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2020年11月19日 イイね!

激戦区・プレミアムセダンの資質とは(車両側からの分析2)

<続き>
一方のメルセデスを見てゆきます。

<メルセデスフレーム>








メルセデスはごつい左右メンバーでサス間をストレートにをつなぎ、上部はWウイッシュボーンでダンパーの動きは軸力のみの負荷しか受け無いため、低フリクション且つバラつかない。また比較的低い位置で負荷を受け、お高い車がみんなやるようにトップブリッジをごついアルミダイキャスト一体構造で塊化したうえでタワーバをバルクヘッドにV字につないぎ、また前にもつないで縦と水平方向の両方を環状に閉じています。


ざっとメルセデスがやったであろうことを列記します。
「FRの積極的なドライビングを質感高く実現するために・・」

A:パワー、トルクを上げること。およびそれを使い切れるアクセルトラクション制御性を向上させること。(ダウンサイジングターボ、ドライブトレインの剛性)

B:快適、高級な質感を、静的・動的、共に備える事。

このAとBを実現するために、有利な手段として、
①左右サスペンションとつなぐクロスメンバーを通せる縦置きエンジン(AとB)
②高いトラクションを出せるリア駆動。同時にアクセルヨー制御のできる制御性(AとB)
③ステアリングにトルクを伝えない(タイヤコンタクトのみを伝える感じ)
④ボディに入る振動特性を揃える。(クランクシャフトからリアデフまで縦回転のみではすば歯車のみで、ベベルギアを使わない:トルクリアクションをピッチとロールに分けて、ミックスしない)

次にBの乗り味を幅を広げるために、フラットライドとコンフォートの追求(これは今のメルセデスの哲学かな、車体を水平に、ロール・ピッチ抑制する)、この2つのキャパシティを上げる(車の速度、道路に寄らず、乗った人が余り揺れないように保つ)。

一つは、サスストロークを取った吸収性と振動遮断に有利なサス構造とし、もう一つは、サスストロークを絞って、吸収速度とダンピング容量の上げるモード変更可能なサス。

この2つを両立させるために、基本骨格でタイヤを4隅において、ボディサイズ最大のホイールベースとし、ストローク当たりの特にピッチング角度変化をミニマム化。(ランチャストラトスの真逆)
そうすると、ボディ剛性が低下する分を補って、更に(金をかけて)軽量で強固にする、と。

この辺は欧州車のこのクラスはどれもやっている構造ですが、操舵軸の逃げが無くなることで、タイヤの振動がボディに入りやすくなり、これを消すために剛と柔の技が入ります。具体的には分散と減衰機能を組み込むことをやっています(なるべく広い面で負荷を受け、片持ちの腕を短く、あるいは環状につなぐ構造ですね)。

こうやって、ボディの前後軸間のねじれ剛性を高くする必要がFRにはあります。
(MRもRRも)リアの剛性が低いとリアタイヤのトラクションが安定しない、路面のうねりなどの負荷で、トラクションが抜ける、と言った低い操縦性が出てきます。負荷を掛けなければごまかせても、今回走ったような山岳路A区間では、流して走るには問題なくても、リアタイヤに荷重の乗せれる区間でめいっぱい踏むと、固い脚は跳ねて抜け、柔らかい脚は沈み込んでストロークを食って、うねりで飛びます。どっちも飛ぶけど前者はうまくすると着地後に収まるが、後者はおつりが増幅してメチャ怖い(;^_^A

というように、FRのボディ剛性はスタビリティの生命線です。このように、FFとFRではある領域以上の負荷、走りの質を求めると、飛躍的にコスト差が出てきます。要はFRは金がかかるという作りなんです。では、その掛けた金をユーザに正当に評価してもらえるのか?。という点が問題になるわけですが、そこが世の中良くしたもので評価する客層もまた、分かれているのです。

蛇足ですが、エアサスについてはサスペンションの吸収性について、Sモードをスタンダードとしてみると、
①快適用Cモード:エアサス固有特性で伸びのダンピングを緩め、バンプストロークを+25mm稼いだところを標準。(高速で100km/h巡行でも共振する時がある)。
②快走用Sモード:伸びと圧ともにダンピングを利かせて、サスを25mm縮めることで、重心を下げてロール剛性を上げ、バネレートを上げて荷重負荷容量を高める。これに変速機とエンジンの制御を合わせる。巡行時でもほぼ吸気を大気圧近くに保ち、ターボラグを感じさせないようにしている。アクセル開度が大きいと、シフトアップを控えめに変速し、上で待つようになる。
③もっと高速用(あるいはジムカーナ的な極端な負荷変動)のS+は、更にスタティックな足になる。

