![後輪駆動車の限界 後輪駆動車の限界](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/045/409/175/45409175/p1m.jpg?ct=ef293f3a1c3a)
RS4に乗ってみて抱くのは、
トラクション性能だけを見ればAWD最強!という当たり前の感想です。かつてRRに強いこだわりを持ってクルマ作りを行っていたポルシェAGが964世代になり突如カレラ4から先に発表したのも、ポルシェ自身が
後輪駆動の限界を感じていたからに他なりません。たかだか250㎰、しかもトラクション性能に優れるRRレイアウトの911でさえ、ポルシェはAWDをメインに据える方向に舵を切ったというのは当時
衝撃的な出来事でした(※)。
(※主にマーケティング的な理由で結局その後もRRが911のメインストリームであり続けているのは皆さんご存知の通り)
ハイパフォーマンスカーメーカーにとって
速さは正義であり、より安全に誰でも性能を使い切るためにはAWDは
必須の技術と言っても過言ではないでしょう。賛否両論を巻き起こしながらもR35GT-Rが当時ハイパフォーマンスカーの世界を席巻したのも
AWDの圧倒的なトラクション性能に拠る所が大きいと言わざるを得ません(それだけではありませんが)。964カレラ4の登場から30年が経った今も、500㎰を超えるような超ハイパワー後輪駆動車は少ないながら存在します。しかし、それらのクルマは
最新の電子制御で
バリバリに武装され、公道で走る上での安全性が漸く担保されています。電子制御なくしてはとてもとても500㎰オーバーの後輪駆動車なんて危なっかしくて乗れません。かつてABSとTC程度しか持たない996GT2が
Widow Maker(=未亡人作成機)と揶揄されたのは、さもありなんです。
真っ当なコントロール性を維持するためには、後輪駆動車はたぶん
400㎰くらいが限界なのではないか、と個人的には思います。明確なエビデンスがあるワケではなく、飽くまで実体験に基づく個人的感想ですが、恐らくそう大きくは外れていないと思います。それ以上のパワーは後輪駆動車では扱い切れない。もっと言えば仮にAWDであったも公道ではまったく使い切れません。ただ、AWDが備わる事で、アマチュアドライバーでも
そこそこの速度域のハイスピードドライビングを
ある程度愉しむことは可能となります。ラジコンの話になりますが、少年時代、カリッカリにチューンナップしたグラスホッパー(RWD)でどんなに頑張っても、友人のホットショット(AWD)にまったく
歯が立ちませんでした。これはもう物理の話なので異論の余地はありません。
ではドライビングプレジャーはどうか?というとこの点に於いては明確に
後輪駆動車がAWD車に勝ると個人的には思います。前後の荷重移動で車体をコントロールする繊細な操作感や、フロントに駆動力が伝わらない事から来るステアリングの雑味の無さは後輪駆動車特有の
美点です。何も考えずにステアリングを切ったら切っただけ曲がるAWDと違って、常の路面からのフィードバック、インフォメーションと対話しながらドライビングに興じる事が出来るのが後輪駆動車の魅力だと思います。ただし、前述の通り、これが400㎰オーバーという世界になってくると、余程のスキルが無いと限界の遥か手前で
おっかなびっくり乗る事になるので、ヒリヒリするようなドライビングエクスペリエンスを得ることは難しいでしょう(最新の992GT3はどうでしょうか?興味あります)。
とどのつまり、
400㎰以下なら後輪駆動でも十分楽しめるが、それを超えるような領域になって来るとAWDの方が安心・安全だよね、というのが私の持論です。まあこれについては皆さんそれぞれ考えがあるでしょうし、飽くまで私見に過ぎませんが。ちなみに私が溺愛して止まないE63は514㎰もありますが、ストップした状態からバンとアクセルを開けた時の体感的な速さは
RS4の方が上です。カタログスペック上の0-100km/h性能を見るとE63の方が若干速いんですけどね。90馬力以上も劣りますが、RS4がDSGだったらRS4の方がきっと速いと思います。一方で、エンジンサウンドはE63に軍配が上がります。つまり
一長一短、好みに拠る所も大きいかと思います。ちなみにE63がマニュアルだったら、RS4は買ってなかったと思います(きっぱり)。
Posted at 2021/08/27 13:58:33 | |
四方山話 | クルマ