初の量産機ですね。零戦の試作機、十二試艦上戦闘機(以下、十二試艦戦)は昭和14年(1939年)の3月に試作機が完成、4月には初飛行に成功しています。十二試艦戦には中島飛行機製の空冷星型複列14気筒の「栄一二型」(950hp)の採用が計画されていましたが、当時「栄一二型」自体が制式採用に至っていなかった事情から、三菱製の空冷星型複列14気筒「瑞星一三型」(780hp)が搭載されました。しかし、実際に瑞星一三型を搭載した十二試艦戦は試作1号機と2号機の2機のみとなり、3号機以降は栄一二型に換装されています。
その後、試作機は8号機まで作られ、昭和15年7月には9号機以降の計40機が制式採用されないまま、中国大陸の漢口基地に配備されました。漢口基地に配備後、細かな改修が施され、同月に零式一号艦上戦闘機一型として制式採用される事になります。ちなみに、零戦艦上戦闘機一一型と改められたのは昭和17年の類別変更によるもので、それまでは零戦二一型も「零式一号艦上戦闘機ニ型」という名称で運用されていました。
さて、零戦一一型が制式採用されて実戦配備された昭和15年頃と言えば、まだ欧米諸国に対して開戦しておらず、盧溝橋事件に端を発した日中戦争の最中でした。漢口基地に配備された零戦一一型は、主に重慶への爆撃を展開する爆撃機の護衛機としての任務や、基地防空などを行っていました。そして当時の中国国民党軍を支援していたアメリカの「フライング・タイガース」所属のカーチス P40などと中国大陸で戦闘を行い、破竹の勢いとも言える戦果を挙げていきます。
零戦一一型は、艦上戦闘機という名称にも関わらず艦載機としての装備はなく、あくまでも陸上基地での運用に限定された型式になっています。実際に艦載機として運用可能な装備は後継の二一型以降となり、一一型と二一型の特徴の違いや外見上の違いとして見た場合においても、艦載機の必需品である着艦フックや無線帰投方位測定器の有無、主翼の翼端折畳み機能など、幾つかにおいて決定的な違いを見る事ができますね。しかしながら、一一型の総生産数64機のうち、後期生産された18機は、着艦フックや無線帰投方位測定器が装備可能、または装備されていた様です。
やはり、こうやって見ると零戦は一一型や二一型の様な初期の型式が一番流麗で美しいですねぇ。この当時の各国戦闘機が武装解除して、一堂に会してレッドブルエアレースみたいな競技をしたら面白そうですけどね〜。零戦の驚異の運動性能を世界に見せつけてほしいものです(笑)。
Posted at 2016/10/20 12:05:20 | |
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