エアサスは、ストローク可変を使って荷物や乗車荷重でもオートレベリング機能となって、重心と常時姿勢を水平に保つ、、と言うことはサスの吸収量を絶えず最大に維持していることになる(地味にとても大事なメルセデスの基本)。

また、上質と言う面では、金属ばねでは端面に入る衝撃振動は(鐘を叩くのと同じで)金属間を伝搬するが、エアサスは空気層に遮断され、上質な空気感が有るのはこの車格では評価ポイント。

以上のような自動車の乗り味にお金をかけた手段で、80点の仕上がりを95点まで持って行ったことがわかる。この80点以上はお金とリターンの効率が下がるので、最終プライスがモノをいう世界。メルセデスの特徴であるフラットライドについては、次のドライバ側からの分析で評価します。


で、国産車でも既にこのセグメントで頑張っている先輩がいます。既に3世代目となり、ようやく背中を捉えた?。。なレクサスIS。このところようやく独自性を身に着け、「レクサスとは、」を広めつつありますが、地味にISFは、まさにCクラスや3シリーズのライバル、と言える位置に来ました。
で、地味な最後の?マイナーチェンジをしたISを見てみると、これがなかなかな出来。

WebCGの記事3連ちゃん



レクサスならではの走りをより高次元に 「レクサスIS」のマイナーチェンジモデル登場


「レクサスIS」はなぜフルモデルチェンジしなかったのか?

円熟のスポーツセダン (とってもわてのメル子に似てる(;^_^A)


ボディーサイズは4710×1840×1435mm
IS300:480万円(FR車)
IS300“Fスポーツ”:535万円(FR車)
IS300“バージョンL”:555万円(FR車)
IS300h:526万円(FR車)/568万円(4WD車)
IS300h“Fスポーツ”:580万円(FR車)/622万円(4WD車)
IS300h“バージョンL”:600万円(FR車)/642万円(4WD車)
IS350“Fスポーツ”:650万円(FR車)

と、480万から650万のラインナップで、
直4ターボの248ps/35.4kgm から V6/3.5Lの318ps/38.7kgm

と言う諸元から、どの程度のボディを作ったのかが見えてきます。
C250,海外版C300のメル子と同等ですね。





今回ハブナットをやめて、ハブボルト式に変えた。やっと欧州プレミアムと同じ積み上げから見直すことに取り組んだようで。メルセデスのタイヤ交換はサイズが大きくて腰に来ますが、その作りのごつさに感心します。完全に強度のレベルで作っていなくて、剛性、質感のためのサイズ。ブッシュ径がでかい、ので弾性変形量が大きい、のでその分固い、ので使う変形比率が小さい、のでへたりにくい、ので普段から入る入力負荷レベルが相当高いところを想定した作りになっています。多分6年後の質感があまり変わらないと言った価値感。


レクサスが1999年初代投入から、2013年に投入された3代目。そして7年目にしての大幅なマイナーチェンジ。つまりトヨタにしては、熟成型の長いライフで作っています。その結果、ようやく背中が見えてきた、、と言う感じでしょうか(私は最新モデルに乗っていないし、お店の敷居も高いので行きませんが、開発陣の意図した走りの品質に到達したのかは、わかりません(;^_^A)

が、開発の変遷=開発陣が力を入れた言いたいこと=欧州御三家に追い付いていないと感じている点、、となるでしょう。そして走りに関して言えば、
①ボディ剛性(シャシー剛性)
②サスペンション
メル子によく似たサス。(アッパが得意のダブルジョイントになっていない、剛性重視かな?)

つまり7年作り続けたモデルで、ベースデータがわかりきっているものを使って、「走りの質感」を上げた、つまり手を入れた「そこ」が気になったわけですね。

さらに、WebCGの記事で、トヨタの〇田さんは「セダンとプラットフォームを共用したスポーツカーなんぞクソ(これはもちろん筆者による超意訳)」

とのことだから、さぞかしピュアスポーツカーは、「あきらめた」部分を追求しているのでしょう。私はコンパクトなサイズ(NDロードスタぐらいか、旧930)で、スタビリティの高い脚で、ぱっと向き変えて、ドンと踏める車が結構好きなんですが(;^_^A、そうするとセダンベースのスポーティカーってスタビリティ高くて好きなんですがね。

そういうわけで、この「走りの質感」という漠然とした、しかし小さな積み重ねの習熟知の集合体でしか、到達できないものがあり、だからこそEVが、新興メーカでタケノコのように高級車を作り出す、、、とはならないと考えています。

ただし評価する側の舌がハンバーガー最高、と言うレベルだとあきまへんが。顧客の舌が肥えないといずれ取って代わるでしょうね。そのあたりを次回に。

先が長い(;^_^A。
Posted at 2020/11/19 19:19:25 | コメント(4) | トラックバック(1) | 試乗 | クルマ

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