
スペード社のシリーズは今でも思い出したときに書いておりますが、昨今の企業の従業員に対する安全管理の報道を見て、私がかつて経験したSMP社での台風騒動を思い出しました。
それは、学校1年目の夏から3年目終わりまで勤務した、SMP社での思い出です。周囲の社員の状況などから、おそらく2年目の夏か秋ではなかったかと思います。
その前 杉部さんが営業部へ
その日の約1週間、社員と私以外のアルバイトの人が、「営業部の杉部はバカだ!」と噂していることが耳に入りました。そもそも店舗で営業しているSMP社ですから、店舗でない営業部というのは販売も何もせず、「店舗を監督する」という名の何もしない?部署でした。部長こそいますが、店舗では使い物にならなかったりトラブルを起こしそうな人を、営業部に配置するのだとか?
私は、いくらバカが前面に出ているSMP社と言えど、営業部に行くのはそれなりの人かと思っていましたので、杉部さんと早く会ってみたいものだと思って過ごしていました。
前日
大型で強い台風がこちらに接近することは、もう数日前から報道されていたと記憶しています。確か接近予定の日は土曜日か日曜日だったような気がしますが、いずれにしろ学校が休みの日か期間だったはずです。私は大型で強い台風の状況をじっくり見る機会などそうはないと思ったこと、そんな日にSMP店舗に買いに来る人はほとんどいないと予想されることなどから、フロア担当社員のカッパさんに、
「明日は台風だから休んでも良いですか?どうせろくな客は来ないですよ。」
と、休みを申し出ました。その日は神様さんは公休日、その他のアルバイトの人もたまたま用事があって休みにしているとかで、
「え~、一人になるから来てよ」
と言われました。が、やはり台風であることから、勤務に責任がない(当時のアルバイトの扱いは、こうでした。現在の「雇用体系がどうであれ、責任がある」とは全く異なります。)ので、しぶしぶ休んでも良いと言われました。
しかし、少ししてから今度は店長がやってきます。店長が言うには、
「明日君に休まれると、このフロアはカッパさんだけになって、昼食にも行けなくなるよ、頼むから来て。」
と懇願されました。まあ、勤務日や時間に融通を聞かせてもらっているだけに、私はしぶしぶ出勤することにしたのです。
当日
当日は、朝から大雨でした。確か、家を出る頃は風は強くはなかったような気がします。両親は、「学生のアルバイトなのに、こんな日に出ていかなければならないの?」と、いぶかしげに聞いてきます。台風の日に出ていったからと言って必ず被害にあうことはありませんが、やはりアルバイトには責任がないことが普通だった当時としては、奇異に映ったのでしょう。土日が休日だった父に、駅まで送ってもらいました。
電車は動いていましたが、SMP社がある最寄り駅に来ると、だいぶ風が強まってきます。アルバイト更衣場で着替えなければならないのですが、傘をさしていてもひざから下はずぶぬれになってしまいました。さらに更衣場から店舗まで歩くのですが、さらに濡れてしまったような気がします。
店舗に着くと、皆、「いやあ、良く来てくれた。」と歓迎ムードです。そんな状況ですから、開店してもお客さんなど来やしません。1階に下りる階段から外の状況を見ると、ほとんど暴風雨、誰も歩いていません。それでも店舗カウンターに立ったり、あまりにも暇なので棚の片づけをしていましたら、本棚の上から雨漏りが生じてしまいました。慌ててカッパさんと本を他の棚に避難させます。
約1時間ほど経過した頃でしょうか?店長がやってきて、「アルバイトはすぐに帰宅して」と言ってきます。昨日は出勤をお願いされながら、出勤したら退勤指示です。店長はさらに、
「店舗の売り上げが全く上がってこないのに、アルバイトの時給900円×人数で経費がかさんでくるんだから、会社としては仕方がないよ。」
と言ってきます。私は、せっかく出勤したのにこんな暴風雨の中帰らされたら全くの半日損になってしまう上、無事に帰れないかもしれないと感じ、
「私は帰っても良いですけれど、私が帰ったらこのフロアはカッパさん一人になってしまいますよ。」
と、言いました。すると店長はそれは気にしていなかった、と言う顔をして、
「もし残ってくれるというのだったら、残ってね。」
と、方針を変えてきます。営業部方針ではなかったのかな?
しばらくすると、店舗に杉部さんがやってきます。制服のスラックスを膝までたくし上げ、髪も濡らしています。
「うわあ、濡れちったよ。すげー雨!で、これは法人営業部で返品になった品だから。」といって、商品を手で持ってきているのです。そして商品をよけている本棚を見て、
「この商品の並べ方、おかしいと思わない?」
と私に言ってきます。それが普段だったらおかしいでしょうが、漏れた雨が見えないのでしょうかね?私は、
「雨漏りが起こったので、商品をよけました。」
と言いました。杉部さんは、
「そうか!おい、絶対商品は濡らすなよ!」
と、手のひら返しです。私が言ったことを、さも自分の命令であるかのように復唱したかのような感じで言うのですから、私は、「これがみんなが言う杉部さんの「バカっぷり」か!」
と、まるで動物園で珍しい動物を見たかのような感じになりました。
さらに、アルバイト制服を着ている私を見て、
「あれ?帰宅命令を出したのに何でアルバイトが残っているの?」
と聞いてきます。そこはカッパさんが、
「彼が帰宅するとこのフロアは私一人になってしまうので、店長の命令で残ってもらっています。」
と言い返してくれました。杉部さんはどことなく不満な顔で、
「それなら良いか。」
と言うのでした。
店舗型販売店でも「人命が第一」と言いますが、それはお客さまのことです。一番大事なのは、
「レジの現金」
次は
「店内の商品」
その次に
「社員の体」
で、アルバイトは変わりが効く要員程度にしか思っていないところが多かったのです。
そして夕方には台風は去り、日が差してきます。企業の退勤時刻から少したった18時頃になると、お客さんがいつもの平日程度には来ます。おそらく私が帰宅していたら、フロアはてんてこ舞いだったことでしょう。
このように、多くの企業では「入ってくる情報から次を予測することができないかしない人」が多く、「問題が生じてからこれを解決すると「仕事が出来る」」と評価されるのです。
この台風の一件は、私が企業の実態を知った重大な出来事で、時間が経った今でも台風が来ると思いだすのです。
Posted at 2026/08/30 23:45:04 | |
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