私が毎度読んでいる漫画に、「気まぐれコンセプト」があることは、以前にも書きました。歴史の教科書や年表には載らない、生きた人々の生活を描き続ける漫画として、記録としての価値も高いと思います。
今回も気になることが出ていました。漫画の舞台になっている会社の社長さんだかが、「気になる、うーん気になる。」と悩み、最後のコマで、「円周率を「3」で習った世代が、今年の冬から就職活動を開始」でくくられています。
以前も「
ゆとり世代就職記念」ブログを書きましたが、月に何回か土曜を休む「プレゆとり」、社会科と理科をまとめて「生活科」として習う「ゆとり」は、その存在を認識していました。そうそう、「円周率3」で教えることについては、「ゆとりに更に輪をかけるのか!」と、当時も憤慨したものでした。
そもそも円周率を3で教えることの効果は、次のようなものがあるとされていました。
・高校生になると、3.14どころか3でもなく、πとして計算もしなくなるので、遅かれ早かれ同じこと。
・0.14の分だけ計算が増えるだけであり、幾何学の円周率の問題に、小数点の計算の代数分野で苦労させても、学習効果がない。
・円周率の問題の考え方を教えるのが主な目的なので、計算で生徒を苦しめることは意味がない。
確かに、筋は通っています。しかし、義務教育とは生徒に広くいろいろなことを教え、生徒の潜在能力を引き出すことにある上、「世の中には、やりたくなくてもやらなければならないことがある」ことを教える側面もあります。さらに、円周率が出てくる問題では計算が面倒になるので、なるべく最後に一回だけ3.14の計算をすれば済むように、当人に工夫の大切さを気づかせることにあります。円周率の考え方を学ばせる等、まだまだ先、大学入試の頃で十分です。
筋は通っているけど、現実のごく一面しか見ていない教育論が横行したのが、'90年代末期の風潮でした。「ゆとり教育」も、その精神は「机に向かって勉強すること以外に、木工作業が得意だったり、病人や子供の面倒を見るのが好きだったり、商売にむいていたりする子などの能力を引き出すため」というものでした。
ところが、人類の近代の歴史は、「たとえ勉強以外のことが得意な人がいても、基礎的教養のために厳選されたのが、学校の勉強」だったことから、今日の義務教育を作り出したのです。それを無視して、しかも「学校の勉強以外は一体誰が教えるのか?」という根本的な疑問を解決せずにGOされてしまったのが「ゆとり教育」でした。
本題に話を戻すと、円周率を3で教わった世代は、
「ちょっと面倒なことがあるとすぐにくじける」
「面倒なことをしようとしない」
「自ら工夫をしない」
可能性があります。企業の採用担当者さん、全てがこうであるとか言いませんが、あなたの「審美眼」に、会社の将来がかかっています。せいぜい、「すぐにはわからないことを、「見た目などすぐに分かること」や「あなたが聞き出すこと」で推察する」能力を養ってくださいな!
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Posted at
2012/06/28 23:07:06