昨今の電子制御バリバリ、お節介機能満載のクルマに触れていると、ふと
旧いクルマが大変魅力的に見えたりすることがあります。オールド・フェラーリや空冷ポルシェはもちろんのこと、ちょっと旧いBMWのMモデルやアルピナ、イタフラに目を移せば旧いアルファやランチアなど。キャブ車なんて、音と言い、ガソリン臭と言い、クルマ好きからすると
垂涎モノですよね♪
一方で、現実的にはこうした旧いクルマには
トラブルが付き物です。そもそも旧車が高騰していて、現存する車両が減って行く中で、入手自体のハードルも爆上がりなワケですが、運よく手に入れたとしても、それを状態良く維持して行くとなるとこれまた
別次元の問題です。旧車を維持したり修理するためにはハードルがいくつもあり、こうしたハードルを乗り越えるのが容易ではなくなりつつあります。ちなみに私自身は性格的な問題、またお財布的な問題から、
製造から20年以上経過したクルマは購入しない、と心に決めました。その理由について、本日は忘備録(自分への戒めw)も兼ねて、少しまとめてみたので、ご参考いただければ幸いです。
1.パーツ供給の問題
ロータスエリーゼS1を所有していた時にぶち当たったのがこの問題です。クルマは半永久的に持つパーツ(これはそれほど多くない)と、いわゆる消耗品で構成されます。エンジン周りなんてその際たるもので、補器類も含めると
膨大な消耗品の数に上ります。で、汎用品もあれば専用品もあり、専用品に関してはほとんどのメーカーで生産から○○年で供給ストップという状況です。ポルシェのように、専門の旧車部門があり、レストアにも力を入れ始めているメーカーもありますが、BMW辺りは酷いモノです。新車を買ってもらう方に力を入れるのはメーカーのスタンスとしては分からなくもありませんが、
あまりにも旧車が冷遇されているとそのメーカーの新車を買おうという気が失せます。修理不能=セカンドマーケットの価値の下落に繋がりますからね。旧車の場合、治したくてもパーツが手に入らないからそもそも治せないというのがひとつ目のハードルとなります。
2.主治医問題
全国的に自動車整備士が不足しつつあるようです。特に、輸入車のようなマニアックな領域は特に
人手不足が深刻なようです。20年後には車検通すに○か月待ちという状況も現実味を帯びて来ました。ノウハウを持ったメカニックも高齢化が進み、今の若い整備士はアッセンブリー交換しか出来ないという話も聞きます。なので、運良くパーツがゲット出来ても、治せる技術を持った人が居ないとなるとどうにもなりません。ディーラーの整備部門は自前の系列店で販売された車両の整備で手いっぱいで、持ち込まれた旧車など診たくないというのが本音だと思います。それでなくとも旧車なんて
トラブルの宝庫かつ手間が掛かるワケですから。で、街のショップはどうか、というとこちらも同様に人手不足。以前メガーヌR.S.の件でいくつかのショップに作業の相談をしましたが、どこもやる気ナッシングでした(悲)。
3.1カ所だけ治せば良いワケではない問題
クルマが旧くなって来ると様々なパーツが
同時に劣化して行きます。たとえばサスペンションのダンパーがへたっているとします。ではダンパーだけ交換すれば良いのか?さにあらず。大抵この場合にはアームのブッシュ類も劣化していますし、スプリングも当然金属疲労を起こしています。何ならピロやアームそのものも金属疲労を起こしていて、ダンパーだけ交換すると他の箇所が次々壊れる事になり兼ねません。結局足回りごとオーバーホールすることになりますが、そうなるとシャシーの取り付け部やシャシー本体の強度の問題が出て来ます。
あっちを治せばこっちが壊れるという状況ですね。これは足回りだけではなく、クルマを構成するあらゆるパーツに言える事です。個人的にはマウントだけ交換するとか、リジカラだけ入れるとか、そういう「旧いなりに調和を保っている」バランスを崩すような部分メンテ(?)はむしろ「悪手」と考えています。
4.コストの問題
まあ
これが一番大きいでしょうね。例えば旧車を500万円で購入したとします。仮にこれを新車価格のほぼ半分の金額と仮定します。しかし、新車当時と違うのは、各パーツが
経年劣化している、という点。運良くパーツは手に入った。たまたま主治医とも巡り合えた。
さあレストアしよう!ってなった時に、すべての部分をオーバーホールしたら新車当時の車両本体価格と同じくらい掛かるなんていうことはまったく珍しく無いと思います。で、それだけお金と時間を掛けても「元通り」にはならないので、結局更に追い金、追い金、気が付けば購入金額の○倍という事も十分有り得ます。余程思い入れが無い限り、
心が折れるのが普通です。しかも、売却する際に考慮されるのは「走行距離」「ボディカラー」「レアリティ」「MTか否か」だけですからね・・。あとは高額な旧車の自動車税。こちらはまあ詳しく語るまでもありませんかね。
ハイ、そうなんです。旧車はたしかに魅力的ですが、
非常にハードルが高いんです。私も何度か
高い授業料を支払ってこの事は痛感しました。964のオーバーホールに200万円ほどかけましたが、退院した直後に夏場エアコンがまったく効かなかった時は
愕然としました。360モデナを100万円かけて整備した2か月後にクラッチが逝き更に100万円という見積りを見た時には
心が折れました。ロータスエリーゼS1を所有していた期間の内2/3が入院生活だったのは・・今となっては
良い思い出ですw。まあそんなこんなで、例えばトップ画像の300SLなんかは死ぬほどカッコイイですが、まあそもそも高過ぎて買えませんし、私程度の経済力では到底維持なんて出来るワケもありません。ランチア・デルタとか、アウトビアンキくらいなら・・いや何でもありません、止めておくことにします(悟)。
Posted at 2023/06/21 14:04:21 | |
トラックバック(0) |
四方山話 | クルマ